日本口腔腫瘍学会誌
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28 巻, 1 号
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症例報告
  • 池田 久住, 白石 剛士, 河井 洋佑, 藤田 修一, 朝比奈 泉
    2016 年 28 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2016/03/15
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル フリー
    類基底細胞扁平上皮癌(Basaloid squamous cell carcinoma:BSCC)は,1986年にWainらによって初めて報告された扁平上皮癌の亜型の一つでありまれな腫瘍である。WHOの分類では高悪性度で予後不良とされている。発症にはアルコールと喫煙の関連が指摘されている。われわれは62歳,男性の口底に発生したBSCCの1例を経験したので報告する。
    口腔内診査では25×20mm の腫瘍を左側口底に認めた。生検組織の検査では類基底細胞からなる胞巣,腫瘍中心部の壊死,細胞の異型性,多数の細胞分裂像,腫瘍周囲上皮の異形成をみとめた。これらの所見からBSCCと診断した。左下顎辺縁切除を含む腫瘍切除と左側根治的頸部郭清術変法を行った。現在,術後2年が経過しているが再発もなく経過良好である。
  • 柚鳥 宏和, 橘 進彰, 松本 耕祐, 石田 優, 松尾 健司, 辻 和志, 古森 孝英
    2016 年 28 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2016/03/15
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル フリー
    導管内乳頭腫は,単胞性の囊胞様に拡張した排泄導管内に腫瘍細胞が乳頭状に増殖している非常にまれな疾患である。舌下腺に発生した導管内乳頭腫の報告は本邦ではまだない。
    われわれは,顎下腺炎を契機に発見された舌下腺に発生した導管内乳頭腫の1例を経験したので報告する。
    症例は38歳女性,右側顎下部の腫脹を主訴に当科を受診した。舌下部の腫瘤によって,顎下腺管は閉塞していた。MR画像にて右側舌下腺内に,単房性で類円形腫瘤を認めた。
    局所麻酔下に腫瘍摘出生検を施行した。病理検査にて,舌下腺に発生した導管内乳頭腫の診断を得た。
  • 柴田 章夫, 木村 将士, 大音 博之, 山田 宗季, 長縄 吉幸, 梅村 昌宏
    2016 年 28 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2016/03/15
    公開日: 2016/03/30
    ジャーナル フリー
    腺様囊胞癌は,高頻度にみられる唾液腺悪性腫瘍のひとつであり,小唾液腺悪性腫瘍の多くを占める。小唾液腺での発生部位は,口蓋が最も多く,次いで舌,頰粘膜,口唇,口底と続く。このうち舌の小唾液腺では,85%以上が舌根部に生じ,舌前方の前舌腺由来に発生することは非常にまれとされる。今回われわれは,舌前方に生じ,前舌腺由来と考えられた腺様囊胞癌を経験したので,その概要を報告する。患者は72歳,男性,左側舌尖部から左側舌縁部に,疼痛を伴う周囲に硬結を触れる腫瘤性病変を認めた。組織生検から腺様囊胞癌と診断した後,十分な安全域を設定し,舌下腺,口底組織,オトガイ舌筋の一部を含め切除した。切除標本の病理組織学的所見は,主に篩状型の腺様囊胞癌であり,切除断端陰性であったが,神経浸潤を認めた。現在1年8か月が経過しており,明らかな機能障害はなく,局所再発,遠隔転移を認めていない。腺様囊胞癌は,神経浸潤による局所浸潤性や遠隔転移により,長期予後が不良とされているため,今後も長期的な経過観察が必要である。
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