1980年から1996年までの17年間に, 大阪歯科大学口腔外科第2科で治療を行った上顎歯肉扁平上皮癌40例を対象に臨床病理学的に検討した。TNM分類はT1: 6例, T2: 17例, T3: 8例, T4: 9例, N0: 27例, N1: 12例, N2: 1例で, 全例M0であった。
1.局所制御率はT1: 100%, T2: 88%, T3: 86%, T4: 50%で, 原発部位別では前歯部: 100%, 臼歯部: 87%, 後方部: 57%であった。
2.40例中15例 (37.5%) に病理組織学的にリンパ節転移を認め, このうち後発リンパ節転移がT3: 3例, T4: 2例の5例にみられた。
3.原病死は原発巣非制御: 5例, 頸部非制御: 5例, および遠隔転移: 1例の計11例にみられた。
4.T3, T4症例あるいは原発部位が後方部のものが経過不良であった。
5.病理組織学的に高悪性のものは低悪性, 中等度悪性に比べ経過不良であった。
6.5年累積生存率はT1: 100%, T2: 84%, T3: 47%, T4: 47%で, 全体では69%であった。
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