日本臨床免疫学会会誌
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11 巻, 2 号
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  • 竹村 周平, 近藤 元治
    1988 年 11 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 橋本 康男, 篠崎 直美
    1988 年 11 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1974年にCercekらが提唱した,リンパ球の細胞質粘性を螢光偏光法で測定する方法を再検討した結果,方法のなかで誤りがあったので,これを是正し,細胞質粘性を測定する真の方法を確立した.この方法を用いて測定した健常人20人の末梢血リンパ球の螢光偏光度はP=0.190±0.005で, PHAで刺激したリンパ球のそれは,非刺激リンパ球の83%であった.十分なPHAの反応を得るためには, PHA濃度が1.25~10%,接触時間が90分以上を必要とした.その他,結果の再現性,最適条件について検討した.
  • 高後 裕, 新津 洋司郎, 笹川 裕, 坂牧 純夫, 蟹沢 祐司, 伊藤 克礼, 野尻 秀一, 上野 芳經, 漆崎 一朗
    1988 年 11 巻 2 号 p. 106-113
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    各種進行癌患者末梢単核球(PBMC)のIL-2産生低下について単球の果たす役割の面から検討した. LPS刺激による単球のIL-1産生能は健常者よりもむしろ高値を示した.一方, PBMCから単球を除去すると, IL-2産生が上昇することより抑制性単球の関与が示唆された.健常者と癌患者末梢リンパ球を交互に再構成しIL-2産生をみると癌患者単球により強い抑制作用がみられた.この癌患者単球のIL-2産生抑制は,健常者単球と異なり, indomethacinでその解除が起こらず, PMAにより解除された.
    以上の結果から,癌患者末梢リンパ球のIL-2産生低下は同時に混在する抑制性単球によるものであり,とくにprostaglandinとは異なるPMA感受性のモノカインを介して発現されていると考えられた.
  • 今井 史彦
    1988 年 11 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒト末梢血よりマクロファージの混入がほとんどないようにして樹状細胞分画(D cell)を得ることができた。D cellを自己のT細胞と混合培養すると特異な細胞集塊(クラスター)を形成した.クラスターを形成するT細胞は主としてCD 4陽性T細胞であり一部幼若化していた.このクラスターを単離して二次培養を行うとクラスターより主としてCD 4陽性細胞が増殖してきた.この増殖反応を3H-サイミジンの取り込みで評価した. D cellをα-interleukin 1 (recombinant)でovernight培養すると,この増殖反応が増強した(P<0.01).クラスターの培養上清中にはSAC刺激B細胞を抗体産生細胞へと分化させる因子が含まれていた.われわれの研究結果はヒト末梢血よりD cellを取り出してのものであり,これを各種疾患患者に臨床応用することも可能と思われた.
  • 金 龍起, 加藤 治樹, 山村 義治, 谷川 真理, 佐野 統, 杉野 成, 近藤 元治
    1988 年 11 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    マウス腹腔にPSKを投与して誘導される好中球の腫瘍増殖抑制作用を3H-thymidine, 3H-uridine取り込み抑制でみる腫瘍細胞のDNA, RNA合成阻害の面から検討した.
    CDF1マウスにPSK 50mg/kgを腹腔内注射すると12時間後には多量の好中球が滲出する. PSKが補体系を活性化して好中球遊走因子の1つであるC5a産生を促すことより, PSKと同時に補体源として正常ヒト血清を投与したところ6時間後の早期に大量の好中球滲出を認めた.しかし実際にC5aを測定してみると両群に顕著な差はみられず,他の因子の関与も考えられた.
    つぎにこの2群の好中球についてカゼイン誘導好中球をコントロールとして, fibrosarcoma Meth A細胞に対するDNA合成抑制を検討したところ1.5ないし2倍の腫瘍増殖抑制作用を認めた.これに対し対照として用いたfibroblast NIH3T3細胞の増殖は抑制しなかった.
    このことよりPSKが免疫調節剤として好中球の腫瘍増殖抑制作用を賦活させ,この作用は正常細胞の増殖には影響を及ぼさないと考えられた.
  • 阿部 敬, 赤保内 良和, 細川 寿和, 野村 孝幸, 森 正光, 谷内 昭
    1988 年 11 巻 2 号 p. 128-136
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Circulating immune complexes (CIC) in eleven patients with mixed connective tissue disease (MCTD) were determined by C1q solid phase radioimmunoassay. A significant increase in the CIC level was observed in sera from patients with MCTD, as compared with those of progressive systemic sclerosis, polymyositis and normal controls. The CIC level in patients with MCTD, however, was much lower than that of systemic lupus erythematosus. It was associated with the disease activity in the most cases and a significant inverse correlation was observed between the CIC level and the serum C3 level. There was, however, no correlation between the CIC level and the titer of anti-RNP antibody.
    By using the Western blot method, no RNP antigen was detected in the CIC obtained from all MCTD patients tested. On the other hand, substantial amounts of the anti-RNP antibody were detected in the CIC. The titer of the anti-RNP antibody in the CIC seemed to be associated with the CIC level, suggesting that the CIC may mainly be composed of the anti-RNP antibody.
  • 沖津 祥子, 大楽 真健, 山口 夏江, 古沢 修一, 柱 新太郎, 比留間 藤昭, 牛島 広治, 伊東 繁, 吉野 加津哉, 阿部 敏明
    1988 年 11 巻 2 号 p. 137-147
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    川崎病患児と対照として上気道感染などの急性熱性疾患患児の末梢血単球のinterleukin 1 (IL 1)産生能とを比較検討した.その際, lipopolysaccharide (LPS)を添加し,培養時間を20時間までとそれ以降(72時間まで)とに分けた.川崎病と急性熱性疾患患児では, LPS添加,無添加ともに健常成人に比較してIL 1産生は亢進しており,とくに20時間以降の無添加での産生亢進は顕著であった.患児単球は生体内ですでに刺激されて活性化され, IL 1を産生しており,その状態が培養20時間後もなお持続していることを示す.さらに川崎病では臨床症状が消失してもなお, IL 1産生の増加が継続した.これらは川崎病の異常な炎症病態がIL 1の産生動態に反映していると考えられる.産生されたIL 1を抗IL 1α抗体または抗IL 1β抗体で中和し,活性を測定すると20時間以内ではIL 1β活性が主体であるが以降ではα活性の増加がみられた.この傾向はIL 1産生の亢進している患児について顕著であった.
  • 有賀 正
    1988 年 11 巻 2 号 p. 148-159
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    B cell abnormality in 13 patients with primary a/hypo-gammaglobulinemia were studied. Number of peripheral B cells was normal in 7 of 13 patients but very small in the remaining six patients.
    In the first step, we established lymphoblastoid cell lines (LCL) by EB virus and evaluated immunoglobulin production by LCL. LCLs were established in 7 patients, whose number of peripheral B cells was normal. IgM dominant pattern of immunoglobulin production was seen in 6 of the 7 LCLs as LCLs from cord blood cells. These results suggested that the B cells of these patients were immature, like the B cells of cord blood. Only three LCLs could be established from the remaining 6 patients, whose number of peripheral B cells was very small. These three LCLs produced dominantly IgM, dominantly IgG and no immunoglobulin. Various B cell abnormalities were sugested, even when the number of peripheral B cells was very small.
    Next, we purified B cells from 5 patients and evaluated B cell functions, such as activation, proliferation and differentiation by using SAC and IL 2. In this assay system, B cell abnormality was devided into three groups. We concluded that the abnormality was in the step of activation/proliferation by SAC in 1 patient, in the step of proliferation response by IL 2 in 1 patient and in the step of differentiation to Ig secreting cell by IL 2 in 2 patients. B cells from 1 patient, whose LCL secreted IgG and IgM equally, showed no abnormality even in this assay.
    Finally, we examined DNA and mRNA of immunoglobulin of the LCL, which produced no immunoglobulin. It was confirmed that the LCL was pre B cell line, and suspected that μm-RNA of the LCL had an abnormality because the number of M. W. was small compared to that of control LCLs secreting IgM.
  • 松田 重三, 小田島 さゆり, 浜渦 俊和, 木下 忠俊, 安部 英
    1988 年 11 巻 2 号 p. 160-167
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リンパ球および単球,マクロファージの活性化により血中に放出されるadenosine deaminase (ADA)およびneopterin (NP)の測定が, HIV感染者のAIDSへの進行を早期に知るに有用であるか否かを,血友病患者を対象に検討した.
    ADA値は,抗HIV抗体陽性の38例の血友病患者群では平均54.0±17.7IU/lで, 30例の陰性群に比較して(38.6±13.9IU/l)有意に高く(p<0.01), CD 4/CD 8リンパ球比が逆転した症例においてこの傾向がより著明であった(p<0.01).
    NP値も同様,抗体陽性群(24.9±18.3nmol/l)が陰性群(7.9±4.2nmol/l)に比し高値を示し(p<0.01),とくにCD4/CD8リンパ球比が0.2以下の群でこれがより明らかに認められた(p<0.01).
    AIDSを発症した4例のADA, NP値を経時的に測定すると,抗p24抗体の減弱, HIVの出現, CD4/CD8リンパ球比の減少傾向と一致ないしは先行して徐々に増加する傾向にあったが,末期には反転してむしろ減少した.
    以上より,血清ADAとNP値の経時的測定は,抗p24抗体, HIV, CD4, CD8リンパ球などの検索と併用した場合, HIV感染者のARC, AIDSへの進展を早期に予知,発見し,臨床的対応をするうえで有用である.
  • 大石 勉, 有賀 正, 崎山 幸雄, 松本 脩三
    1988 年 11 巻 2 号 p. 168-175
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒト末梢血リンパ球のヒツジ赤血球に対する特異抗体産生はT細胞依存性抗体産生反応で抗原特異的IgM抗体産生によるin vitro一次免疫応答と考えられている.そこで胎内感染時抗原特異的IgM産生能は有するが, T細胞依存性polyclonal B cell activatorであるpokeweed mitogenには反応しない臍帯血リンパ球や,成人リンパ球への発達の過程にあると考えられる小児期末梢血リンパ球をこの実験系を使用して解析し,成人末梢血リンパ球における反応性と比較検討し以下の結果を得た.
    1. 臍帯血リンパ球はプラーク形成細胞として認められる抗ヒツジ赤血球抗体産生細胞を保有せず,小児期末梢血リンパ球は成人に比して少ないが明らかな抗体産生細胞を有した.
    2. interleukin 2およびinterleukin 1に反応して小児期末梢血リンパ球は成人と同様に抗体産生細胞を著明に増加させたが,臍帯血リンパ球はまったく反応性を示さなかった.
  • 松本 千恵子, 竹ノ内 康司, 笹川 滋
    1988 年 11 巻 2 号 p. 176-182
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    RCTF-1はヒトDLE (dialyzable leukocyte extracts)製剤であり,亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE),掌蹠膿疱症,アトピー性皮膚炎など免疫異常を伴う疾患に有効性が認められている.
    DLE製剤の製造法には,白血球破壊物をDNase処理する方法と処理しない方法の2種類がある.そこで両者のDLEについてin vitroでPhytohemagglutinin (PHA)およびツベルクリン抗原に対するヒトリンパ球幼若化反応,およびPokeweed mitogen (PWM)刺激によるIgG産生への影響を検討した。DNase処理DLEは, DNase未処理DLEに比べより低濃度で抑制作用を示した.さらにその抑制作用は, DNase処理に由来するオリゴヌクレオチド類による可能性が考えられた.
  • 高野 泰秀, 竹内 勤, 瀬川 和彦, 細野 治, 高野 慎, 安倍 達
    1988 年 11 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    心タンポナーデで発症し,ステロイド・パルス療法が著効を示したSLEの1症例を報告する.
    1ヵ月前より発熱,前胸部痛,多関節炎が出現,近医で上気道炎として抗生物質投与されるも無効,プレドニゾロン40mg 5日間併用にもかかわらず症状増悪するため当院入院となった.心エコーで大量心嚢液貯留が証明され,心タンポナーデを呈した活動期SLEと診断した.プレドニゾロン40mgが無効であったことからステロイド・パルス療法を施行したところ,諸症状は, 1週間で改善,免疫血清学的所見,心嚢液貯留および左心機能もこれと平行して改善した.
    心タンポナーデで発症したSLEはきわめてまれであり,しかもステロイド・パルス療法を施行した例は,これまで報告がない.本例では急性期に心嚢穿刺をすることなくステロイド・パルス療法により著明な改善が認められた.したがって, SLEの診断が確定した心タンポナーデの治療にステロイド・パルス療法は,きわめて有効な手段となる可能性が示唆された.
  • 寺島 久美子, 大内 陽, 佐川 恵一, 西間木 友衛, 森藤 隆夫, 粕川 禮司, 吉田 浩
    1988 年 11 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    混合性結合組織病(MCTD)の精神神経症状として,三叉神経障害はよく知られている. 1978年, Bennett1)は, MCTDに合併した4例の無菌性髄膜炎を報告している.われわれはここに,無菌性髄膜炎を合併した, 3例のMCTDを報告する. 3例とも女性で, Raynaud現象,手指の腫脹,リンパ節腫脹,筋肉痛,関節痛があり,抗nRNP抗体単独陽性であった. 2症例はMCTDと診断され外来経過観察中,無菌性髄膜炎を発症した.症例3は,無菌性髄膜炎の発症によりMCTDの確定診断がついた.臨床症状は発熱と頭痛が主で,症例3のみ,髄膜刺激症状が認められた.髄液所見は,初圧の上昇,単核球優位の細胞増加,蛋白増加あり,糖,クロールは正常であった. 3例とも, 50~60mg/日のプレドニソロン(PSL)によく反応し,髄膜炎症状は軽快した. MCTDの髄膜炎につき, SLEのそれと比較して考察する.
  • 小池 道明, 石山 泰二郎, 雨宮 謙, 阿部 総太郎, 堀江 誠一, 菅谷 直樹, 杉本 正邦, 若林 芳久, 廣瀬 俊一
    1988 年 11 巻 2 号 p. 196-202
    発行日: 1988/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1985年12月, 16年間の慢性関節リウマチの病歴を持つ32歳の女性が,当病院に入院し,慢性関節リウマチ,脾腫,白血球減少の症状より, Felty症候群と診断された.
    この患者は,抗DNA抗体陽性,抗核抗体陽性で,顔面紅斑,血小板減少,多関節炎が認められ,全身性エリテマトーデスの診断基準を満たしていた.このことから, Felty症候群は,慢性関節リウマチと全身性エリテマトーデスの中間的疾病と考えられた.
    Felty症候群は,日本では非常にまれであり, 1972年よりわずか30例しか報告されていない.この症例は,著明な血小板減少を特徴としていたが,上記30例のうち血小板減少を呈していたものは55%であった. 1982年に, Thorneは,血小板減少を, Felty症候群の第4の診断基準と仮定した.血小板減少は,絶対的な診断基準にならないが,比較的頻度が高いことから,そのメカニズムを解明していくことは価値があることである.
  • 1988 年 11 巻 2 号 p. e1
    発行日: 1988年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
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