東洋医学を現代医療の中で活用するにあたり, 先哲医人から学ぶことは有意義である。私共は今回彼等から学ぶにあたり, ただ東洋医学に関する臨床技術だけではなく, 彼等の臨床態度についても注目し, 彼等の臨床例を検討した。
湯液分野では和田東郭を針灸分野では深谷伊三郎をとりあげて, 光藤の考案した時系列分析チャートを用いて彼等の臨床例を整理し, これに検討を加えた。彼等が病人の包括的把握において優れていたのは, 病人の生活上の出来事を病症との時相的関連性の上で捉えており, しかも, さらに病人の内的生活体験を洞察していることによるのではないかと考えた。
私共は東洋医学の先哲医人の臨床例を時系列分析チャートを用いて検討し, 先哲医人の全人医療の在り方の一端を明らかにし, 病人の全人的把握の基本概念について考察した。
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