日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
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25 巻, 2 号
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原著
  • 八木原 一博, 出雲 俊之, 石井 純一, 桂野 美貴, 宮嶋 大輔, 柳下 寿郎, 岡部 貞夫
    2013 年 25 巻 2 号 p. 21-31
    発行日: 2013/06/15
    公開日: 2013/06/27
    ジャーナル フリー
    要旨:われわれは1975年から2005年までに当科において生検なしで局所切除単独治療を行ったStage I,II舌扁平上皮癌一次症例128例のうち,癌周囲に異型上皮を認めた83例(65%;83/128)について臨床病理組織学的に検討した。
    異型上皮を口腔癌取扱い規約(第1版,2010年)により再評価したところ,口腔扁平上皮内腫瘍(OIN)が35例,口腔上皮性異形成(OED)が48例であった。83例のうち,54例(OIN;21例,OED;32例,評価不可;1例)が切除断端に異型上皮を認めた。22.9%(19/83)が再発し,27.8%(15/54)が粘膜断端異型上皮陽性の再発で,OIN症例は42.9%(9/21),OED症例は18.8%(6/32)であった。切除から再発までの平均期間は,OEDが57か月(46~70か月),OINが10か月(3~33か月)で,OINが有意に短かった(p=0.0015)。
    結論として,口腔癌取扱い規約によるOINならびにOEDの分類は,異型上皮から浸潤癌へ進展する危険性を検討する上で有用であり,OIN症例は再発が多くみられることから可及的速やかに治療すべきである。
症例報告
  • ―言語所見と超音波画像所見の変化について―
    山下 夕香里, 森 紀美江, 武井 良子, 中道 由香, 高橋 浩二, 斎藤 健一
    2013 年 25 巻 2 号 p. 33-39
    発行日: 2013/06/15
    公開日: 2013/06/27
    ジャーナル フリー
    広範囲の舌切除を受けた舌癌術後症例1例の5年間の構音機能の経時的変化について,ビデオ検査,発語明瞭度検査および舌超音波検査を用いて検討したので報告した。
    症例は50歳の男性。T3N0M0の診断の下,術前照射および舌亜全摘出・左側保存的頸部郭清術・腹直筋皮弁による口腔再建術を受けた。術後経過は良好だったが,本人がサ行やラ行の発音を気にしたため当科にて構音訓練を継続した。術後4か月,術後1年2か月,2年5か月,5年4か月時に,ビデオ検査,発話明瞭度検査を行った。また超音波診断装置による舌運動の観察(以下舌超音波検査)は実施可能となった術後2年5か月,5年4か月時に行った。
    その結果,発語明瞭度検査の総合正答率は,術後4か月時に比べ術後1年2か月以降で改善し,その後は維持されていた。舌前方音の正答率は経過とともに低下したが,舌後方音の正答率は上昇した。舌超音波検査では,術後2年5か月時に比べ5年4か月時は再建舌の縮小がみられたが,再建舌の左右にはねる運動が消失し,残存舌と連動した上前方への運動量の増加傾向がみられた。
    以上より,術後経過に伴い再建舌の縮小がみられたが,代償的に舌後方部の運動量が増加し,正常に近い構音機能が維持されたと考えられた。
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