稀とされる肺高血圧症を伴ったSjögren症候群(SS)を報告する. 44歳主婦.昭和44年(32歳) Raynaud現象,多発性関節痛で発症.昭和50年乾燥症状などからSSと確診.昭和56年4月動悸出現, 5月右心不全症状のため入院.入院時所見.心音, 2LSBでII音亢進, 4LSBで全収縮期雑音(Levine 3/6)聴取.肺にラ音なし,圧痛を伴う肝脾腫大あり.手指の腫脹・硬化・潰瘍はない.尿正常,白血球減少,高γ globulin血症,抗DNA抗体12.8U/m
l,補体正常,抗RNP, Sm抗体陽性, LE細胞, RF陰性.胸部レ線で左2弓突出,肺野異常なし.右心カテーテル検査で主幹肺動脈圧64/25 (平均38) mmHgの前毛細血管性肺高血圧を認め,肺動脈造影では異常なかった.本例はSLE, PSSの合併,またシャント性心疾患,肺線維症,肺塞栓症などの基礎疾患はないと考えられた.肺高血圧症を伴う膠原病とRaynaud現象を伴う原発性肺高血圧症をとりあげ,これら疾患におけるSSとの関係について考察を加えた.
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