日本口腔腫瘍学会誌
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5 巻 , 2 号
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  • 清水 正嗣
    1993 年 5 巻 2 号 p. 87-100
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    日本口腔腫瘍学会はその起源を10年前の1983年2月26日, 大分医科大学において創設された口腔腫瘍懇話会に見いだす。
    これら10年間におけるその歴史は, 懇話会時代 (1983―'85) , 研究会時代 (1986―'88) , 日本口腔腔腫瘍学会時代 (1989年より今日に至る) の3時代に分類される。
    各々の時代は, その学術発表会, あるいは研究会そして学術総会を開催し, また, 各々の学術発表雑誌を発行した。本論文では, それらの内容が相当に詳細に検討され, 記述された。
    本学会の会員数は, 1983年創設時の69名から, 1992年には, 991名にまで増加した。
    本学会の学術機関雑誌, 日本口腔腫瘍学会誌 (口腔腫瘍と略記) は, 年2回発行であったが, 年3回以上の発行が会員より強く希望され, 1993年よりまず年3回が実現した。
    本学会の特長は, その1983年に口腔腫瘍懇話会として創設された時の精神にある。会員はその研究を平等に発表する権利を持ち, その発表課題に関する討論を, その会員の社会的身分, 立場などに関係なく民主的に, なんらの差異なく実施できる。
    ある課題は, 時間に関係なく討論されるし, あるいは, 時間がどうしても取れない時は, 次の学会における重要課題として, 持ち越して発表, 討議される。本学会または, 学術総会には, 口腔腫瘍に学問的関心を持つ者なら誰でも, また地域的制限無く, かつ, どの基礎, 並びに臨床の分野からでも参加できる。
    近い将来には, 本学界の発展は, 日本国内のみで無く, 国境を越えて広がり, 学問的にも広く認められ, 世界中の多数の国々から参加者を得て, 国際的存在になるであろう。
  • 大鶴 洋, 福武 公雄, 五百蔵 一男
    1993 年 5 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    進展舌癌の治療成績の向上および術後機能障害の軽減を目的として, 術前組織内照射と手術併用の治療が試みられた。患者は, 進行症例4症例で, その内訳は, 75歳女性, 51歳男性, 34歳女性, 55歳男性であった。組織内照射は舌癌治療においては確立しているが, その適応は腫瘍の大きさと部位に制約される。組織内照射は舌正中部の腫瘍を縮小させる目的で行った。その結果, 手術は舌半側切除にとどまっているので, 術後の機能障害は軽度である。経過は良好で最短1年10か月から最長7年7か月であるが, 4例とも再発なく生存している。
  • 小宮 善昭, 高森 康次, 内田 育宏, 岩本 昌平
    1993 年 5 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1976年5月より1990年12月までの15年間に, 都立駒込病院で治療した19例の頬粘膜扁平上皮癌の一次症例について検討した。患者の平均年齢は70.6歳であった。
    (1) . UICCによる病期分類はT3, T4の進展症例が多く, NO症例は63.2%, 全例MOであった。
    (2) .治療法は一次治療法により放射線治療群と手術治療群の2群に分けて検討すると, 放射線治療群が9例 (50.0%) で, 全例が放射線単独であった。併用療法をおこなった症例のうち, 手術前後に照射をおこなったのは2例, 手術単独が3例で, それぞれの局所制御率は放射線治療群が44.4%, 手術前後に照射をおこなったのは0%, 手術単独が100%であった。病期別にはStage IIIが37.5%, Stage IVが100%で, 部位別では頬粘膜57.1%で, 日後部では50%であった。
    (3) . 19例の頬粘膜癌全体の5年累積生存率は55.1%であった。T分類別の5年累積生存率はT1が66.7%, T2が64.8%, T3が34.3%, T4が53.3%であった。治療法別では, 手術治療群は76.5%と放射線治療群の36.8%より優位であった。
  • 鹿嶋 光司, 芝 良祐, 迫田 隅男, 有馬 良治, 伊保木 幹生
    1993 年 5 巻 2 号 p. 118-127
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1979年から1991年までの13年間に当科を受診した悪性腫瘍患者303名中, 未治療の上顎洞扁平上皮癌症例は14例で, これらの症例と, 同じく未治療の上顎歯肉, 硬口蓋および上顎骨中心性に生じた扁平上皮癌症例14例を臨床統計学的に比較した。上顎洞扁平上皮癌症例ではT3もしくはT4 (1987年UICC制定) の進展症例が多数を占めたが, 初診時頸部リンパ節転移を認めた症例は14例中1例のみで, 上顎歯肉癌症例, 上顎中心性癌症例に比較して, 有意にその頻度は低かった。上顎洞癌症例のほとんどは手術, 放射線および動注化学療法のいわゆる三者併用療法が施行され, 腫瘍制御率が50.0%, Kaplan-Meier法による5年累積生存率は52.1%であった。1987年以降当科では20Gyの外照射とシスプラチンもしくはカルボプラチンとペプロマイシンを用いた術前動注化学療法を組み合わせた術前治療ののち, より積極的な切除手術を行っており, 比較的良好な結果を得ている。
  • 峯村 俊一, 栗田 浩, 小林 啓一, 田村 稔, 倉科 憲治, 小谷 朗, 松尾 清, 山崎 正詞, 武田 進
    1993 年 5 巻 2 号 p. 128-138
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1977年から1990年までの14年間に口腔癌54症例に対して56回の根治手術と種々の皮弁・筋皮弁 (64皮弁) を用いて即時再建を行い, これらの症例の臨床的観察を行った。
    一次症例は32例 (Stage II: 5例, Stage III: 8例, Stage IV: 19例) , 二次症例は22例であった。
    原発部位は舌が20例, 下顎歯肉が12例, 口底が10例, 頬粘膜と口峡咽頭が5例, 上顎歯肉と顎下腺が1例であった。病理組織型は扁平上皮癌が51例, 唾液腺癌が2例, 未分化癌が1例であった。切除範囲は原発部位と病期により様々であった。再建に用いた皮弁は大胸筋皮弁が31例, DP皮弁が18例, 広背筋皮弁が7例, 前腕皮弁が5例, 胸鎖乳突筋皮弁が2例であった。平均手術時間は8時間50分, 平均出血量は14939, 皮弁の完全生着率は71.4%であった。5年累積生存率は一次症例が51.7%, 二次症例が24.1%, 全症例では42.5%であった。
    これらの結果より口腔癌進展例において, 切除手術と即時再建の組み合わせは有効な治療法と思われたが, 今後の課題としては適確な治療方針の選択により二次症例を減少させること, 遠隔転移の防止に有効な化学療法の開発, 重複癌の早期発見, 良好な機能回復のための中咽頭の再建法, 生体材料の開発が重要と考えられた。
  • 内藤 玲子, 上山 吉哉, 真野 隆充, 森田 巨樹, 松村 智弘
    1993 年 5 巻 2 号 p. 139-148
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    舌癌患者 (T4NOMO) にCBDCAとPEP併用による化学療法施行時, DLFと考えられている白血球減少症の防止のために隔日ごとにG-CSF70μgを投与した。白血球数は正常値以上に維持出来たが, 化学療法4および5クール目で血小板数の減少が認められた。そこで抗癌剤の投与量の減少を余儀なくさせられた。
  • 坂下 英明, 宮田 勝, 宮本 日出, 車谷 宏, 内海 順夫
    1993 年 5 巻 2 号 p. 149-155
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    腺様嚢胞癌は, 頭頸部のいかなる部位にでも発生するが, その発生頻度は比較的まれな腫瘍である。特に, 舌下腺原発腺様嚢胞癌の症例報告はまれである。本報告では, 高齢者に発生した舌下腺原発腺様嚢胞癌を報告した。
    80歳・男性が左側口底から舌にかけての知覚麻痺と硬結を主訴として来科した。左側口底に, 約27×15mmの弾性硬, 不動性の腫瘤を認めた。臨床診断を左側口底悪性腫瘍とした。試験切除時の病理組織像は, 腺様嚢胞癌であった。全身麻酔下に, 気管切開術・局所拡大切除術・上頸部郭清術をおこなった。術中, 神経周囲浸潤が疑われたため, 舌神経および舌下神経を切除した。また, 顎下およびオトガイ下リンパ節転移が認められたが, 高齢者であったため, 上頸部郭清にとどめた。欠損腔は残存舌にて閉鎖した。術後, 放射線治療が選択された。局所および頸部リンパ節は制御されたが, 術後観察中に多発性微小肺転移が認められた。
    摘出物の病理組織像は, リンパ節転移・静脈侵襲・神経周囲浸潤を伴った舌下腺原発腺様嚢胞癌であった。
    本邦における文献では, 本症例を含めて18例の舌下腺原発腺嚢胞癌が報告されている。一般的に, 舌下腺原発腺様嚢胞癌は, 頸部郭清術と局所拡大切除がおこなわれている。しかし, 高齢者では術後の合併症や機能障害の防止のために, 局所切除および頸部郭清は制限される。
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