赤丸料の使用目標を明らにするために, 赤丸料を投与した24例を有効例 (12例) と無効例 (12例) に分けて, 冷えの分布と脈候について比較検討した。冷えの分布は全身型, 上熱下寒型と四肢末梢型に分けた。また脈候は浮沈と虚実について5段階評価を行なった。
冷えの分布は有効群と無効群で明らかな差はなかったが, 有効群では全身型の冷えが多くみられた (7/11例: 63.6%)。また脈候については有効群と無効群に有意差はみられなかったが, 有効群ではいづれも比較的脈力がある脈を呈した (実脈1例, やや実4例, 虚実間5例)。さらに四逆湯が無効であり, 赤丸料に変更して有効であった症例ではいずれも脈に力があったこと, 逆に赤丸料が無効であり, 四逆湯類に変更して有効であった症例の半数以上が脈の力が弱かった。以上より赤丸料の脈候は, 比較的力があると考えた。
したがって強い冷えを伴う陰虚証で, かつ脈に比較的力がある場合には赤丸料は考慮すべき方剤と考えた。
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