日本口腔腫瘍学会誌
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23 巻 , 3 号
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第29回日本口腔腫瘍学会学術大会
シンポジウム2:「唾液腺腫瘍の診断と治療」
  • 下郷 和雄, 有地 榮一郎
    2011 年 23 巻 3 号 p. 49
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
  • 小川 郁子, 工藤 保誠, 高田 隆
    2011 年 23 巻 3 号 p. 50-58
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    小唾液腺腫瘍は,口腔外科や病理の領域で重要な位置を占める。小唾液腺では悪性腫瘍の割合が比較的高く,特に舌,口底と臼後部では多くの腫瘍が悪性である。大唾液腺と同様に良性腫瘍では多形腺腫が,悪性腫瘍では粘表皮癌が最も多いが,細管状腺腫,導管乳頭腫,多型低悪性度腺癌や明細胞癌NOSはもっぱら小唾液腺に発生し,唾液腺導管癌,オンコサイト癌などの高悪性度腫瘍はまれである。粘表皮癌は顎骨内に発生することもあり(中心性粘表皮癌),歯原性の由来が想定されている。口腔内の腫瘍は,外傷や炎症による潰瘍形成を伴いやすい。組織学的には,良性小唾液腺腫瘍は被膜が不完全で,周囲組織と接することがある。さらに,炎症により様々な偽悪性変化を来すこともある。腺様嚢胞癌は,小唾液腺にも好発する悪性腫瘍で,組織構築や細胞分化が多形腺腫と類似していることから,小さな生検組織での両者の鑑別が困難な場合があり,細胞増殖活性とS100タンパクの局在の違いが参考になる。腺様嚢胞癌ではSkp2の過剰発現によるp27のユビキチン分解促進が転移や低生存率と相関しており,p27の発現低下とSkp2の過剰発現が腺様嚢胞癌の予後推測の指標となりうることが示唆された。
    壊死性唾液腺化生や腺腫様過形成などの腫瘍様病変との臨床病理学的鑑別も重要である。
  • 中山 英二, 大内 知之, 賀来 亨, 柴田 考典, 有末 眞, 永易 裕樹, 安彦 善裕, 上野 繭美, 河津 俊幸, 吉浦 一紀, 浅香 ...
    2011 年 23 巻 3 号 p. 59-68
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    唾液腺腫瘍は病理組織像が多彩であり,また,一つの腫瘍型の中にも多様な組織成分が混在するので,唾液腺腫瘍の病理組織学的診断は難しいことがある。それゆえ,唾液腺腫瘍において,良性と悪性の画像鑑別診断もまた困難なことがある。境界が画像上でほとんど明瞭のようであっても,実際は微妙に不明瞭である唾液腺腫瘍は悪性腫瘍のことがある。そこで,唾液腺腫瘍の画像診断においては,画像上の境界の明瞭度は非常に重要で,境界の明瞭度の注意深い判定は必須である。境界の明瞭度はCTではなく,超音波検査とMRIで判定されるべきである。さらに,CTとMRIでは,可能であれば,DICOMビューワー上で最適な画像表示状態で観察されるべきである。
    大唾液腺腫瘍について:耳下腺腫瘍では良性腫瘍が70%以上であり,顎下腺腫瘍では40%が悪性で,舌下腺腫瘍では80%が悪性である。この事実は唾液腺腫瘍の画像診断をする上で重要である。境界が必ずしも明瞭とはいえない耳下腺腫瘍は悪性を疑う。画像所見が舌下腺から発生したことを示す病変は悪性腫瘍と診断されるべきである。
    小唾液腺腫瘍について:腫瘍が小さい場合はたとえ悪性でも境界が明瞭なことがしばしばである。そこで,病変の境界が明瞭である画像所見は,その病変が良性である証拠とはならない。口蓋部の悪性唾液腺腫瘍では,画像所見として検出できない微妙な骨浸潤があることに特に注意を払う必要がある。口唇と頬部の唾液腺腫瘍には超音波検査が最も有用である。顎骨内に粘表皮癌が発生することについても注意したい。
  • 三浦 雅彦
    2011 年 23 巻 3 号 p. 69-72
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    唾液腺癌の多くは腺癌由来で,その増殖も緩徐であり,一般に放射線抵抗性を示す。従って,その治療法の第一選択は外科療法であり,放射線治療は,切除断端の病理結果によって,補助的に施行されることが多い。しかしながら最近では,放射線治療技術の進歩により,腫瘍組織への線量集中度が著しく高まり,高精度放射線治療や粒子線治療が注目されてきている。本稿では,唾液腺癌に対する通常の放射線治療の役割についてレビューするとともに,本学放射線科で報告した唾液腺由来腺様膿嚢癌(ACC)に対する治療成績,放医研で行われている重粒子線による頭頸部ACCに対する治療成績を紹介し,その問題点についても触れる。
  • 小村 健
    2011 年 23 巻 3 号 p. 73-81
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    要旨:唾液腺腫瘍は,良性でも悪性でも,外科的切除が治療の第一選択となる。
    2001年から2010年の10年間に181例の唾液腺腫瘍を経験した。このうち,63例は耳下腺に,23例は顎下腺に,5例は舌下腺に,また90例は小唾液腺に発生したものであった。
    術前診断は外科的切除法を決める上で最も重要な因子で,FNACや生検とともにCT,MRI,US,PETなどの画像診断を行った。
    良性腫瘍に対する治療は局所切除であり,耳下腺では顔面神経を温存して葉部分切除を,症例によってはECDを行った。顎下腺では顎下腺摘出を,小唾液腺では腫瘍にわずかな周囲組織をつけた切除を行った。その結果,現在まで腫瘍の再発を認めたものはない。一方,悪性腫瘍の治療は,その組織学的悪性度により選択した。すなわち,低悪性度癌ではわずかな安全域を設けて腫瘍切除を行い,頸部郭清術は行わなかった。中悪性度癌では扁平上皮癌と同等の安全域を設けて腫瘍切除を行い,併せて頸部郭清術を行った。また,高悪性度癌では拡大切除と頸部郭清術を行い,術後に放射線あるいは化学放射線療法を行った。悪性腫瘍66例の5年および10年疾患特異的生存率は92.4%および80.2%で,このうち低悪性度癌28例では100%および100%,中悪性度癌23例では100%および83.3%,高悪性度癌15例では72.9%および50.0%であった。
    以上より,唾液腺腫瘍は今後も外科的切除が治療の第一選択になることに変わりはないが,手術法,範囲は腫瘍の組織型により選択すべきことから,術前の画像診断やFNACの診断精度の向上が期待される。また,高悪性度癌に対しては拡大手術とともにより強力な術後の化学療法や化学放射線療法の実施が望まれる。
原著
  • 望月 美江, 小林 明子, 山根 正之, 山城 正司, 石井 純一, 天笠 光雄
    2011 年 23 巻 3 号 p. 83-90
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,下顎歯肉癌術後患者10名の口腔機能と口腔粘膜の知覚(温覚,冷覚,触覚,熱痛覚)を調査し詳細を知ることである。患者の年齢は59歳から82歳であり,口腔機能評価には低粘着性発色チューインガム法,オクルーザルプレスケール法,山本の咬度表,単音節発語明瞭度検査,全口腔法味覚検査を用いた。知覚の検査部位数は下唇が2か所,舌尖と舌背合わせて4か所とした。
    患者自身で評価する山本の咬度と客観的評価による咀嚼機能の結果は一致していなかった。単音節発語明瞭度では軽度障害が認められた。味覚閾値は患者群と健常者との間に差がなかった。患者群患側において温覚および熱痛覚閾値は冷覚および触覚閾値と比べて回復が遅い傾向にあった。
症例
  • 寺沢 史誉, 白水 敬昌, 文 麻友美, 宮本 佳宏, 立松 忠, 石橋 謙一郎, 嘉悦 淳男
    2011 年 23 巻 3 号 p. 91-98
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)は抗利尿ホルモンの分泌異常により低ナトリウム血症に至る症候群で,悪性疾患を含む様々な状態と関連していることで知られている。一方で,癌患者の治療経過中に低ナトリウム血症が出現することがあり,まれではあるが抗腫瘍薬投与が原因でSIADHが発症することがある。SIADHは口腔顎顔面領域では一般的ではなく報告例は少ない。今回われわれは,口腔癌に対する化学放射線療法施行中にSIADHを発症した1例を報告する。
    55歳の上顎悪性腫瘍の女性に化学放射線療法を施行した。われわれはS-1:100mg/m2/day,第1-21病日,CDDP:81mg/m2,第11病日による全身化学療法と,総線量68Gy/34fを根治的に外照射による放射線療法を行った。第17病日に意識障害(Japan Coma Scale I-1)が出現し,血漿ナトリウム値は98mEq/Lと著明に低下していた。明らかな脱水所見はなく,血漿浸透圧低下を伴った低Na血症と尿浸透圧の上昇,尿中ナトリウム排泄の持続を認め,原因となる基礎疾患を認めないことから抗腫瘍薬に起因するSIADHであると診断した。われわれは患者にナトリウムの補充と水分制限を行った。その後,患者は意識を回復し適切な血漿ナトリウム値に改善した。CDDPを含む化学療法ならびに化学放射線療法を行う際にはSIADHの発症も念頭に置き,頻回な検査を行い,低Na血症を来した場合には早期の適切な対応が重要であると考えられた。
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