日本口腔腫瘍学会誌
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2 巻 , 2 号
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  • 有地 栄一郎, 森口 信二, 神田 重信, 長田 哲次, 大関 悟, 田代 英雄
    1990 年 2 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1985年から1989年の間に九州大学歯学部附属病院において治療および検査を行なった顎顔面領域悪性腫瘍患者21例を対象に, CCTによる頸部リンパ節の描出について検討を行なった。CT検査はSOMATOMDR (Siemens) を用いて4mmスライスあるいは8mmスライスで行なった。CT検査後, 全例について頸部郭清がなされた。検討は手術によって見いだされたリンパ節をretrospectiveにCT画像上で確認するという方法で行ない, 描出率を求めた。描出率は手術材料から得られたリンパ節の数に対するCT上で確認できたリンパ節数の割合と定義した。
    結果を次に示す。
    1.非転移リンパ節を含めた頸部リンパ節の描出率は49.5%であった。
    2.転移リンパ節に限ると描出率は87.1%となり, さらに造影CTを行なった場合は92.3%と高率になった。
    3.転移リンパ節の多くはCT画像上でrim enhancementや不均質に描出されるといった特徴的所見を示した。
    4.横断面上の大きさが大きいほど転移リンパ節の出現頻度も高くなっていた。
    以上よりCT検査は転移リンパ節に対するスクリーニングとして十分に臨床的価値があることが示された。
  • 和気 不二夫, 藤林 孝司, 高橋 雄三, 東 みゆき, 森 良之, 大倉 一徳, 冨塚 清二, 山本 忠浩, 小谷野 俊啓, 三井 妹美, ...
    1990 年 2 巻 2 号 p. 133-144
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上顎歯肉癌の臨床的特徴や治療成績について検討した。
    1975年から1987年までの間に51名の上顎歯肉癌患者が当科に来院し, 治療例は46例であった。T分類ではT2, T4が多く, T4の多くは肉眼視診型で腫瘤型を, X線的骨吸収様式ではinvasive typeを示した。腫瘍浸潤様式ではerosive typeに1, 2, 3型が, invasive typeに3型, 4C型, 4D型が多い傾向がみられた。
    18例は手術単独で治療され, その5年生存率は77%であった。13例は手術, 放射線, 動注の三者併用療法で治療され, 生存率は70.1%であった。治療例全体では60.9%であった。
    またStage I, IIにおいてはおもに手術療法で処置がなされ, Stage III, IVではおもに三者併用療法で治療された。初回治療による原発巣制御率は71.7%であり, 腫瘍最終制御率は63%であった。46例中13例に原発巣の局所再発がみられた。初診時頸部リンパ節転移は10.9%にみられ, 頸部後発転移はNO症例中14.6%にみられた。また経過中遠隔転移は17.4%にみられた。上顎歯肉癌は局所再発までの期間が長いこと, 局所の制御が良好であっても遠隔転移がみられることが特徴的であった。
  • 和気 不二夫, 藤林 孝司, 東 みゆき, 高橋 雄三, 森 良之, 大倉 一徳, 冨塚 清二, 山本 忠浩, 小谷野 俊啓, 三井 妹美, ...
    1990 年 2 巻 2 号 p. 145-156
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上顎洞癌の臨床統計的研究をおこなった。
    1975年から1987年までの間に当科に受診した上顎洞癌患者は46例であり, そのうち治療例は38例であった。症例の大部分は1987年のUICC新分類でT3またはT4であった。多くの症例は手術, 放射線, 5-FUによる局所動注化学療法の三者併用療法で治療された。治療例38例中初回治療による原発巣の制御は17例でみられ, 初回局所制御率は41.7%であった。腫瘍最終制御率は50%であった。初診時所属リンパ節転移は7.9%にみられ, 頸部後発転移はNO症例中28.6%にみられた。治療例全体の5年累積生存率は34.7%であった。治療手順についてみると, 生存率ではあまり差はみられないものの, 三者併用療法の手術と動注を先行させた群では若干局所腫瘍制御が良好であった。また5-FUの投与量は原発腫瘍の制御に関係していると思われた。上顎洞の解剖学的構造からみた原発腫瘍の進展方向別に原発巣局所制御率や再発の場合の再発部位の頻度も分析した。
    初回治療での原発巣の外科的処置の成否が治療成績を左右する重要な要因であると考えられる。頸部リンパ節転移症例の治療成績は悪く, 頸部後発転移の多くは原発巣の非制御に由来するもので, 治療成績の一層の向上のためには初回の三者併用療法で原発腫瘍が残存した場合には拡大切除手術が必要になると思われる。
  • 堀越 勝, 草間 幹夫, 岸 豊子, 小野 富昭, 藤林 孝司, 名倉 英明, 榎本 昭二, 岡田 憲彦
    1990 年 2 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌の再発頸部転移巣の臨床的および病理組織学的検討を行った。頸部郭清手術が行われた165例のうち20例は頸部不制御のため予後不良であった。これら頸部不制御20例のN分類は, 1978年UICC分類ではN3, 1987年分類ではN2bが多く, およそ60%を占めた。しかし, 新旧両分類でNIであった5症例も頸部再発のため予後不良であった。病理組織学的検索で, 頸部不制御20例中の16例に節外転移が認められた。頸部転移部位は顎下部あるいは上内深頸部が多かったが, 頸部郭清後の頸部再発は上内深頸部が多かった。
  • 横江 義彦, 瀬上 夏樹, 村上 賢一郎, 西田 光男, 兵 行忠, 飯塚 忠彦
    1990 年 2 巻 2 号 p. 164-171
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1973年から1988年までに京都大学医学部附属病院口腔外科にて3者併用療法を行った舌扁平上皮癌47例の初診時生検標本の組織学的悪性度について検討した。病期別分類によると, Stage I: 6例, Stage II: 15例, Stage III: 20例, Stage IV: 6例であり, 5年累積生存率は各々100%, 73.3%, 56.1%および83.3%であった。全症例に頸部郭清術が施行されたが, pN分類別では, 生存率は (-) が83.1%, (+) が25.0%であった。
    Anneroth (1987) の分類により組織学的悪性度の点数評価を行った。その平均は13.2±3.6で, 9点以下を低悪性群, 10点以上16点以下を中等度悪性群, 17点以上を高悪性群とすると, 生存率はそれぞれ100%, 84.0%, 13.3%であった。
    6つの組織学的パラメータと生存率との間の推計学的有意差は様々であった。特に浸潤様式, 核異型度および間質反応において強い相関が認められた。しかしながら, 核分裂像と予後との関係には有意差は認められなかった。
  • 川崎 清嗣, 芝 良祐, 鹿嶋 光司, 平部 勇人, 岩崎 浩行, 入野 伸一, 釘宮 淳司
    1990 年 2 巻 2 号 p. 172-180
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    術前治療として, 放射線治療に動注化学療法を併用することの有用性を検討するために, 未治療の頭頸部扁平上皮癌患者14名を対象に, 以下の調査を行った (放治化療併用群) 。なお, 当科にて術前治療として放射線治療のみを受けていた全症例 (10名, 放治単独群) を, 対照として比較検討した。放治化療併用群では術前に動注化学療法 (シスプラチン20mg/m2/week×2回+ペプロマイシン5mg/body/day×10回) と放射線治療 (60Co: 2Gy/day, toal20-30Gy) が, 放治単独群では放射線治療のみ (60Co: 2Gy/day, total 20-34Gy) が術前に施行された。両群とも術前治療終了7~10日後に全摘手術を行い, 摘出物から組織標本を作製して, 大星の分類により治療効果を判定した。結果は, 同分類でGrade IIB以上を有効として有効症例数を比較したところ, 放治化療併用群では79%, 放治単独群では30%が有効であり, 前者の有効率が有意に高かった。副作用に関しては, 口内炎, 脱毛が放治化療併用群で有意に強かった。また, 放治化療併用群を総照射線量20Gyのものと20Gyを越すものとに分けて, 抗腫瘍効果および口内炎の程度を比較したところ, 組織学的抗腫瘍効果には有意差を認めなかったものの, 口内炎の程度については有意差を認めた。即ち, 総照射線量を20Gyに制限することで, 十分な治療効果を保ちながら, 後続治療に影響を及ぼすような重度の口内炎は制御できることが分かった。
  • 島原 政司, 小野 克己, 米永 哲郎, 橋口 範弘
    1990 年 2 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    開業医にて下顎前歯の辺縁性歯周炎による骨吸収の診断のもとに, ヒドロキシアパタイト顆粒填塞手術が行なわれた。その後同部に無痛性腫脹を来し, 経過不良にて当該歯の抜歯, およびヒドロキシアパタイト顆粒の掻爬摘出を行なった。手術創は一旦肉眼的に軽快し, ほぼ正常所見を呈する粘膜で覆われたにもかかわらず, 同部の歯肉の腫脹は軽減せず, さらに下唇にまで増大してきたため, 生検を行なった結果扁平上皮癌であった。
    処置はブレオマイシンを投与するとともに, 腫瘍を下顎骨を含め周囲健康組織を含め切除を行なった。その後3年余を経過した現在, 再発は認められず, 経過良好である。
    今回の症例を経験し, 改めて歯周病変に対し, 日常頻繁に遭遇する疾患であるがゆえに, より慎重な診断の必要性を痛感したので, ここに報告した。
  • 山口 晃, 平塚 博義, 京極 順二, 平田 章二, 関口 隆, 永井 格, 堤田 良二, 辻 司, 野口 誠, 小浜 源郁
    1990 年 2 巻 2 号 p. 188-192
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    今回, 舌癌2症例に対して, 1症例はOK-432を腫瘍内及び腫瘍周囲に注射後, PBO療法を併用した。また他の1症例ではOK-423の局所投与前後にPP療法を併用した。その結果は良好であり両症例ともにCRであった。したがって免疫化学療法は上述した治療によって免疫能が増強を示す舌癌患者に対してより有効であると考えられた。
  • 加藤 裕之, 水城 春美, 小野 敬一郎, 松島 凜太郎, 清水 正嗣
    1990 年 2 巻 2 号 p. 193-198
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    線維腫症は軟組織における線維性組織の腫瘍状増殖で, 四肢および頸部を好発部位とし, 口腔顎顔面領域での発生はまれである。
    われわれは, 6か月男児の左頬部に発生した線維腫症の一例を経験した。生後2週に, 母親が患児の左頬部の腫瘤に気付き, 1990年5月24日, 当科を受診した。初診時, 頬部皮膚の一部と癒着している35×30mmの硬結を認めた。CTにて, 辺縁不整な25×18mmの腫瘤を認め, 左頬部の周囲組織との連続性が疑われた。超音波検査にて, heterogeneousおよびhypoechoicな像を認めた。その結果, 悪性腫瘍が疑われた。
    1990年6月6日, 全身麻酔下にて, 周囲健常組織を含む腫瘤摘出を施行した。腫瘤は約40×25×20mmで, その割面は充実性で淡黄白色を呈していた。
    顕微鏡的所見では, 腫瘤は異型を伴わない紡錘形細胞からなっており, コラーゲンの増生を伴った線維性組織の錯綜を認め, 線維腫症と組織学的に診断された。
    術後4か月の現在, 再発や転移の兆候はない。
  • 中道 直司, 水野 明夫, 片山 貴之, 式守 道夫, Toshihide Nakamura
    1990 年 2 巻 2 号 p. 199-207
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉癌で, 一次根治的手術後再発がみられた4症例につき臨床的および病理組織学的検討を行った。全例高分化型扁平上皮癌であった。
    症例1: 57歳, 女性。T2N1M0, StageIII。術後1年1か月で再発。好状況下で再治療により一次治療開始より10年8か月の現在経過良好。
    症例2: 46歳, 女性。T4N1M0, StageIV。腫瘍の著しい浸潤傾向があり, 術後4か月で耳下腺部に再発。腫瘍死。
    症例3: 59歳, 男性。T2N2cM0, StageIV。術後2年6か月で再発, しかし, その発見が遅れた。腫瘍死。
    症例4: 72歳, 女性。T2N0M0, StageII。術後3か月で再発。極めて浸潤性が強く, 経神経的進展もみられ腫瘍死。
  • 内田 雄基, 久保田 英朗, 黒河 博之, 後藤 昌昭, 香月 武
    1990 年 2 巻 2 号 p. 208-218
    発行日: 1990/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    チタンメッシュトレイ, 自家骨移植およびD-P皮弁を用い下顎の再建を行った放射線骨壊死症例を経験した。患者は57歳男性で, 1980年7月から1983年9月までに下咽頭, 喉頭, 食道癌のため手術と顔面, 頸部に総線量120Gyの放射線治療を受けた。この症例には右顎下部に瘻孔, 右下顎骨部に病的骨折があった。口腔皮膚瘻閉鎖のため, D-P皮弁を適応した。D-P皮弁の遷延法を行い, その3週間後, D-P皮弁を顎下部に縫着した。その3週間後, 皮弁付着部より14cmのところでこれを切離し, 回転させ, その断端を顎下部に縫着し, 有茎皮弁を形成した。その1カ月後, 腐骨を含む顎骨を区域切除し, ロジャーアンダーソン装置にて一時顎骨を固定した。口腔粘膜の欠損は皮弁の前方付着部から4.5cmのところで切離し, 有茎皮弁の後方部分で閉鎖した。瘻孔閉鎖が確認された後, ロジャーアンダーソン装置をA-Oプレートで置換した。残りの有茎皮弁で口腔外軟組織欠損の修復を施行した。7ケ月後, 最終的に, チタンメッシュプレートと自家腸骨移植で顎骨再建を施行した。これらの手術方法によって, 患者はおおむね咀嚼機能を回復することができた。口腔癌の放射線療法に合併した下顎骨放射線骨壊死の病因論とその外科処置の困難さについて考察した。
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