日本東洋医学雑誌
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35 巻, 4 号
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  • 熱鍼療法の基礎的臨床的研究
    矢澤 一博
    1984 年 35 巻 4 号 p. 249-254
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    東洋医学系物理療法-鍼灸は, 体表に軽微な機械的, 温熱的刺激を与え, 生体の調節機構に働きかけ病的状態を調節しようとするものであるが, 各病的状態に応じて刺激の質と量を選択して用いている。
    そこで著者は, 体表への刺激として, 機械的刺激と温熱的刺激を総合した熱鍼療法 (平田鍼療法の原形を改良した熱電槌断続刺激療法) を, 健康者5例を対象に試み, 脈波, 皮膚温, 深部温を指標に繰り返し観察し検討した。その結果, 熱鍼療法による快適刺激は東洋医学でいう「補」, 熱痛刺激は「瀉」と考えられる成績が得られた。
  • 渡邊 武, 裏辻 嘉行, 堀 達彦, 森田 陽一
    1984 年 35 巻 4 号 p. 255-272
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    『金匱要略』 の土瓜根散は, 原典では, 女子は月経が月に2回ある者, 男子は陰部腫痛に局限されているが, 構成する4つの薬味の薬性薬能から考察すると, 日本人に多発する桂枝湯証に血熱と陳久淤血が加わった病像に適応するものと考えられる。方証一致の古方の観点から, 既報のとおり, 薬方をそれを構成する薬物が所属する気剤, 血剤, 水剤, 脾胃剤の4要因と寒熱の2要因を含めた6要因に分類して, レーダーグラフを作図すると, その方剤が適応する証即ち病像が図示され, 薬方の証が質的量的にやや明細に知ることができる。著者らは投与した薬方をこの要因でレーダーグラフに作図して, それに対応する疾患50症例に単方または加方, 合方で投与して, 顕著な効果をみた。それは男女の性別にかかわらず, また年令的にも幼児から老人に至るまで, 広範囲に適用される。症候別には, 筋骨格結合組織系疾患を筆頭に, 感覚器系と血液体液系疾患を除く各領域にわたっている。血症が淤血を経て乾血に至る過程を, その解除剤である駆淤血剤から考察すると, 土瓜根散は乾血発生の初期または乾血陳久淤血剤投与後の残留淤血解除剤をも兼ねるユニークな方剤として位置づけられる。
  • 今田屋 章, 寺澤 捷年
    1984 年 35 巻 4 号 p. 273-278
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    白通湯が奏効したと考えられるMCTDを基礎疾患に有する50才主婦の一症例を報告した。白通湯の治験報告は乏しく, われわれの調査した範囲では中国の医案集に一例をみるのみである。白通湯と四逆湯との鑑別は傷寒論の条文のみからは困難である。そこで文献学的に検討を加え両者の異同について考察した。
  • 遠田 裕政, 谷川 久彦, 岡本 洋明
    1984 年 35 巻 4 号 p. 279-283
    発行日: 1985/04/20
    公開日: 2010/12/13
    ジャーナル フリー
    52才の主婦の級粒腫を漢方治療で, 非観血的に治癒せしめた。初診時, 右下眼瞼にあった3コの霰粒腫のうち, 両側の2つは治癒し, 真中のものは, 臨床的に問題にならない状態になった。左上眼瞼にあった大きな脂肪梗塞は, 結膜ポリープの形成過程を通じて消失していった。具合よくこの過程が写真上に記録されている。この治療に用いられた薬方は, 柴胡桂枝湯の加味方の一種である。臨床症状の治癒のメカニズムについて, “細胞病理学” の観点と “個体病理学” の観点から, 若干, 考察した。
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