日本東洋医学雑誌
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52 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 岡 良成, 宮崎 雅史
    2001 年 52 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    こむら返りは血液透析中に頻繁に見られる合併症であり, 芍薬甘草湯の有用性が高いことが知られているが, 無効例もみられる。我々はこの無効例に対して, 骨格筋に対する鎮痙作用が知られているヨクイニンを用い, その効果を検討した。対象: 血液透析中にこむら返りを頻発する当院の慢性維持透析患者で, 芍薬甘草湯が無効の症例。症例数9例で男性3例女性6例, 平均年齢58.3歳, 平均透析歴9.2年。方法: ヨクイニンエキス錠「コタロー」を3~6錠/日で投与し, こむら返りに対する抑制効果を3週問後に判定した。結果: 9例中5例でこむら返りは消失し, 他の4例は無効であった (有効率55.6%)。問題となる副作用は認めなかった。結論: 血液透析患者においてヨクイニンは芍薬甘草湯無効のこむら返りに随証治療の一環として有用な薬剤と考えられた。
  • 岡田家歴代の伝記と貴重資料解題
    町 泉寿郎, 足立 秀樹, 小曽 戸洋
    2001 年 52 巻 2 号 p. 179-189
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    今回新たに出現した岡田文書は, 幕末明治の漢方医岡田昌春 (1827-1897) の家伝資料で, 昌春没後100余年間, 子孫によって伝えられた良質かつ稀少な医学史料群である。従来の岡田昌春の認識は明治漢方医家群像の一人に過ぎず, その他の岡田家歴代の認識は皆無であった。本研究により江戸中期から明治期まで6代に亘って医業に従事し, 幕府医官にまでなった岡田家の歴史の概要が明らかになった。昌春の養父・昌碩の薬方書からは, 元来外科を専門とした岡田家の家学が知られる。医学館に学び多紀氏の医統の正系に属する昌春ならではの遺品としては, 多紀元恵『藍谿先生薬室規条』草稿, 多紀元簡『医籍攷(初稿)』『病名纂』,『千金月令』(医方類聚採輯本)等の稀書が残る。昌春の後半生をいうどる明治10年代以降の漢医存続運動のなかで, 特に親交のあった浅田宗伯の遺品として, 新出の医学随筆 (失題), 宗伯の書入れがある昌春の原稿, 書簡62通等も貴重視される。
  • 有効漢方方剤に基づく検討
    三浦 於菟, 興津 寛, 武島 英人, 土屋 喬, 斎藤 輝夫, 白石 佳正, 渡辺 裕
    2001 年 52 巻 2 号 p. 191-205
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    春季花粉症患者の漢方治療が有効であった69例 (男24名女45名) を, 有効方剤に基づき分類し, 花粉症発生時期, 自他覚症状などを比較し, それらの東洋医学的病態を分析する事で, 花粉症の病態像を検討した。その結果, 以下の3群と特殊な病態群 (4例) に分類された。すなわち, (1)辛温解表剤有効群 (23例)。本群は1月下旬より2月中旬に初発し, 多くは虚証の素因を有し, 風寒証の花粉症と考えられた。(2) 辛涼解表剤有効群 (22例)。本群は2月中旬以後の初発が多く, 外感風熱証症状を呈し多くは実証で, 温邪は弱く風邪が強い温病の風温証の花粉症と考えられた。(3) 混合群 (20例)。本群は辛温解表剤と辛涼解表剤の混合群であり, 虚証の素因は少なく, 辛涼群と辛温群の特徴が混在する寒熱錯雑症状を呈し, 温病の風温証に寒邪が客した兼証ではないかと考えられた。
  • 後藤 博三, 籠浦 正順, 嶋田 豊, 小暮 敏明, 諸橋 正昭, 寺澤 捷年
    2001 年 52 巻 2 号 p. 207-215
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    菌状息肉症の腫瘍期の症例に対し, 電子線照射やIFN-γの局所療法などの西洋医学的治療に加え, 和漢薬治療を併用し, 長期間良好な経過を得ている症例を経験したので報告する。症例は40歳・男性・会社員。平成3年12月, 上肢を中心に紅斑が出現し全身に拡大した。平成9年7月, 体幹に皮膚腫瘤の形成を認め当院皮膚科にて皮膚生検により菌状息肉症腫瘍期と診断。同年9月に当部を初診し, 潰瘍を伴う皮膚腫瘤や皮疹を目標に, 十味敗毒湯, 托裏消毒飲, 内托散, 〓帰膠丈湯等を使用した。また, 電子線照射施行時の口渇や照射部の熱感に対して白虎加人参湯を, 併発する下痢や全身倦怠感に対して黄耆建中湯等を適時用いた。以後, 皮膚科におけるIFN-γと免疫療法を継続し, 小腫瘤の再発時に托裏消毒飲等を用い良好に経過している。今後も, 慎重な経過観察が必要であるが, 和漢薬の併用が本症例に有用であると考えられた。
  • Fisher 症候群に対する大承気湯の使用経験
    杉本 精一郎, 松倉 茂
    2001 年 52 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    Fisher 症候群は先行感染の後に眼筋麻痺・運動失調・深部腱反射消失をもって始まる疾患である。傷寒論陽明病篇の条文にこの Fisher 症候群の眼症状を伺わせる記載が見られ, 非典型的 Fisher 症候群の患者に条文の記載に従って大承気湯を併用したところ, 眼症状の改善がみられた。Fisher 症候群は致死的な疾患ではないため, 医療経済的効果も含めて, 血液浄化法などの標準的な治療を行う前に大承気湯による治療を考慮すべきであると考える。
  • 片寄 大, 白土 邦男
    2001 年 52 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    パーキンソン病の西洋薬による治療法は確立されているとはいえ, 副作用や効果減弱などの問題点を有し代替療法の開発が求められる。今回我々は, パーキンソン病と診断された77歳女性に半夏白朮天麻湯を投与し, 上肢硬直, 小刻み歩行, 前方および後方突進などの症状改善を認めた。半夏白朮天麻湯は中医学における抗パーキンソン病方剤定振丸と共通した方意を有することより, パーキンソン病の治療薬としてその有効性が検討されてよい薬剤と考えられた。
  • 2001 年 52 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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