日本口腔腫瘍学会誌
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10 巻 , 4 号
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  • 伊藤 道一郎, 宮崎 力, 上谷 猛, 馬場 信行, 空閑 祥浩, 水野 明夫
    1998 年 10 巻 4 号 p. 235-243
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    メタロチオネイン (MT) は低分子量 (6000-7500) の金属結合蛋白で, 最近, 腫瘍などの細胞増殖との関連についての重要な知見が得られている。今回, 口腔粘膜扁平上皮癌再発症例 (n=12) において, MT発現について免疫組織化学的に検討した。ホルマリン固定・パラフィン包埋標本を抗MT抗体を用いたavidin-biotin peroxidase complexmethodにより染色し, 陽性率を算出した。扁平上皮癌非再発症例 (n=21) および再発症例 (n=12) の初発時のMT陽性率はそれぞれ40.8%, 70.1%で, 両者間に統計学的有意差が認められた。また, 再発症例の初発時および再発時のMT陽性率は, それぞれ, 70.1%および76.7%で, 両者間に統計学的有意差は認められなかった。しかしながら, 再発症例 (n=9) を症例別にみてみると, 再発時のMT陽性率が増加傾向を示した6例は, すべてが腫瘍死であったのに対し, MT陽性率が減少傾向を示した3例は, すべてが予後良好であった。したがって, 免疫組織化学的なMT陽性率の検索は, 口腔粘膜扁平上皮癌症例における腫瘍細胞の性質を把握する上で意義があり, 臨床的には治療法の選択, 患者の予後予測の一指標として有用と考えられた。
  • 岳 麗華, 岩井 正行, 欒 桂琴, 和田 重人, 石井 義人, 伊藤 重人, 佐渡 忠司, 古田 勲
    1998 年 10 巻 4 号 p. 244-253
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    鍍銀染色を用いて62症例の舌扁平上皮癌の生検組織における核小体形成体を検索し, AgNORsの発現状況と舌癌の臨床病理学的所見, 増殖細胞核抗原 (PCNA) および治療成績との関連性について検討した。正常舌粘膜上皮の1細胞当たりのAgNORsの平均値は1.6±02 (n=10) で, 癌組織細胞では3.6±1.1 (n=62) であり, 両者の間に有意差が認められた (p<0.0001) 。臨床病理学的所見との関連では, 平均AgNOR数は進展進行癌 (T3-T4, N1-N2, StageIII-IV) では早期癌 (T1-T2, NO, StageI-II) より高値を示した。同様に高いAgNOR数がWHOのGradeIII, び漫性浸潤, 異型度「強」の癌で算定された。また, AgNORsはPCNA LIと正の相関が認められ, 両者の間に密接な関連性が得られた (r=0.520, p<0.0001) 。予後との関連では, 平均AgNOR数は局所再発, 所属リンパ節転移の認められた群で高値であった。AgNORs低値群 (生存率: 86.0%) と比較するとAgNORs高値群では5年累積生存率は低く (63.5%) , 両者間に有意差が認められた (logrank: p=0.04) 。これらの成績からAgNORsの出現状況は舌癌の悪性度と細胞増殖能を反映することが示唆された。
  • 熊谷 茂宏, 川尻 秀一, 柿原 謙一郎, 寺井 功一, 山本 悦秀
    1998 年 10 巻 4 号 p. 254-259
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔扁平上皮癌における後発頸部転移の発現時期は大部分が1年以内である。われわれは, 上顎歯肉癌の原発巣切除後3年11か月経過した後に後発転移をきたした稀な症例を経験したのでここに報告した。患者は67歳の男性で, その左側上顎歯肉部の扁平上皮癌 (T1N0M0) に対し, 術前化学療法と腫瘍の局所切除を初回治療として行った。初回治療終了後3年11か月経過後に左側頚部に転移性腫瘍が発現した。そこで, 直ちに左側頸部の根治的郭清術を行ったが, その後頸部腫瘍が再発し, 最終的に患者を救命することはできなかった。組織学的検査の結果では, 原発腫瘍および頸部転移腫瘍は山本・小浜分類の癌浸潤様式4D型を呈していた。頸部転移の発現がこのように遅れたのは, リンパ節内の癌細胞が長い間“静止状態”にあり, その後突然, 増殖が活発になったためと考えられる。本症例の臨床経過を考慮すると, 4D型腫瘍に対する予防的頚部郭清の必要性があらためて認識された。
  • 高橋 由美子, 岸本 裕充, 柳澤 高道, 浦出 雅裕
    1998 年 10 巻 4 号 p. 260-265
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    われわれは心転移を含む多発性遠隔転移をきたした口腔癌の2例を経験した。日本病理剖検輯報 (1988年~1992年) によると口腔 (口唇, 舌, 歯肉, その他の口腔および大唾液腺) 原発悪性腫瘍の主な転移臓器は肺・気管・気管支 (48.8%) , 肝・肝内胆管 (24.2%) , 骨・骨髄・椎骨 (22.0%) であった。心臓 (9.1%) は第9位の転移率であった。心 (心筋) 転移率に関しては, 口腔原発悪性腫瘍剖検例では肺原発悪性腫瘍剖検 (10.2%) に次いで高く, また, 口腔原発悪性腫瘍剖検例の中では舌原発悪性腫瘍剖検例 (13.1%) で最も高かった。口腔悪性腫瘍患者の末期においてはこれまで考えられていた以上に心転移症例が多いことが示唆された。
  • 清水 正嗣, 神田 重信
    1998 年 10 巻 4 号 p. 266
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 足立 秀治, 大野 良治, 河野 通雄, 梅田 正博, 寺延 治, 島田 桂吉
    1998 年 10 巻 4 号 p. 267-274
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔癌における頸部リンパ節転移のCT, MRI診断の診断基準と正診率につき述べ, 文献的考察を行った。CTやMRIにおける転移リンパ節の診断基準は1) リンパ節腫大, 2) 内部の壊死, 3) リンパ筋周囲の境界不明瞭 (節外浸潤) である。機器の進歩によりCTやMRIの画質は改善し, 小さなリンパ節の検出能は向上しているが, 腫大のないリンパ節転移や炎症性リンパ節腫大があるため正診率の改善はみられず, 画像診断の限界と思われる。
  • 石井 純一, 長澤 宏和, 和田森 匡, 山城 正司, 山根 正之, 石川 均, 宮倉 毅, 神谷 貴充, 鈴木 鉄夫, 岩城 博, 天笠 ...
    1998 年 10 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ節転移に対する超音波診断の有用性を検討するために頸部郭清術症例139例 (155側) を対象にし, 以下の結果を得た。
    1.短径10mm以上の転移リンパ節で描出されたものは93%であった。
    2.経過観察中転移リンパ節になった症例は短径の増大 (10mm以上) と内部エコーの出現であった。
    3.超音波診断による転移リンパ節の正診率は85%であった。
    4.偽陰性例は頸部リンパ節全般にわたって見られ組織学的には微小転移が多かった。
    5.偽陽性は上内深頸リンパ節と顎下リンパ節であった。組織学的には反応性のリンパ節炎が多かった。
    以上から転移リンパ節に対する超音波診断の有用性が示された。
  • 林 孝文
    1998 年 10 巻 4 号 p. 282-287
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    およそ1か月に1回の頻度のUSによる経時的変化の追跡により, リンパ節内の微小転移巣を高エコー域として検出し得たN0舌癌の3症例を供覧した。これらはいずれも患側中内深頸リンパ節であり, CTでは検出不能であった。高エコー域は, 病理組織学的には著明な角質変性の反映であり, 初診時には認められなかったが, ある時点で出現するという顕著な変化を示していた。N0舌癌の画像によるリンパ節の経時的変化の追跡においては, 特に中内深頸リンパ節の動向に留意すべきと思われる。USによる経時的変化の追跡は, 可能ならば2週に1回, 少なくとも1月に1回の間隔で行うべきと考える。
  • 湯浅 賢治, 河津 俊幸, 神田 重信
    1998 年 10 巻 4 号 p. 288-296
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕口腔癌の頸部リンパ節転移に対するCTおよび超音波断層法による画像診断の手順を示すとともに, 画像診断では判定不能である場合も考慮した診断基準とその診断能について検討することを目的とした。
    対象および方法: 手術所見・病理組織所見と画像との対応ができた腫大リンパ節を有する口腔扁平上皮癌147例 (173側) を対象とした。
    CTについては, リンパ節の検出能および転移・非転移リンパ節の各造影所見の出現頻度および短径の分析を行った。超音波断層法については, 各内部エコー所見の出現頻度および長径, 短径, 長短径比の分析を行った。
    結果: 摘出された転移リンパ節のうち約10%は, CT検査では腫大リンパ節としての存在すら見逃されていた。不均一な造影所見またはrim-enhancementを呈したリンパ節の割合は, 転移リンパ節では, 50.9%, 非転移リンパ節では4.5%であった。
    超音波所見においては, 転移リンパ節では, 強いparenchymal echoeを有する場合が最も多く, 56.9%に認められた。非転移リンパ節では, 強いparenchymal echoを持たず, hilusを有する場合が最も多く, 66.5%に認められた.強いparenchymal echoおよびhilusを有しないが短径1.0cm以上または長短比3.5以上であったリンパ節の割合は, 転移リンパ節ではそれぞれ27.4%, 1.5%であり, 非転移リンパでは3.0%, 13.5%であった。
    〔結語〕「転移である」または「転移でない」のどちらかを選択する二者択一的な診断基準ではなく, 画像上では判定不能とする基準も設けた本研究の診断基準は限界はあるものの, これまでの診断基準に比べより臨床的であろうと考える。
  • 田中 信幸, 山口 晃, 中野 敏昭, 平塚 博義, 小浜 源郁
    1998 年 10 巻 4 号 p. 297-303
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    当科では, 臨床病理学的所見を用いた多変量解析から転移リンパ節の有無に対する判別式を作り, これから得られた結果を考慮して頸部郭清術を施行している。今回, 舌, 口底, 下顎歯肉原発の扁平上皮癌症例245例中, 頸部郭清術を施行した71症例を対象に術前の頸部転移巣に対する超音波診断と原発巣の病理組織学的悪性度との関連について検討した。超音波診断でNegativeと診断されたが, 臨床病理学的所見から転移が疑われた23頸部中11頸部に, Suspectedと診断された44頸部中24頸部に病理組織学的に転移巣がみられ, それらの原発巣の病理組織学的悪性度は高悪性であった。超音波診断でPositiveと診断された20頸部中18頸部に転移巣がみられた。以上の結果より, 口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移の診断は超音波検査と原発巣の臨床病理組織学所見, 特に悪性度を考慮に入れてなされるべきであることが示唆された。
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