日本臨床免疫学会会誌
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5 巻, 4 号
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  • 末村 正樹
    1982 年 5 巻 4 号 p. 251-261
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
  • 高木 省治郎, 北川 誠一, 青山 雅, 押味 和夫, 高久 史麿
    1982 年 5 巻 4 号 p. 262-267
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒトnatural killer (NK)細胞活性に対する三級アミン局所麻酔剤(プロカイン,リドカイン)の影響を検討した.プロカインおよびリドカインはNK細胞活性を濃度依存性に抑制し,この作用は不可逆的であった.プロカインをエフェクター細胞とともに標的細胞に添加するとエフェクター細胞と標的細胞の結合は阻害されたが,結合後に添加するとNK細胞活性のみ抑制されて結合率には変化がみられなかった.これらの事実は,三級アミン局所麻酔剤がNK細胞の膜リン脂質に直接作用してNK細胞と標的細胞の結合を阻害し, NK細胞の認識過程を阻害するばかりでなく, NK細胞の膜リン脂質に結合しているCaイオンを移動させて微小管またはマイクロフィラメントの機能を阻害し, NK killingの活性化過程をも阻害している可能性を示唆しており, NK細胞の膜リン脂質がNK細胞活性の発現に重要な役割をはたしていることを示している.
  • 近藤 直実, 久野 保夫, 折居 忠夫
    1982 年 5 巻 4 号 p. 268-273
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    原発性免疫不全症のうち,無(低)ガンマグロブリン血症患者のpokeweed mitogen (PWM)誘導免疫グロブリン産生におけるT細胞およびB細胞機能につき検索した.この系における同種のT・B細胞間には適格性が存在することから,父母・兄弟を含めた複数以上の同種との組み合わせにより評価した.また,免疫グロブリン分泌細胞の検出はプロテインA結合ヒツジ赤血球を用いたプラック法により行なった.その結果, common variable immunodeficiency 4例のうち3例はB細胞機能障害が,残りの1例はT細胞(ヘルパーまたはサプレッサー)機能障害および軽度のB細胞機能障害が考えられた. Bloom症候群の2例ではB細胞機能に,また18番環状染色体の1例ではB細胞機能のうち特にIgA分泌細胞への分化にそれぞれ異常が存在すると考えられた.現在はこのようなB細胞機能異常の異質性の存在と解析につき検討中である.
  • 正木 盛夫, 西間木 友衛, 吉田 浩, 粕川 礼司, 狩野 恭一
    1982 年 5 巻 4 号 p. 274-280
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫と白血病患者の脾臓およびリンパ節のクロロホルム・メタノール抽出物中のPaul-Bunnell (P-B)抗原と異種赤血球のP-B抗原との抗原特異性を,赤血球凝集抑制試験により比較検討した. P-B抗原には, BS, BH, BG, Bの4抗原が区別され,ヒツジ赤血球はBS抗原,ウマ赤血球はBSおよびBH抗原,ウシ赤血球はBS, BH, BG, B抗原のすべてを,それぞれ保有していた.また,ヤギでは赤血球にBS抗原のみが存在するものと, BS, BH, BG, B抗原のすべてが存在するものとが区別された. P-B抗原が検出された悪性リンパ腫患者の脾臓やリンパ節,伝染性単核症患者の末梢血buffy coatには,ほとんどの例で4種のP-B抗原が同時に認められた.よってヒトの病的状態に出現するP-B抗原は,ヒツジやウマの赤血球のようにある種のP-B抗原のみ認められることは少なく,ほとんどはウシ赤血球の場合のように4種のP-B抗原が同時に出現することが示された。
  • 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1982 年 5 巻 4 号 p. 281-286
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    C3Hマウスの腹腔浸出細胞をin vitroでOK 432で刺激し, 72時間培養後,その培養上清を腹水肝癌細胞(MH 134)浮遊液に添加すると,肝癌細胞のDNA合成が著明に抑制された.また, OK 432で刺激したマウス腹水浸出細胞の培養上清をSephadex G-75およびDEAE-celluloseを用いるカラムクロマトグラフィーで分画すると,腫瘍細胞障害活性は一定の分画に回収された.
    以上の結果から, OK 432はマケロファージを活性化し,活性化されたマケロファージから産生される細胞障害因子が抗腫瘍性に作用すると推測された.
  • 淡嶋 史佳, 小出 幸夫, 吉田 孝人, 船内 正憲, 仁瓶 禮之, 竹廣 晃
    1982 年 5 巻 4 号 p. 287-292
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性甲状腺炎の発症に重要な意味をもつ抗サイログロブリン抗体の産生機構を解明するため,その引き金と考えられる調節性T細胞の活性化の機構を主に, T細胞-抗原呈示細胞間相互作用のシステムで検討し,以下の結論を得た.
    1) 抗サイログロブリン抗体陽性患者では,サイログロブリン・パルス抗原呈示細胞(antigen-presenting cell)に対して, T細胞の増殖性反応陽性を示すものが高率に認められるが,抗サイログロブリン抗体陰性患者や健常人では低率であった.
    2) 抗原呈示細胞, T細胞混合培養中にサイログロブリンを加えた系では,抗サイログロブリン抗体陽性患者は全例にT細胞増殖性反応が陽性となったが,抗サイログロブリン抗体陰性患者や健常人でもT細胞増殖性反応陽性となるものがあった.とくに健常人では8例中4例に陽性となった.
    以上のことにより,抗原(サイログロブリン)パルス抗原呈示細胞を用いた系でのT細胞増殖性反応は,抗サイログロブリン抗体陽性患者に比較的特異的に陽性となることが示されたので,その意義について若干の検討を加えた.
  • 仙場 敬三, 勝沼 英宇, 池田 晃, 文屋 学, 荒谷 英二, 石谷 邦彦, 漆崎 一朗
    1982 年 5 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    近年,生体の腫瘍に対する防御機構のひとつとして,いわゆるnatural killer (NK)現象が重要視されている.著者らは,未治療担癌患者末梢リンパ球のNK活性を測定し,その低下を認めるとともに,担癌患者血清が正常リンパ球のNK活性を抑制する作用のあることを見出した.そこで,担癌患者血清中の抑制因子を分析する目的で, Sephadex G-200 column chromatographyおよびDEAE sephacel chromatographyを用いて担癌患者血清から抑制分画を分離した.さらに, polyacrylamide gel electrophoresisおよびimmunoelectrophoresisを実施し,抑制因子の本体がα2 macroglobulinであることを認めた.
  • 杉本 正邦, 若林 芳久, 塩川 優一
    1982 年 5 巻 4 号 p. 301-307
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLEにともなう白血球減少の病態を検索する目的で,顆粒球・マクロファージ系前駆細胞である,ヒト骨髄CFU-C由来のコロニー形成に及ぼす, SLE患者末梢血リンパ球および患者リンパ球の培養上清の影響を検討した.
    方法はヒト骨髄中単核細胞2×105個に対し,患者末梢血リンパ球2×105個を添加し,ヒト胎盤培養上清をコロニー刺激因子(CSF)とし, 20%ウシ胎児血清10% CSFを含んだ, 0.3% Agar gel添加McCoy's 5A液1.0mlにうめこみ培養ペトリ皿に入れた.また一部の実験では,ヒト骨髄単核細胞1×106個と患者末梢血リンパ球1×106個を7日間混合培養し,その培養上清を10%添加し, 37°C 5%炭酸ガスからなる培養器中で7日間培養し,倒立顕微鏡下で40個以上の細胞集塊を,ヒト骨髄CFU-C由来のコロニーとして算定したところ,患者リンパ球ならびにリンパ球培養上清は,コロニー形成に対し強く抑制的に作用することが認められた.このことは, SLE患者にともなう白血球減少の原因の一つに,患者リンパ球を介する免疫学的な機序が関与している可能性を示唆するものと思われた.
  • 永井 朝子, 内野 治人, 高月 清
    1982 年 5 巻 4 号 p. 308-313
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腫瘤発現部位としてはきわめて稀な口腔内粘膜下に肉芽腫を有する1例.および,発症から現在に至るまでの25年間インテバン投与で臨床的に定常状態を保っている1例を報告する. 2症例とも下腿アミロイド苔癬を合併していた.症例1では,側頭部腫瘤の部分剔出後末梢血好酸球増多の軽度改善を認めたが,高IgE血症状態は不変であった.しかしながら,術後インテバン投与にて血清IgE値は正常化した.これと対照的に,症例2では,長期インテバン服用にもかかわらず血清IgE値は高値のままであった.以上,自験例2例の臨床的検討に加え,国内報告例205例につき統計的考察を加えた.
  • 益山 純一, 武田 昭, 隅谷 護人, 狩野 庄吾, 高久 史麿
    1982 年 5 巻 4 号 p. 314-319
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    稀とされる肺高血圧症を伴ったSjögren症候群(SS)を報告する. 44歳主婦.昭和44年(32歳) Raynaud現象,多発性関節痛で発症.昭和50年乾燥症状などからSSと確診.昭和56年4月動悸出現, 5月右心不全症状のため入院.入院時所見.心音, 2LSBでII音亢進, 4LSBで全収縮期雑音(Levine 3/6)聴取.肺にラ音なし,圧痛を伴う肝脾腫大あり.手指の腫脹・硬化・潰瘍はない.尿正常,白血球減少,高γ globulin血症,抗DNA抗体12.8U/ml,補体正常,抗RNP, Sm抗体陽性, LE細胞, RF陰性.胸部レ線で左2弓突出,肺野異常なし.右心カテーテル検査で主幹肺動脈圧64/25 (平均38) mmHgの前毛細血管性肺高血圧を認め,肺動脈造影では異常なかった.本例はSLE, PSSの合併,またシャント性心疾患,肺線維症,肺塞栓症などの基礎疾患はないと考えられた.肺高血圧症を伴う膠原病とRaynaud現象を伴う原発性肺高血圧症をとりあげ,これら疾患におけるSSとの関係について考察を加えた.
  • 畠山 牧男, 益山 純一, 隅谷 護人, 狩野 庄吾, 高久 史麿, 中山 敏夫, 近藤 邦夫
    1982 年 5 巻 4 号 p. 320-327
    発行日: 1982/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例, 28歳女性. 20歳で発症の腎症を有するSLE. 21歳よリステロイド剤服用,以後SLEの活動性は特に認めなかったが,高血圧,ステロイド糖尿,高コレステロール血症を合併していた.昭和55年(27歳)より狭心発作出現, 56年3月,強い前胸部痛を訴え入院.心電図,血清酵素活性より前壁中隔梗塞と診断.入院前後も他にSLEの活動性の上昇は認めなかった.冠動脈造影では,左前室間枝の99%狭窄,後室間枝の50~75%狭窄を認めた. SLEで心筋梗塞をきたす冠動脈病変としては,血管炎と動脈硬化があげられる.この2者を冠動脈造影のみで鑑別することは困難であった.しかし,本例では,若年ながら,高血圧・高コレステロール血症などの冠動脈硬化の危険因子が多く,狭窄部位が比較的太い冠動脈に多発性に認められることより,その原因としては,血管炎より動脈硬化による可能性が高いと考えられた.
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