日本臨床免疫学会会誌
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5 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 永井 隆吉
    1982 年5 巻6 号 p. 443-448
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 田中 和也
    1982 年5 巻6 号 p. 449-458
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血患者の末梢血単核細胞のnatural killer (NK)活性は,男女ともに正常コントロール群に比較して有意に低下していた.正常コントロール群のNK活性は男子が女子に比較して有意の増加を示していたが,患者男女では有意差は認められなかった.山田分類による重症度別NK活性は,重症群になるに従って低下を認めた.骨髄生検組織像別にNK活性を検討すると,低形成型および無形成型と類正常型では有意差は認めなかった.再生不良性貧血患者にin vivoにて副腎皮質ホルモンを投与した場合,その投与前後のNK活性に有意差を認めなかった.しかし, in vitroにおける正常者未血単核細胞のHydrocortisone処置後のNK活性は,薬理学的濃度にて著明な低下を認めた.再不食患者および正常者リンパ球のTrypan blue dye exclusion testによるHydrocortisone処置後のviabilityの検討では,ほとんどその低下は認めなかった.末血単核細胞からマクロファージを除去した場合のNK活性は,除去前に比して有意差は認めなかった.再不貪患者では,骨髄三血球系の異常のみならず,リンパ球系とくにNK細胞の異常も示唆された.
  • 中西 幸造, 峠 哲哉, 棚田 稔, 浜本 貞徳, 河野 博光, 板垣 衛治, 新本 稔, 服部 孝雄
    1982 年5 巻6 号 p. 459-465
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃がん患者の術前血清を電気泳動にかけ,得られた血清蛋白パターンを12分画し,各分画の変動と病期との関連について検討した.血清蛋白分画群のうちFr 2, 3, 8, 9, 11は病期の進行とともに増加する傾向を認めた.他方, Fr 1および4~7は減少する傾向を認めた.健康者群に対するがん患者血清蛋白パターンの類似性をpattern similarityで表現した結果,病期の進行とともに有意に変化していた.血清蛋白分画群のうちFr 2, 3, 8を免疫抑制に関与する免疫抑制群とし, Fr 6, 7を免疫増強に関与する免疫増強群とし, 2群の比をimmuno regulatory ratioとして表現した.このimmuno regulatory ratioはがん患者血清の宿主免疫能に対する影響を反映すると考え,各病期間で検討した結果,病期の進行とともに有意に低下していた.
  • 松本 純治
    1982 年5 巻6 号 p. 466-474
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    アミロイドーシスの分類は,最近では主要蛋白による分類方法が行なわれており,前回我々は,抗AA血清による酵素抗体法によってホルマリン固定標本においてもAA蛋白は同定可能であり, AA型アミロイドーシスの診断において有用な方法であることを述べた.今回,本論文においては,免疫グロブリンL鎖由来のアミロイドALに関しても同様の方法を用いて免疫組織化学的に検討した.
    対象は,続発性アミロイドーシス群25例とPCDに伴うアミロイドーシス群14例.さらに後者を3群に区別し.第I群;血中M成分がL鎖κを有するかまたは尿中にBJP (κ)を認めた4症例,第II群;血中M成分がL鎖λを有するかまたは尿中にBJP (λ)を認めた7症例,第III群;血中と尿中にM成分を証明できなかった3症例として比較検討した.
    (1)続発性アミロイドーシス群の基礎疾患として慢性関節リウマチが64%と高頻度を占めた.また,過マンガン酸カリ処理アルカリコンゴレッド染色(Wright's method)に全例感受性,抗AA血清を使用した酵素抗体法によって染色性の強弱は認められるものの全例AA蛋白を証明しえた.
    (2) PCDに伴うアミロイドーシス群はWright's methodに抵抗性を示した,第I群は4症例中1例が抗AL (κ)に陽性,抗BJP (κ)は全例陰性を示した.第II群7症例中1例が抗AL (κ)に陽性,抗BJP (λ)に全例陰性.第III群はすべての抗AL,抗BJPに陰性を示した.
    以上より, AA型アミロイドーシスは抗AA血清による酵素抗体法によって同定が可能であり, Wright's methodで感受性を示す点において一致する.一方, AL型アミロイドーシスは抗AL血清による陽性頻度は低いものの, subgroupごとの抗AL血清を幾種類か組み合わせて使用すれば組織切片上において同定される可能性が示唆される.
  • 新津 洋司郎, 小野寺 義光, 石井 徹, 渡辺 直樹, 高後 裕, 笹川 裕, 坂牧 純夫, 漆崎 一朗
    1982 年5 巻6 号 p. 475-481
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最近経験した5例のT cell malignancyについて,その腫瘍細胞の機能を調べ,表面マーカー,臨床所見との関連について検討を加えた.第1例(CLL)と第5例(malignant lymphoma)の腫瘍細胞はいずれもMLRを抑制したが, PWM刺激によるIg産生に対しては後者でのみ抑制的に働いた.表面マーカーはいずれの細胞も末梢T cell型で,後者はTr陽性であった.臨床的にはツ反応がいずれも陰性で, MLRを抑制した結果と符合した.血清中Ig量は第1例が正常,第5例が低下しており, in vitroのIg産生能に対する両者の機能と一致した.症例3 (CLL)は, Ig産生に補助的に働き,血清Ig量も高値であったが,表面マーカーの検索ではむしろTr保有の末梢T細胞型であった.他の2例(CLL, malignant lymphoma)はnonfunctioningであった.
  • 2. Immune complexによるsuppressor T cellの誘導について
    松尾 好祥, 鈴木 盛一, 鈴木 淳子, 榊原 泉, 神谷 哲郎, 雨宮 浩
    1982 年5 巻6 号 p. 482-490
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    急性期川崎病患者36例の血漿を用いて,各病日におけるIC値を測定した.また, ICで正常リンパ球を処置し, suppressar T cellを誘導することについて検討した.患者ICは,病初期より増加し, 10日前後で最高となり,その後は低下の傾向がみられた.正常リンパ球をICとともに24時間培養するとsuppressor cellが現われたが,これは患者ICによっても,正常児ICによっても出現し, ICによる免疫反応の異常は川崎病に特異的なものではないことが示された.おそらく,生体内で, ICが過剰に存在するような状態の時に,免疫反応にとって問題となるのであろう.つぎに,患者のICをIgG-ICとIgM-ICに分画し,正常T cellと培養したところ,両者ともsuppressor T cellを誘導した. IgG-ICは, Tγ cellに作用するものと考老えられ,またIgM-ICは,その抗原部分がTμ cellをTγ cellに変換する作用がある可能性が考えられた.
  • 早川 正勝, 富井 正邦, 東條 毅, 本間 光夫
    1982 年5 巻6 号 p. 491-497
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)と強皮症(PSS) overlap症候群の1例を報告する.昭和45年,特発性血小板減少性紫斑病としてステロイド療法で軽快した. 48年に溶血性貧血・蝶形紅斑・多発関節炎・LE細胞現象陽性となり, SLEと診断された. 50年からレイノー現象が出現し,翌51年には急速に進行する皮膚硬化を認め,両上肢・顔面および躯幹の皮膚硬化とびまん性色素沈着,斑状の毛細血管拡張を伴った.さらに52年末より持続性蛋白尿が加わり,ネフローゼ症候群へと進展した.前腕皮膚生検でPSS硬化期の所見を認めたが同部の螢光抗体法では皮膚基底膜部に一致したIgM沈着がみられた.腎生検ではwire loop病変,基底膜部のIgG, IgMの顆粒状沈着を認めた.血清学的検査でも疾患特異的な自己抗体を多彩に検出し,臨床診断とよく一致していた.以上, SLE-PSS overlap症候群に腎障害を認め,特徴的な血清像を示した稀有な1例を報告した.
  • 角田 茂, 宮崎 澄雄, 石井 栄一, 松本 正, 薙野 久法, 柴田 瑠美子, 合屋 長英
    1982 年5 巻6 号 p. 498-502
    発行日: 1982/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Wiskott-Aldrich症候群は易感染性・湿疹・血小板減少を3主徴とし,伴性劣性の遺伝型式をとる原発性免疫不全症候群である.本症候群の免疫異常としては,血清IgMの減少,抗体産生能の異常,特異抗原に対するリンパ球の幼若化現象やMIF産生能の低下があげられる.一部の症例では好中球機能とくに遊走能の低下が報告されている.
    著者らは,生後1ヵ月の男児の本症候群患児にtransfer factor (TF)を投与することにより臨床症状の改善とともに好中球機能の回復がみられたので報告する.
    患児は生後3日に血便で発症し, 25日目に下痢・湿疹・出血斑で入院した.入院時血小板数3.5万/mm3,血清IgM48mg/dl,抗体産生能の低下をみた.好中球のchemotaxisは遊走刺激物質としてFMLPあるいはザイモザン活性化血清(ZAS)のいずれによっても低下していた.貪食能は正常であり,スーパーオキサイドの産生はサイトカラシンDでは正常であるが, FMLPでは中等度の減少がみられた.
    本患児に北海道赤十字血液センターから提供されたTFを生後2ヵ月から毎週1単位ずつ皮下に注射したところ, 4週前後から臨床症状の改善がみられた. 10週後の好中球chemotaxisの検査では,投与前の1.3mm (正常2.3-2.9mm)から2.8mmと正常化した. TFの投与間隔を2, 3, 4週と長くするに従ってchemotaxisは減少傾向をみたが, 4週間隔にしてもTF投与前よりもchemotaxisは有意に改善傾向がみられ,易感染性も軽減した.
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