日本口腔腫瘍学会誌
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14 巻, 1 号
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  • 西田 光男, 安田 真也, 山村 功, 宮木 克明, 横江 義彦, 村上 賢一郎, 瀬上 夏樹, 藤田 茂之, 飯塚 忠彦
    2002 年 14 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔粘膜原発の扁平上皮癌 (口腔SCC) が外側咽頭後リンパ節 (ルビエールリンパ節, 以下RPNと略記) 転移をきたすと予後は極めて不良である。過去10年間当科で口腔SCC5例にRPN転移を認めたのでその概要を述べるとともに, その発生率と対応について検討した。その原発部位は頬粘膜2例, 上顎歯肉1例, 舌1例, 口底1例であった。既治療症例も含めた口腔SCC338例中ではRPN転移は5例 (1.5%) に認められ極めて低率であった。しかし, 1次症例では326例中2例 (0.6%) に対して既治療症例では12例中3例 (25.0%) と後者において転移率が著しく高かった。また2次治療時に治療的頸部郭清を施行した既治療症例4例のうち3例 (75.0%) にRPN転移を認め, いずれも過去に原発巣へ外照射が施行されていた。また, RPN転移5例中2例で, すなわちRPN郭清により1例また原体放射線治療により1例で転移RPNが制御されており, 長期の無病生存を認めた。一方, 同期間中において選択的RPN郭清について検討を加えた。すなわち進展口腔SCC7例に対し, 術前照射後に選択的RPN郭清を施行したがRPN転移は認めなかった。しかしながら, 画像上でRPN転移と診断された症例ではRPN郭清, 高線量放射線治療による積極的な対応が必要と考えられた。
  • 目瀬 浩, 佐々木 朗, 中妻 可奈子, 西山 明慶, 岸本 晃治, 塚本 剛一, 吉濱 泰斗, 木村 卓爾, 松村 智弘
    2002 年 14 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1982年4月より1999年3月までに岡山大学歯学部附属病院第二口腔外科を受診し, 病理組織学的に粘表皮癌と診断された27例について臨床統計的検討を行ったので報告する。 (1) 性別発生頻度は, 男性16例, 女性11例。 (2) 年齢別発生頻度は平均63.0歳であった。 (3) 部位別発生頻度をみると大唾液腺2例, 小唾液腺25例。 (4) TNM分類ではT1が7例, T2が7例, T4が13例であり, Stage別では, Stage Iが7例, Stage IIが7例, Stage IVが13例であった。 (5) 治療法については, 24例に対して外科療法を施行し, そのうち外科療法の単独施行は13例, 化学療法および放射線療法の併用療法を施行したものは11例であった。 (6) 全体の5年累積生存率は69.4%で, Stage I, II症例が90.9%, Stage IV症例が46.4%であった。
  • 熊谷 章子, 酒向 淳, 大塚 友乃, 村岡 渡, 内山 公男
    2002 年 14 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    症例は17歳, 女性で, 右顔面および右軟口蓋部の腫脹を主訴に1999年5月18日当科を受診した。MRIにおいて, 右咽頭部に進展した巨大な腫瘤を認めた。1999年7月22日, 全身麻酔下にて下顎骨を正中で離断し腫蕩を摘出した。摘出物は80mm×60mm×50mm, 病理組織学的診断は多形性腺腫であった。術後2年6か月の現在まで再発を認めず, 経過良好である。
  • 18FDG PETによる治療効果判定―
    星 秀樹, 関山 三郎, 柴崎 信, 船木 聖巳, 三沢 肇, 佐藤 方信
    2002 年 14 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    我々の施設では, 口腔癌に対して機能温存, 形態温存を目的に動注, 放射線同時併用療法を行っている。今回は, 一次治療時で腫瘍が消失し外科療法を行わずに良好な経過が得られている下顎歯肉癌の1例について報告する。
    患者は65歳女性で, 初診時, 左側下顎歯槽部を中心に38×26mmの腫瘍を認め, X線所見にて下顎管におよぶ骨吸収を認めた。入院後, 浅側頭動脈カニュレーションを行い, PEP (総量48mg) , MTX (総量200mg) およびCDDP (総量100mg) の3剤併用化学療法と放射線療法 (Linac総線量40Gy) を行った。治療後臨床的に腫瘍は縮小, 消失し, positoron emission tomographyによる機能的画像診断による治療効果の評価でもCRと判定した。治療後2年2か月経過した現在, 再発, 転移は認めていない。
  • 生木 俊輔, 長谷川 光晴, 田中 孝佳, 石井 輝彦, 大木 秀郎, 松本 光彦, 田中 博, 佐藤 廣
    2002 年 14 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2002/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    44歳男性, 口底扁平上皮癌の画像所見で耳下腺リンパ節転移が疑われた症例を経験した。左側耳下腺部の腫瘤はMRI所見のT1強調像T2強調像で信号強度, 形態は上頸部リンパ節とほぼ類似していた。超音波所見は境界やや不明瞭な内部に低エコー像が散在する像がみられた。Gaシンチでは左側耳下腺に軽度の集積を, さらに99mTcO4-唾液腺シンチでは集積は左右とも均一であった。耳下腺リンパ節転移を疑い術中迅速病理診断を併用して左側耳下腺部腫瘤を含む両側頸部郭清術とen block切除を施行した。軟組織欠損は遊離前腕皮弁により即時再建した。耳下腺部腫瘤の病理診断はWarthin腫瘍であった。
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