日本口腔腫瘍学会はその起源を10年前の1983年2月26日, 大分医科大学において創設された口腔腫瘍懇話会に見いだす。
これら10年間におけるその歴史は, 懇話会時代 (1983―'85) , 研究会時代 (1986―'88) , 日本口腔腔腫瘍学会時代 (1989年より今日に至る) の3時代に分類される。
各々の時代は, その学術発表会, あるいは研究会そして学術総会を開催し, また, 各々の学術発表雑誌を発行した。本論文では, それらの内容が相当に詳細に検討され, 記述された。
本学会の会員数は, 1983年創設時の69名から, 1992年には, 991名にまで増加した。
本学会の学術機関雑誌, 日本口腔腫瘍学会誌 (口腔腫瘍と略記) は, 年2回発行であったが, 年3回以上の発行が会員より強く希望され, 1993年よりまず年3回が実現した。
本学会の特長は, その1983年に口腔腫瘍懇話会として創設された時の精神にある。会員はその研究を平等に発表する権利を持ち, その発表課題に関する討論を, その会員の社会的身分, 立場などに関係なく民主的に, なんらの差異なく実施できる。
ある課題は, 時間に関係なく討論されるし, あるいは, 時間がどうしても取れない時は, 次の学会における重要課題として, 持ち越して発表, 討議される。本学会または, 学術総会には, 口腔腫瘍に学問的関心を持つ者なら誰でも, また地域的制限無く, かつ, どの基礎, 並びに臨床の分野からでも参加できる。
近い将来には, 本学界の発展は, 日本国内のみで無く, 国境を越えて広がり, 学問的にも広く認められ, 世界中の多数の国々から参加者を得て, 国際的存在になるであろう。
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