日本臨床外科学会雑誌
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65 巻, 6 号
選択された号の論文の55件中51~55を表示しています
  • 大谷 真二, 清水 康廣, 杉山 悟, 宮出 喜生, 山本 澄治
    2004 年 65 巻 6 号 p. 1711-1714
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は80歳女性,腹痛,血便を主訴として当院内科に入院となり,腹部単純レントゲン検査でniveauを認めたためイレウスと診断された.イレウス管挿入などの保存的加療で改善しないため外科紹介となった.イレウス管からの小腸造影検査,腹部CT検査でイレウスの原因が肝右側付近にあると考えられ,開腹手術を施行した.術中所見では肝下面から右側腹壁にカーテン状に張った癒着性膜様物を認め,膜の中心部に直径約3cm大の穴が存在した.その穴をヘルニア門として,回盲弁付近から約140cm口側までの回腸が右横隔膜下へと陥入していた.癒着性膜様物の穴に小腸が嵌入した,広義の内ヘルニアによるイレウスであると考えられた.保存的に改善しないイレウスでは本例のような癒着物による内ヘルニアも考慮に入れて早期の開腹術を行う必要があると考える.
  • 河島 秀昭, 石後岡 正弘, 原 隆志, 樫山 基矢, 高梨 節二, 吉田 信
    2004 年 65 巻 6 号 p. 1715-1718
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは,薬物療法が奏効し著明な改善を認めた症例を経験したので報告する.症例は72歳,女性.主訴は腹痛,腹部腫瘤. 2001年10月末より腹痛あり近医にて治療を受けるも改善なく当院へ紹介入院となった.腫瘤は右骨盤内腸腰筋部に存在し,エコー下穿刺生検を行いデスモイド腫瘍と診断した.外科的切除を検討したが,下肢の機能障害が予測されたためtamoxifenとsulindacによる薬物治療を先行させることとした.その結果,腫瘤は次第に縮小し,わずかに痕跡を認めるのみとなった.内服治療を継続後2年現在,再燃や増大傾向は認めていない.
  • 中山 卓也, 羽藤 誠記, 坪井 謙, 小林 建司, 神谷 保廣, 伊藤 昭敏
    2004 年 65 巻 6 号 p. 1719-1722
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    遺残坐骨動脈瘤は,胎生期の下肢栄養血管である坐骨動脈が遺残し,瘤を形成した稀な疾患である.今回われわれは血管造影検査後,動脈瘤が自然に完全血栓化し,症状が軽快した1例を経験したので報告する.
    症例は81歳,女性.左臀部拍動性腫瘤,左下肢痛を主訴に来院した.左臀部に最大径12cmの拍動性腫瘤を触知した.造影CT,下肢動脈造影にて左臀部から下腿にかけて径8 mmの坐骨動脈を認め,股関節のレベルに最大径6 cmの動脈瘤を認めた.動脈造影後より自覚症状が軽快し,臀部の拍動も消失した.初診時からの4, 7カ月後の造影CTにて完全に血栓化した動脈瘤と,深大腿動脈からの側副血行路より栄養をうける膝窩動脈を確認した.現在初診時より1年経過し,自覚症状は軽快,左下肢の虚血症状も認めていない.
  • 原田 昌和, 花田 明香, 白澤 文吾, 味生 俊, 森重 一郎, 濱野 公一
    2004 年 65 巻 6 号 p. 1723-1727
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例1: 28歳,女性.平成15年3月に尿臭を訴え当院内科を受診し,血中のCEA高値を指摘された.精査にて右副腎腫瘍を指摘され,外科紹介となった(家族歴にSipple症候群が認められた).症例2: 53歳,男性.長女(症例1)がSipple症候群と診断されたのを受け,精査を希望され受診された.両症例ともcalcitonin, adrenaline, noradrenaline高値であり,エコー, CT検査で片側副腎褐色細胞腫,両側甲状腺内に石灰化を伴う腫瘍が認められた.さらに甲状腺生検にてmedullary carcinomaであったため, Sipple症候群と診断され手術を施行することとなった.最初に両症例とも経腹的アプローチで副腎腫瘍摘出術が施行されたが,術中異常高血圧などのトラブルは認められなかった.さらに術後経過が安定したところで2期的に甲状腺全摘術が施行された.病理像はpheochromocytomaおよびmedullary carcinomaと診断され, Sipple症候群と確定診断された.両症例とも術後経過は良好で軽快退院した.
  • 水崎 馨, 大町 貴弘, 斉藤 祐一, 中江 佐八郎
    2004 年 65 巻 6 号 p. 1728-1733
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の男性で,右季肋部腫瘤を主訴に来院した.腹部CT検査では肝右葉に径7cmと径11cm,肝外側区域(S2)に径3cm,右腎上極に径7cmの腫瘍を認めた.腹部血管造影検査では肝右葉をほぼ占める不均一に造影される腫瘍を2カ所認め,右腎上極に外側に突出するhypervascularな腫瘍を認めた. CEAは2,580ng/mlと高値であり,大腸癌の肝転移を疑い大腸ファイバーを施行した. S状結腸に内腔の2/3周を占める2型の腫瘍を認めた.以上の所見より,肝転移を伴ったS状結腸癌と右腎癌の同時性重複癌の診断で手術を施行した.手術は肝右葉切除術,肝楔状切除術(S2),右腎摘出術, S状結腸切除術を一期的に施行した.大腸癌と腎癌との同時性重複癌は非常に稀である.今回,自験例を含めた本邦報告例27例中26例に若干の文献的考察を加えて報告した.
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