六君子湯により経鼻胃管から胃内溶液の逆流が短期間で改善した脳卒中急性期の3症例を経験した。
症例1は63歳,女性で右小脳出血の患者である。開頭血腫除去術を施行した。術後に経鼻胃管から650ml におよぶ胃内溶液の逆流を認めた。六君子湯を投与したところ4日目に10ml まで減少した。
症例2は44歳,男性でクモ膜下出血の患者である。術前に再破裂し意識レベルが低下した。前交通動脈瘤に対して血管内コイル塞栓術と両側脳室外ドレナージ術を施行した。数日後に経鼻胃管から550ml の胃内溶液の逆流があり六君子湯を開始した。3日目には経管栄養の逆流はほぼなくなった。
症例3は72歳,男性で転移性脳腫瘍術後に脳出血をきたした患者である。脳出血は保存的治療とした。経鼻胃管から200ml の胃内溶液の逆流を認めた。六君子湯を投与し3日目には10ml まで減少した。
脳卒中急性期において経鼻胃管からの逆流が顕著な場合,六君子湯投与が有効である可能性が示唆された。
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