日本臨床免疫学会会誌
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10 巻, 6 号
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  • 森 徹
    1987 年 10 巻 6 号 p. 553-559
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 上田 正博, 竹村 周平, 出口 雅子, 小野寺 秀記, 杉野 成, 近藤 元治
    1987 年 10 巻 6 号 p. 560-565
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    従来の補体溶血活性測定法(CH 50)と異なり補体成分ならびに制御因子の総合的な活性をみるため原血清を用いた補体活性測定法を開発し,検討を加えた.原血清に一定量の感作ヒツジ赤血球(EA)を加え,その溶血の経時的変化を血小板凝集計で濁度の変化として記録し,濁度が最初の50%になるまでの時間をCHT 1/2(秒)と表した.健常人70名のCHT 1/2は62.9±16.6秒で,男女差は認めなかった. Mayer法によるCH 50は36.0±4.5であった.両者の間には負の相関が認められることを予想していたが, r=0.357と弱いながらも正の相関が認められた.このことは両測定法の相違を表していると考えられた.他方,血清を10倍希釈するとCHT 1/2とCH 50は負の相関を示す傾向にあった.また,ラット,モルモット血清のCHT 1/2はある程度の希釈までは短縮し,それ以上の希釈では延長した.一方, EAおよびzymosan処理血清を用いた検討から, CHT 1/2はearly component活性の変化を敏感に反映するのではないかと考えられた.以上のことから,われわれの方法は,補体阻止因子を含めた補体溶血活性を表現していると考えられた.今後,各種疾患における両者の併用が,低あるいは高補体価の臨床的意義の解明に役立つことを期待している.
  • 鈴木 輝彦, 今井 史彦, 石橋 俊子
    1987 年 10 巻 6 号 p. 566-571
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    中等量のヒト末血より樹状細胞(D cell)に富む分画の抽出に成功した.D cellは多彩な樹状突起を有し, HLA-DR抗原およびC3biレセプター陽性であった.このD cell分画および可及的にD cellが混入しないように調整したマクロファージ分画とB cell分画とをMMC処理後stimulatorとして型どおりautologous MLRを施行した.その結果D cell分画に強いstimulator能があり,他の分画ではstimulator能はわずかかまったく無かった.したがってauto MLRのmajor stimulatorとしてD cellの存在が必須のものと思われた.D cell分画をstimulatorとしたauto MLRは抗OKDRモノクローナル抗体の存在によりブロックされた.さらにD cell分画はallogeneic MLRのstimulator能も有していた.このD cell分画を用いてSLEをはじめとするauto MLRの低下の知られている疾患におけるD cell functionの検討が可能と思われた.
  • 仲西 正憲, 上野 範博, 有賀 正, 石坂 明人, 飯塚 進, 崎山 幸雄, 松本 脩三
    1987 年 10 巻 6 号 p. 572-577
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    luminol依存性chemiluminescenceを用いた測定系により,置換療法中の患児7名を対象として小児期における細菌性気道感染の主な起因菌の1つである肺炎双球菌に対するオプソニン活性を測定した.
    肺炎双球菌の特異抗体によるオプソニン化と好中球による貪食が生体側の主要な防御機構と考えられ,オプソニン活性は肺炎双球菌に対する生体のin vivoにおける防御機構をin vitroにおいてもっともよく反映する測定系と考えられる.今回の測定結果は,呼吸器感染症発症時, IgG2 subclass欠乏状態においては低下し,血清IgG値とは相関せず,低γ-グロブリン血症患児の細菌性気道感染に対する免疫防御機構の指標となり,置換療法による気道感染症の治療および予防上有用と考えられる.また,肺炎双球菌に対する特異抗体の大部分がIgG2 subclassに属し,多くのIgG2 subclass欠乏症においては低値となるため,そのscreeningにも応用可能と考えられる.
  • 今井 明彦, 清沢 研道, 古田 精市
    1987 年 10 巻 6 号 p. 578-585
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    3種類の培養細胞すなわち肝癌由来細胞PLC/PRF/5,喉頭癌由来細胞HEp-2,ベビーハムスター腎由来細胞BHKを基質とした螢光抗体間接法により,肝癌患者血中の抗核抗体(ANA)を検索した.対象は肝細胞癌160例(I群),肝癌以外の悪性腫瘍66例(II群),慢性肝炎・肝硬変62例(III群),健常者235例(IV群)である. BHKとは反応せず, HEp-2, PLC/PRF/5で検出されたANA陽性率はI群36例(22.5%), II群19例(27.5%), III群12例(19.4%), IV群1例(0.4%)であった. I群中2例の血清はさらに4種の腫瘍由来細胞と4種の非腫瘍由来細胞を基質とした場合,腫瘍由来細胞核にのみ螢光が認められた.このANAとSLE患者血清中のANAとは反応する抗原性が異なることが示された.以上より肝癌患者血清中には腫瘍由来細胞核とのみ反応するANAの存在が示唆された.しかし,本抗体に対応する核抗原の本体は不明である.
  • 谷川 徹, 加藤 治樹, 上田 正博, 谷川 真理, 吉田 憲正, 金 龍起, 吉川 敏一, 竹村 周平, 杉野 成, 近藤 元治
    1987 年 10 巻 6 号 p. 586-593
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍患者では補体活性(CH 50)が上昇することが知られているが,これに補体系制御因子の動きが伴うかどうかを調べた. 254名の悪性腫瘍患者は病期により分類し, CH 50はMayer法で,補体成分と補体系制御因子の蛋白量は一元免疫拡散法で測定した.補体系制御因子はC〓-inhibitor (C〓INH), C4 binding protein (C4bp), I, Hの4種類を測定した. CH 50, C〓INH, C4bp, I, Hは病期が進んだものほど高かった.また, CH 50との間に有意な正の相関がC4, C3, C5, C7, C8, C9, C〓INH, C4bp, I, Hでみられた.蛋白合成能の指標として血清コリンエステラーゼ値を用いて, IV+V期群を細分すると,コリンエステラーゼ値の低いものでは高いものに比べて, CH 50, C4bp, I, Hが有意に低かった.以上より悪性腫瘍患者でCH 50は病期が進むにつれて上昇するが,補体系制御因子も同時に上昇するため,生体内での補体活性化が阻害され,生体防御上不利な状態にある可能性が示された.
  • 波多野 誠, 西谷 皓次, 山村 昌弘, 川端 芙紀子, 吉永 泰彦, 鈴木 信也, 太田 善介
    1987 年 10 巻 6 号 p. 594-602
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)患者24例の末梢血単核細胞(MNC)中のB1陽性細胞の比率, Pokeweed mitogen (PWM)刺激あるいは無刺激培養後の免疫グロブリン分泌細胞(ISC)数,上清中に分泌された免疫グロブリン(Ig)量を測定して,健常人30例の結果と比較検討した.
    B1陽性細胞はRA患者で5.1±0.8% (Mean±SEM, n=18),健常人で5.4±0.9% (n=19)で両者間に有意差を認めなかった.
    Reverse hemolytic plaque assayで測定したISC数は採血直後, RA患者で1.8±1.0個/104 MNC (n=23),健常人で9.1±2.8個/104 MNC (n=29)であり, RA患者で有意に(p<0.02)低下がみられた.無刺激7日間培養後, RA患者で21.7±8.1個/104 MNC (n=17),健常人で66.2±23.1個/104 MNC (n=21)であり, RA患者で低下傾向を認めた. PWM (10μl/ml)刺激7日間培養後, RA患者で140.3±38.4個/104 MNC (n=20),健常人で506.6±96.6個/104 MNC(n=22)であり, RA患者で有意に(p<0.001)低下がみられた.
    Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)で測定した上清中のIg量は無刺激7日間培養後, RA患者でIgGが289±60ng/ml (n=17), IgAが174±45, IgMが169±30,健常人でIgGが224±39 (n=21), IgAが166±41, IgMが308±22であり,両者間においていずれのIgクラスも統計学的有意差を認めなかった. PWM (10μl/ml)刺激7日間培養後, RA患者でIgGが618±108 (n=20), IgAが382±104, IgMが438±92,健常人でIgGが684±93 (n=22), IgAが538±119, IgMが868±100であり, RA患者においてIgM産生量が健常人に比して有意に(p<0.05)低下していた.
    末梢血MNC中の100個のB1陽性細胞から出現したISCを計算すると, PWM刺激後RA患者では健常人に比して有意に(p<0.05)減少していた.さらに単一ISCあたりの上清中Ig量は無刺激, PWM刺激後ともにRA患者では健常人に比して有意に(p<0.05)多かった.このことはRA患者末梢血MNCのPWMに対する不応性,ならびに分化したISCによるIg産生能の増強を示唆している.
  • 本田 一陽, 石森 章, 渡辺 正子, 戸田 順子, 永田 欣也, 菅村 和夫
    1987 年 10 巻 6 号 p. 603-613
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)に対する抗体をHTLV-I固相化マイクロカップ(E-0773, Eisai)とBehring ELISA Processor-II (Hoechst)を用い,測定の自動化を試みた.また非働化血清はEIA法では非特異反応を示すために測定不適とされていたが, HTLV-I抗原による吸収試験を併用することにより特異抗体の検出が可能であることを認めた.
    患者血清2,450件中40件(1.6%)がHTLV-I抗体陽性であったが, HTLV-I carrier 28例(ATL 2例, Hemophilia B1例を含む)のいずれもが臨床的にはHTLV-I関連疾患と診断されていなかった.しかし重篤な基礎疾患を有する症例のなかには, Western blot法でP-40を認めるものが5例あり,本ウイルス疾患の診断にはまずHTLV-I抗体測定の普遍化によるHTLV-I carrierの把握が急務であると考えられる.
  • 清 美達
    1987 年 10 巻 6 号 p. 614-626
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    AIDS患者およびARC患者の血清のHIV-1逆転写酵素(RT)に対する影響を検索した.その結果,これらの患者の血清中には, RT活性を抑制あるいは増強する効果をもつ因子が認められた.このことからHIV-1のRT活性に対する患者血清の効果は, HIV-1の感染に関連する現象であることが推測された.さらに,患者血清によるRT活性の抑制因子が,プロテインAと高い親和性を示すことから,この因子はRTと結合し,酵素活性を抑制する抗RT抗体であろうと推測された.
    つぎに,標的細胞へのHIV-1の感染に対するAIDSならびにARC患者の血清の中和活性について検討した,その結果, RT活性に対して抑制効果を示すAIDS患者の血清は,有意に高い中和活性をもつことが認められた. RT活性を抑制する抗RT抗体が, HIV-1の細胞への感染を直接に防御する作用があるか否かについては,さらに検討する必要がある.
  • 岡山 吉道, 黒沢 元博
    1987 年 10 巻 6 号 p. 627-631
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Percoll比重法により分離精製したラット肥満細胞をcompound 48/80およびcalcium ionophore A 23187により刺激した場合の肥満細胞からのヒスタミン遊離に及ぼすプロティンキナーゼ阻害薬Staurosporineの影響について検討した.
    48/80によるヒスタミン遊離はStaurosporineにより濃度依存性に抑制され, 10-7, 10-6M Staurosporineはヒスタミン遊離を有意に抑制した. A 23187によるヒスタミン遊離も濃度依存性に抑制され, 10-7, 10-6M Staurosporineはヒスタミン遊離を有意に抑制した.他のプロティンキナーゼ阻害薬K-252 aもヒスタミン遊離を有意に抑制した. 48/80によるヒスタミン遊離に対するStaurosporineとK-252 aの抑制程度に有意差はみられなかった.一方, A 23187によるヒスタミン遊離に及ぼす108, 107M K-252 aによる抑制効果は,同濃度のStaurosporineに比して有意に強かった.
    以上より,ラット肥満細胞からのメディエーター遊離に際しプロティンキナーゼが関与することが示唆された.
  • 渡辺 光行, 大林 由明, 小松田 光真, 市川 幸延, 有森 茂
    1987 年 10 巻 6 号 p. 632-638
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    subclinical Sjögren症候群を伴った自己免疫性溶血性貧血と血小板減少症(15歳,女性)の一例を報告する.
    入院時,貧血,黄疸および点状出血斑を認めた.入院時検査所見: Hb 7.1g/dl,網状赤血球数144‰,血小板数2.0×104l, Indirect bil. 3.0mg/dl, LDH 798U/l,ハプトグロビン5mg/dl,直接・間接クームス試験(-),抗核抗体80倍(speckled pattern),抗DNA抗体(-),抗ENA抗体(-),抗SS-A抗体16倍,抗SS-B抗体(-),赤血球寿命7.3days (25~35 days).耳下腺造影:びまん性点状貯留像(+), Schirmer test (+), Gum test (±), rose-bengal試験:乾燥性角結膜炎(+).以上より, Evans症候群とSjögren症候群(SjS)の合併と診断, prednisolone 40mg/日にて治療開始し溶血性貧血と血小板減少症は改善した.現在までにSjSを伴った直接クームス試験陰性のEvans症候群の報告はなく,本例は第1例目と思われる.
  • 青木 定夫, 斉藤 弘行, 丸山 聡一, 横山 明裕, 大西 昌之, 小池 正, 柴田 昭, 品田 章二
    1987 年 10 巻 6 号 p. 639-647
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性Tリンパ球増多症の患者から得られたリンパ球の解析を行った.その細胞の形態は典型的なlarge granular lymphocytes (LGL)の様相を呈した.しかしその表面形質は,これまで報告されているLGLとは異なるCD2+, CD3+, CD4+, CD5+, CD8-, CD11+, Leu7+, CD16-, FcIgG-であった.
    これらの細胞は,正常人のリンパ球のIgG産生に対してヘルパー活性もサプレッサー活性も示さなかった.またナチュラルキラー活性はなく,これはInterleukin 2 (IL2)によっても増強されなかった.リンホカイン活性化キラー活性も存在しなかった. PHA, PWMなどに反応して増強し, IL2産生能も有していた.しかし予めConAにて刺激しておいても, IL2に反応した増殖は誘導できなかった.
    以上より本例のLGLはその表面形質からも免疫学的機能からも, LGLの新しいサブセットと考えられる.
  • 大畠 規子, 高崎 芳成, 橋本 博史, 廣瀬 俊一
    1987 年 10 巻 6 号 p. 648-654
    発行日: 1987/12/31
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデスに正常圧水頭症および非破裂脳動脈瘤を合併したまれな一例を経験し,その病態と成因に考察を加え報告する.症例は43歳の女性, 1971年より全身性エリテマトーデスの診断にて治療中であったが, 1982年11月,一過性の意識消失,失禁,左下肢麻痺を呈し入院した.入院時,記銘力低下以外に神経学的異常は無く,蝶形紅斑,舌潰瘍,腎症,白血球減少,低補体血症を認め,抗核抵体および抗DNA抗体陽性であった.頭部Computed Tomo graphyにて脳室拡大を, radioisotope (RI) cisternographyでRIの脳室内異常逆流および吸収遅延を,右内頸動脈造影では中大脳動脈線状体動脈分岐部に嚢状動脈瘤を認めた.脳生検組織では虚血性変化がみられ,水頭症の成因に全身性エリテマトーデスの細小血管病変の関与が示唆されたが,動脈瘤との関連は不明であった. 1983年動脈瘤クリッピング術を施行し,以後経過を観察中である.
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