日本口腔腫瘍学会誌
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13 巻, 4 号
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  • 西松 成器, 梅田 正博, 小松原 秀紀, 渋谷 恭之, 横尾 聡, 古森 孝英
    2001 年 13 巻 4 号 p. 167-171
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌で節外浸潤を伴う頸部転移を認めた場合, 予後は著しく不良である。当科では1992年以降, 節外浸潤例に対して術後照射を施行してきた。今回, 節外浸潤例に対する術後照射の有用性に関して臨床的に検討し, 以下の結果を得た。
    1) 術後照射が施行された照射群17例と非照射群12例との間に, 照射群でやや進展例が多くみられたものの, 治療時期以外の背景因子に特に差はなかった。
    2) 照射群と非照射群との間で頸部制御率や生存率に有意差は認められなかった。
    3) 死亡例の平均生存期間は非照射群より照射群の方がやや延長していたが, 入院期間も長くなっていた。
    4) 以上のように今回の検討では節外浸潤例に対する術後照射の有用性は確認できなかった。
  • 渡邉 八州郎, 斉木 名執, 今井 裕, 藤盛 孝博, 藤林 孝司
    2001 年 13 巻 4 号 p. 173-181
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究は舌癌において腫瘍浸潤範囲を手術前に察知する上でMR画像の有用性について45症例を用いて評価したものである。MR画像上で計測した腫瘍浸潤の深さを手術で切除された当該症例の病理組織標本での実際の腫瘍浸潤範囲と比較検討した。腫瘍病変の描出能についてT1強調像, T2強調像, 造影強調像の3タイプのMR画像について比較検討を行った。これら3群の中ではT2強調像が腫瘍検出の点では最も高い精度を示した。次に, 各々の病理組織切片での腫瘍範囲を計測し, 病理組織標本の作製過程に伴う標本の縮小率を計算した。補正した病理組織学的腫瘍深達度はこれらの標本の縮小率を考慮して補正したものである。補正した病理組織学的腫瘍深達度はMRI上での腫瘍深達度と統計学的に有意な相関が認められた。肉眼的な腫瘍発育様式, 組織学的な腫瘍浸潤様式では, その様式別に分類した各群間に有意差は認められなかった。一方, 間質におけるリンパ球・形質細胞浸潤が軽度ないし細胞浸潤なしの症例群においてはMRI上の腫瘍深達度と病理組織上の腫瘍深達度との相関係数は有意な値を示した。ところが, リンパ球・形質細胞浸潤が強度もしくは中等度の症例群では有意な相関は認められなかった。このことからMR画像上で診断される腫瘍の深さは, 実際の腫瘍深達度と一般的にはよく一致しているが, 間質におけるリンパ球・形質細胞浸潤が強い場合にはMR画像上の腫瘍の深さの診断には十分な注意が必要であることが示唆される。
  • 立石 晃, 山崎 正詞, 大西 正信, 岡部 貞夫
    2001 年 13 巻 4 号 p. 183-188
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌患者に対し日本の口腔外科医が癌告知をどのように行っているのか, その現状と問題点をさぐる目的で本研究を行った。九州・沖縄, 近畿, 中部地区の口腔外科施設を対象に15項目からなる癌告知に関する質問表を送付した。90施設 (87.4%) より回答を得た。44施設 (48.9%) で癌告知を常時もしくは多く行っていた。27施設 (30%) では家族の了承を得た後に患者に告知を行っていた。73施設 (81.1%) は近い将来癌告知は本邦でも普及すると考えていた。57施設 (63.3%) で口腔癌告知の障害として告知後の精神的サポート体制の不十分を挙げていた。
    今回の調査では49%が口腔癌告知に積極的姿勢を示していた。1994年の富田の調査では70%が口腔癌告知に否定的であった。口腔外科医の癌告知に対する態度の変化は明かであった。
    本研究の結果より, 今後更に口腔癌の告知は普及すると思われる。しかし, 癌告知後の患者への精神的サポート体制の確立が'必要である。
  • 横田 光正, 宮手 浩樹, 石川 義人, 松浦 政彦, 降旗 球司, 工藤 啓吾, 三浦 廣行, 武田 泰典
    2001 年 13 巻 4 号 p. 189-193
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    乳児型線維肉腫は非常に稀で全小児腫瘍の約0.4%の発生率といわれ, その大部分が四肢の軟組織に発生する。
    口腔領域では軟部組織に生じた3例と下顎骨内に生じた1例が報告されている。乳児型線維肉腫は成人型より増殖が急速で細胞成分に富み, 速やかに骨組織を吸収するが転移は少ないといわれている (7.3%-8.3%) 。治療は手術療法が第一選択とされ, 広範な切除により局所再発が少ない。5年生存率は発現時期で異なるが, 50-85%とされている。われわれは, 9歳女児の上顎両側埋伏犬歯を含む腫瘍性病変に対しInterleukin-2 (IL-2, 70万国内標準単位/日) を投与後・全身麻酔下に上顎骨部分切除術を施行し, 創部の治癒後, 欠損部に顎義歯を装着し, 咬合と顔貌の改善を試みた。5年間, 再発や転移を認めず経過良好である。
  • ―MR画像と病理組織学的所見との対比―
    渡邉 八州郎, 岩瀬 建博, 朝倉 節子, 冨塚 清二, 酒井 英紀, 佐々木 忠昭, 今井 裕, 藤林 孝司
    2001 年 13 巻 4 号 p. 195-198
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌癌における腫瘍の診断にはMRIも多く用いられているが炎症等の非腫瘍性変化を伴うときは, 画像上の予想浸潤範囲が実際の腫瘍浸潤範囲と異なることも経験される。そこで, 今回術前MR画像診断における予想腫瘍局在範囲と実際の手術切除物の病理組織学的浸潤範囲との整合性, 組織分化度や浸潤部の間質反応の要因を含めて検討を行った。対象は1990年から2000年までの間に当科を受診し, 病理組織学的検査にて診断された舌扁平上皮癌でMRI撮影した45例とした。MR撮影装置はSHIMADZU社製, 超伝導1.5Tで, 撮影法はスピンエコー法, T1強調像, T2強調像, 造影MR画像を行った。画像評価として腫瘍の有無の判定のほか予想腫瘍浸潤範囲の計測を行った。切除物の病理組織学的浸潤範囲の計測, 組織分化度, 浸潤様式, 間質のリンパ球浸潤, 線維化の有無について評価を行った。T1強調像における感度は64.5%, 特異度70%, 精度65.5%, T2強調像の感度は89.9%, 特異度80%, 精度87.3%, 造影MR画像, 感度は75%, 特異度90%, 精度78.6%, となり, 感度は特にT2強調像で最も高く腫瘍の検出には有効であると考えられた。発育様式, 分化度, 浸潤様式, 間質におけるリンパ球浸潤, 線維化の有無について, MR診断の感度が高かったT2強調像での腫瘍境界性状について大きく明瞭型と不明瞭型の2群にわけその関連性をFisher検定にて求めた。その結果, 特に内向型の発育様式を示す腫瘍で不明瞭型を示す傾向がみられた。次に病理組織学的腫瘍深達度が20mm以下の群と20mmをこえる群の2群に分け, 3タイプのMR撮像条件における両者の相関係数を求めたところ腫瘍径20mm以下の群よりも20mmをこえる群において, 特にT2強調画の相関係数は0.91と高値で強い相関を示した。T2強調画は切除範囲の決定に参考になると考えられた。
  • ―精度の高い検出を目指して―
    佐藤 徹
    2001 年 13 巻 4 号 p. 199-200
    発行日: 2001/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
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