日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
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21 巻, 1 号
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総説
原著
  • 菅野 真人, 川村 貴史, 松本 誠, 阿部 亮輔, 長澤 大, 古城 慎太郎, 八木 正篤, 水城 春美, 泉沢 充, 中里 龍彦
    2009 年 21 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,放射線同時併用超選択的動注化学療法を施行した口腔扁平上皮癌症例について,その治療効果と副作用について検討した。対象は,2004年1月から2007年6月までに当科において放射線併用超選択的動注化学療法(Seldinger法)を施行した口腔扁平上皮癌22例であった。原発部位は下顎歯肉8例,舌が6例,上顎歯肉と頬粘膜がそれぞれ4例で,病期分類はStage Iが1例,IIが6例,IIIが2例,IVが13例であった。投与薬剤は,ドセタキセルの動注,CDDPの動注もしくは静注,5-FUの静注の3剤併用を基本とし,放射線量は30~60Gyであった。治療効果は,18例(81.8%)でCRであり,3例(13.6%)でPR,判定不能が1例(治療に関連する合併症で死亡)であった。PRの3例では手術が行われ,病理組織学的治療効果は3例ともにGrade IV(大星―下里分類)であった。再発は21例中2例(9.5%)で認められた。治療に伴うGrade 3以上の有害事象として,リンパ球減少77.3%,白血球減少54.5%,好中球減少36.4%,ヘモグロビン減少22.7%,血小板減少9.1%,感染が27.3%にみられた。特にリンパ球減少が多くの症例で認められ,発熱や感染に関連することが推測された。現在の所,リンパ球減少に対する有効な薬剤はなく,本治療法施行時にはリンパ球数の監視および積極的な栄養管理による免疫能の維持が必要と考えられた。
  • 野口 忠秀, 土屋 欣之, 伊藤 弘人, 松本 浩一, 小佐野 仁志, 神部 芳則, 草間 幹夫
    2009 年 21 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    われわれは,下顎骨切除後の再建において,下顎骨再建プレートと軟組織再建を用いた下顎再建例における合併症の頻度と内容について検討した。
    対象は,下顎骨切除後に再建プレートと遊離組織皮弁あるいは有茎皮弁により再建を行った22例を対象とした。内訳は,男性14例,女性8例,年齢は35歳から81歳(平均:68.0歳)であった。原疾患は,下顎歯肉扁平上皮癌が最も多く17例,次いで舌下腺腺様嚢胞癌,下顎エナメル上皮腫がそれぞれ2例,下顎軟骨肉腫が1例であった。術前治療を行ったものが13例で内訳は化学療法(C)+放射線治療(RT)が5例,Cのみが4例,RTのみが4例であった。術後治療は7例で,内訳はRTのみが6例,C+RTが1例であった。
    再建プレートの合併症は6例(27.2%)で,スクリューの緩みが3例,破折,感染,露出がそれぞれ1例ずつであった。スクリューの緩み,破折と感染はいずれも近位端で発現していた。また再建プレートの合併症の発現は,有歯顎で十分に咬合負荷が可能な症例であった。
    下顎切除後のプレート再建を行う際は,術後合併症を避ける方策をとるべきと考える。
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