アミロイドーシスの分類は,最近では主要蛋白による分類方法が行なわれており,前回我々は,抗AA血清による酵素抗体法によってホルマリン固定標本においてもAA蛋白は同定可能であり, AA型アミロイドーシスの診断において有用な方法であることを述べた.今回,本論文においては,免疫グロブリンL鎖由来のアミロイドALに関しても同様の方法を用いて免疫組織化学的に検討した.
対象は,続発性アミロイドーシス群25例とPCDに伴うアミロイドーシス群14例.さらに後者を3群に区別し.第I群;血中M成分がL鎖κを有するかまたは尿中にBJP (κ)を認めた4症例,第II群;血中M成分がL鎖λを有するかまたは尿中にBJP (λ)を認めた7症例,第III群;血中と尿中にM成分を証明できなかった3症例として比較検討した.
(1)続発性アミロイドーシス群の基礎疾患として慢性関節リウマチが64%と高頻度を占めた.また,過マンガン酸カリ処理アルカリコンゴレッド染色(Wright's method)に全例感受性,抗AA血清を使用した酵素抗体法によって染色性の強弱は認められるものの全例AA蛋白を証明しえた.
(2) PCDに伴うアミロイドーシス群はWright's methodに抵抗性を示した,第I群は4症例中1例が抗AL (κ)に陽性,抗BJP (κ)は全例陰性を示した.第II群7症例中1例が抗AL (κ)に陽性,抗BJP (λ)に全例陰性.第III群はすべての抗AL,抗BJPに陰性を示した.
以上より, AA型アミロイドーシスは抗AA血清による酵素抗体法によって同定が可能であり, Wright's methodで感受性を示す点において一致する.一方, AL型アミロイドーシスは抗AL血清による陽性頻度は低いものの, subgroupごとの抗AL血清を幾種類か組み合わせて使用すれば組織切片上において同定される可能性が示唆される.
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