日本口腔腫瘍学会誌
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16 巻, 4 号
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  • ―癌浸潤樣式との関連性について―
    田中 彰, 川尻 秀一, 能崎 晋一, 加藤 広禄, 中谷 弘光, 野口 夏代, 長谷 剛志, 中川 清昌, 山本 悦秀
    2004 年 16 巻 4 号 p. 169-181
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    癌は間質に浸潤する際に間質反応として線維化を伴うことが知られているが, 癌に対する宿主防御反応であるか, 癌細胞増殖の足場として機能しているのかは不明である。本研究では口腔扁平上皮癌患者から得られた生検材料からAzan染色画像解析による半定量法を用いて癌浸潤先進部における間質内コラーゲン線維含有量 (collagen fiber content by percent; CFC (%) ) の平均値 (Ave.-CFC (%) ) を求め, 上皮基底膜 (IV型コラーゲン) と代表的な細胞外基質 (ECM) 分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ (MMPs) (MMP-1, MMP-2, MMP-9, MT1-MMP) の免疫組織化学的発現を調べ, 癌浸潤様式との関連性について検討した。Ave.-CFC (%) は癌浸潤様式1型から4C型にかけて減少傾向を示したが, 4D型では最も高値を示した。また, 各種MMPsの発現については癌細胞陽性型と, 癌・線維芽細胞陽性型に区分され, 特に4C, 4D型ではMMP-2, MT1.MMPは癌・線維芽細胞陽性型が高頻度に認められた。IV型コラーゲンは浸潤性に伴って有意に欠損していた。以上の結果から, 癌の浸潤性が高度になるに従ってECM分解機序に変化が起こり, 癌細胞主導型から癌・間質相互型に移行し, 既存の間質内コラーゲン線維の分解が進行するものと考えられるが, 4D型癌組織にはコラーゲン線維合成が浸潤促進的に作用する特異的浸潤機構が存在していると推測される。
  • 大関 悟, 池村 邦男, 大鶴 洋, 川辺 良一, 佐々木 朗, 中村 太保, 野口 誠, 前田 顕之, 山城 正司, 岡部 貞夫
    2004 年 16 巻 4 号 p. 183-191
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    下顎歯肉癌の治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での下顎歯肉癌治療の現状を把握するためにアンケート調査を行い, その集計結果から日本における下顎歯肉癌治療の現状とその問題点を報告した。
    有効回答の得られた86施設の過去10年間 (1993-2002) における総症例数は2, 986例で, そのうちT4が1016例で1/3を占めていた。下顎歯肉癌T4の基準では下顎管分類をT4としている施設は57施設 (65.5%) で, 骨浸潤以外に深部軟組織浸潤をT4の基準に挙げていた施設はわずか34施設 (39%) にすぎず, ガイドラインの作成にはT4の基準の統一化がまず必要であると思われた。
    治療法で最も問題となる下顎辺縁切除と区域切除については, その適応の基準となる因子について, 腫瘍の大きさ, 骨浸潤の有無と深さ, 骨吸収様式など概ね各施設で一致していたが, 実際の適応基準は各施設問でかなりばらつきがあり, 標準的な下顎切除の適応基準の作成が可能かどうか大きな問題と思われた。
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