今日,急性熱性疾患において陽明病期の病態を見ることは稀である。我々は,腹満,便秘を目標に大承気湯を投与し,解熱の得られた3症例を経験した。
症例1:82歳男性。ウイルス感染症疑い。38 ℃台の発熱が持続。腹満,便秘,喘鳴を目標に大承気湯を投与したところ,多量の排便とともに腹満が消失し,36 ℃台へ解熱。さらに喘鳴も消失し,低酸素血症が改善した。
症例2:67歳女性。中枢性発熱疑い。38 ℃台の発熱が持続。腹満,便秘を目標に大承気湯を投与したところ,多量の排便とともに腹満が消失し,36 ℃台へ解熱した。
症例3:43歳男性。周期性好中球減少症に伴う麻痺性イレウス。発熱後3日目より著明な腹満,便秘と腹痛が出現。大承気湯を投与したところ,多量の排便とともに腹満,腹痛が消失し,36 ℃台へ解熱した。
持続する発熱に腹満,便秘を伴う場合,西洋医学的治療の有無に関わらず大承気湯の使用を考慮すべきと考える。
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