米国国立衛生研究所の国立補完代替医療センターは, 年間予算1億1330万ドルで研究支援等を行っている。アジア各国は米国との共同研究を推進している。
漢方医学は中国が起源であるが, 江戸時代に日本化が確立し, わが国独自の医学として花開いた。西洋医学が入ってきた後は, 華岡青洲に代表されるように, 患者の利益のために蘭漢問わずいいものを積極的に取り入れていく, という文化がわが国にはあった。
明治に入り一時漢方医学は衰退したが, 医療用漢方製剤として再び医療の現場に登場した。武見太郎はその推進者だが, 安易に西洋医学に組み入れられることを是としなかった。今後漢方医学の国際化のためには1) 世界に対して知名度を高める, 2) 国の支援体制の整備, 3) 国内に漢方の正しい認識を普及, 4) 医療文化としての漢方医学を教育できる人材の育成, 5) 国際社会における伝統医学の普及に貢献, が重要と考える。
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