慢性関節リウマチ(RA)患者24例の末梢血単核細胞(MNC)中のB1陽性細胞の比率, Pokeweed mitogen (PWM)刺激あるいは無刺激培養後の免疫グロブリン分泌細胞(ISC)数,上清中に分泌された免疫グロブリン(Ig)量を測定して,健常人30例の結果と比較検討した.
B1陽性細胞はRA患者で5.1±0.8% (Mean±SEM, n=18),健常人で5.4±0.9% (n=19)で両者間に有意差を認めなかった.
Reverse hemolytic plaque assayで測定したISC数は採血直後, RA患者で1.8±1.0個/10
4 MNC (n=23),健常人で9.1±2.8個/10
4 MNC (n=29)であり, RA患者で有意に(p<0.02)低下がみられた.無刺激7日間培養後, RA患者で21.7±8.1個/10
4 MNC (n=17),健常人で66.2±23.1個/10
4 MNC (n=21)であり, RA患者で低下傾向を認めた. PWM (10μ
l/m
l)刺激7日間培養後, RA患者で140.3±38.4個/10
4 MNC (n=20),健常人で506.6±96.6個/10
4 MNC(n=22)であり, RA患者で有意に(p<0.001)低下がみられた.
Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)で測定した上清中のIg量は無刺激7日間培養後, RA患者でIgGが289±60ng/m
l (n=17), IgAが174±45, IgMが169±30,健常人でIgGが224±39 (n=21), IgAが166±41, IgMが308±22であり,両者間においていずれのIgクラスも統計学的有意差を認めなかった. PWM (10μ
l/m
l)刺激7日間培養後, RA患者でIgGが618±108 (n=20), IgAが382±104, IgMが438±92,健常人でIgGが684±93 (n=22), IgAが538±119, IgMが868±100であり, RA患者においてIgM産生量が健常人に比して有意に(p<0.05)低下していた.
末梢血MNC中の100個のB1陽性細胞から出現したISCを計算すると, PWM刺激後RA患者では健常人に比して有意に(p<0.05)減少していた.さらに単一ISCあたりの上清中Ig量は無刺激, PWM刺激後ともにRA患者では健常人に比して有意に(p<0.05)多かった.このことはRA患者末梢血MNCのPWMに対する不応性,ならびに分化したISCによるIg産生能の増強を示唆している.
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