日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
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26 巻, 2 号
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原著
  • ―上部消化管内視鏡検査と18F-FDG-PET/CTの比較―
    岩井 俊憲, 柴崎 麻衣子, 北島 大朗, 矢島 康治, 中島 英行, 小栗 千里, 廣田 誠, 光藤 健司, 藤内 祝
    2014 年 26 巻 2 号 p. 31-36
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2014/07/25
    ジャーナル フリー
    われわれは口腔癌患者の上部消化管領域における同時性重複癌のスクリーニングとしての上部消化管内視鏡検査(GIF)とFDG-PET/CTについて比較したので報告する。
    2006年9月から2009年8月までの3年間に口腔癌患者133例が治療前にGIFとFDG-PET/CTを受けた。GIFで5人の患者(3.8%)に食道や胃の同時性重複癌が発見され,それらは全例早期癌であった。しかし,FDG-PET/CT では1人のみしか同時性重複癌(食道癌)が発見できず,その感度と特異度はそれぞれ20%と100%であった。本研究は口腔癌患者の上部消化管領域における治療前スクリーニングとしてのGIFの有用性と必要性を示した。
  • 上田 順宏, 今井 裕一郎, 後藤 安宣, 青木 久美子, 山川 延宏, 井上 聡己, 山本 一彦, 川口 昌彦, 桐田 忠昭
    2014 年 26 巻 2 号 p. 37-44
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2014/07/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,術後の消化管運動と栄養状態に対する大建中湯(DKT)の効果について検討することである。2008年3月から2013年5月の間に,進行口腔癌の切除後に生じる欠損部に対して遊離組織移植による即時再建術を施行した40例を対象とした。20例には術翌日からDKT 15g/dを投与した。他の20例はDKTを投与しない対照群とした。消化管機能として腸蠕動音,排ガスおよび排便の確認時期,経腸栄養(EN)の開始時期,術後2週の体重減少量および体重減少率について後向きに検討した。その結果,腸蠕動音(p<0.001),排ガス(p<0.005),ENの開始(p<0.01),排便(p<0.005)はDKT投与群で早期に確認された。また,術後2週の体重変化量(p<0.05),体重変化率(p<0.05)ともDKT投与群で有意に抑えられていた。術前化学放射線療法や手術侵襲は,これらの指標に影響を及ぼさなかった。以上の結果より,DKTは進行口腔癌患者における遊離組織移植による再建術後の消化管機能の改善と体重の維持に有用であることが示唆された。
  • 名生 邦彦, 道 泰之, 水谷 美保, 大山 厳雄, 鵜澤 成一, 原田 清
    2014 年 26 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2014/06/15
    公開日: 2014/07/25
    ジャーナル フリー
    1998年4月から2011年3月までに当科で経験した口腔扁平上皮癌患者670例のうち,80歳以上の超高齢者患者51例(7.6%)について臨床的検討を行い,さらに80歳未満の対照群との比較検討を行った。
    性別は,男性24例,女性27例を示し,対照群と比較し有意に女性の割合が高かった(P=0.035)。発生部位は,歯肉が20例(39.2%)と最も多く,次に舌が19例(37.3%)であった。病期分類は,I期が17例(33.3%),II期が21例(41.2%),III期が5例(9.8%),IV期が8例(15.7%)であった。合併基礎疾患を有している症例は90.9%に認められ,対照群と比較して有意に高かった(P=0.026)。治療態度は,43例(84.3%)に対し根治的治療が施行され,8例(15.7%)に対し姑息的治療が施行されており,超高齢者群は対照群と比較して有意に根治的治療が施行される割合が低かった(P<0.001)。治療成績においては,根治的治療が施行された超高齢者群および対照群における5年疾患特異的生存率はそれぞれ79.4%,82.1%であり,ほぼ同程度であった。しかし,超高齢者群における全死亡数のうち,口腔癌による死亡数は52.6%であり,80歳以上の超高齢者患者の約半数が他病死にて亡くなっていた。
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