日本口腔腫瘍学会誌
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15 巻, 2 号
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  • 宮澤 英樹, 栗田 浩, 倉科 憲治
    2003 年 15 巻 2 号 p. 25-29
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1980年Gaudererらにより経皮内視鏡的胃瘻造設術 (PEG) が開発されて以来, 経口摂取障害を持つ患者に対しPEGが施行されてきた。口腔癌治療ではしばしば嚥下障害を後遺することがある。従来よりこうした症例に対しては経鼻法が一般的であったが, チューブを頻回に交換するといった欠点や, 逆流性の誤嚥が報告されてきた。中心静脈栄養 (Intravenous high calory infusion; IVH) もまた, こうした患者に対して施行されてきたが, 常に感染の危険性が伴うのが現状である。
    我々は今回, 口腔癌術後摂食障害に対してPEGを施行し胃瘻造設を行った症例について報告した。PEGは, 摂食障害症例に対して十分な栄養摂取を可能とする有用な方法であった。
  • 空閑 裕紀, 尾原 清司, 佐々木 秀和, 田部 眞治, 吉村 安郎
    2003 年 15 巻 2 号 p. 31-36
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    エプーリスは歯肉に生じた良性の限局性腫瘤の総称で, 比較的よくみられる疾患である。今回われわれは, 下顎歯肉に発生した巨大な骨形成性エプーリスの1例を経験したので報告する。患者は78歳, 女性。右側下顎臼歯部歯肉の腫瘤形成を主訴に来院。腫瘤は右側下顎臼歯部歯肉にあり, 弾性硬, 有茎性であった。表面は平滑であるが数か所の潰瘍を伴っていた。
    X線写真では, 腫瘤内に小さな放射線不透過性陰影が散在し, 多くの石灰化物を思わせた。また, 生検組織所見は炎症性肉芽組織であった。全身麻酔下に腫瘤摘出術を行ったところ, 腫瘤下に歯槽窩を確認した。摘出物は約61×48×40mm, 重さ約50gであり, 組織学的には膠原線維の増生を伴う線維性結合組織と, 骨芽細胞に囲まれた層板骨が散在していた。
    最近10年間で長径3cm以上の巨大なエプーリスについて20症例の文献を渉猟することができ, 中でもわれわれの症例は中程の大きさであった。自験例を含めこれらの報告について, 患者の年令, 性別, 病変の部位, 大きさ, 治療について考察した。
  • 清水 正嗣, 河野 憲司, 藤原 省三, 野口 琢矢, 後藤 陽一郎
    2003 年 15 巻 2 号 p. 37-41
    発行日: 2003/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    左側上唇皮膚混合腫瘍の68歳男性の症例を報告した。腫瘍は上唇左側下中央部に小硬結として発症, 4か月で小膨隆に進展し, 大きさは約10×10×7mm, エコー検査などで境界明瞭, 良性の腺系腫瘍と臨床診断した。そこで試験切除なしに一期的に腫瘍全切除, 欠損皮膚部を含めて修復再建が必要との方針を立てた。同腫瘍一形成外科的手術が, 2002年03月15日に入院, 同日局麻下に行われた。左側上唇vermilion border上方に径約12mmの皮切と共に腫瘍全摘, 深さ約10mm, 右上方に形成のために弧状切開を加え, 組織一部切除及び皮膚と筋層の移動を伴って, 左右バランスを取りつつ口唇形成を実施した。摘出物の組織学的診断は, 皮膚付属組織関連の良性混合性腫瘍 (軟骨様汗管腫) , 周囲に腫瘍組織残留なし。更にその組織所見は, 唾液腺原発の多形性腺腫と強く類似していた。経過は順調, 術後13か月余の現在, 形態的, 機能的に問題なく患者も満足している。
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