日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
  • 山口 高広, 小川 将, 鈴木 啓佑, 清水 崇寛, 牧口 貴哉, 横尾 聡
    2022 年 34 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー
    われわれは,緊急性を要する腹部大動脈瘤および無症候性の冠動脈3枝病変を併存した進行口腔癌に対して,腹部大動脈人工血管置換術および冠動脈バイパス術を先行した後に,口腔癌の根治手術を施行した症例を経験した。患者は66歳男性で口底癌を有し,術前画像検査で巨大な腹部大動脈瘤および無症候性の冠動脈3枝病変が認められた。本症例では破裂リスクがあり緊急性の高い腹部大動脈瘤に対して腹部大動脈人工血管置換術を行い,その2週間後に周術期の心筋梗塞のリスクを回避するために冠動脈バイパス術を施行した。冠動脈バイパス術後は待機期間が必要であったため手術待機期間中の腫瘍増大抑制目的に放射線治療を行った。30Gyの時点で放射線治療を終了し,口腔癌に対する根治手術を施行した。周術期の合併症は認められず術後経過は良好であった。
    本症例では,重篤な冠動脈疾患があったが異常所見は認められず,無症状であった。一方,単純CTでは冠動脈の顕著な石灰化が認められた。本症例は糖尿病を合併しており,糖尿病患者においては,重篤な冠動脈疾患が存在しても神経障害により無症状である場合があり,単純CTによる冠動脈石灰化の検出が口腔癌患者を含めた口腔外科手術における術前スクリーニングとして重要であると考えられた。
  • 篠﨑 勝美, 喜久田 翔伍, 松尾 勝久, 森口 智史, 関 直子, 楠川 仁悟
    2022 年 34 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー
    下顎骨欠損に対して,Sagittal split sliding osteotomyと筋突起移植による下顎骨即時再建を行った症例について報告する。症例は,62歳,男性,下顎小臼歯部の原発性骨内扁平上皮癌であった。下顎骨体部の区域切除後,45mmの長さの下顎骨の欠損範囲を,45mmの長さの下顎骨近位骨片の外側を矢状方向に骨切りを行い進展させ,残存下顎骨を内側へ寄せ歯列弓を狭めた状態で遠心部に接触するように架橋し修復を行った。将来的な歯科用インプラント治療を可能とする骨幅を確保するために,切除した筋突起を架橋した骨の舌側に移植した。術後2年,歯科用インプラントを用いた機能的再建を行った。歯科用インプラント埋入に先立ち,再建部の歯列弓を拡大するために下顎骨体部のstep osteotomyを施行した。左側下顎臼歯部の顎骨再建部には4本の歯科用インプラントを埋入した。インプラント埋入手術から11か月後,最終上部構造を装着し,上顎と下顎欠損部には可撤式部分床義歯を装着した。顎骨再建部には,歯冠用硬質レジンにてスクリュー固定によるインプラントブリッジを作製し,最終補綴上部構造として装着した。
    現在,術後5年以上経過するが,腫瘍再発所見なく,患者はインプラント治療による咬合機能の回復に満足している。
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