リンパ球および単球,マクロファージの活性化により血中に放出されるadenosine deaminase (ADA)およびneopterin (NP)の測定が, HIV感染者のAIDSへの進行を早期に知るに有用であるか否かを,血友病患者を対象に検討した.
ADA値は,抗HIV抗体陽性の38例の血友病患者群では平均54.0±17.7IU/
lで, 30例の陰性群に比較して(38.6±13.9IU/
l)有意に高く(p<0.01), CD 4/CD 8リンパ球比が逆転した症例においてこの傾向がより著明であった(p<0.01).
NP値も同様,抗体陽性群(24.9±18.3nmol/
l)が陰性群(7.9±4.2nmol/
l)に比し高値を示し(p<0.01),とくにCD4/CD8リンパ球比が0.2以下の群でこれがより明らかに認められた(p<0.01).
AIDSを発症した4例のADA, NP値を経時的に測定すると,抗p24抗体の減弱, HIVの出現, CD4/CD8リンパ球比の減少傾向と一致ないしは先行して徐々に増加する傾向にあったが,末期には反転してむしろ減少した.
以上より,血清ADAとNP値の経時的測定は,抗p24抗体, HIV, CD4, CD8リンパ球などの検索と併用した場合, HIV感染者のARC, AIDSへの進展を早期に予知,発見し,臨床的対応をするうえで有用である.
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