日本漢方は,診察法として腹診の手法を行う。
腹診は,四診,すなわち望,聞,問,切診の中の切診の一部ではあるが,診断である証の判定の為に,最も有力な情報が得られる手技である。
また,腹診は,東亜諸国,諸地域に伝承されている伝統医学の中で,日本で,唯一,独自に発展した診察法である。
なお,現代行われている腹診は,主に古方,傷寒論系医学におけるものであるが,折衷派医学にも影響が及んでいる。
さらに,腹診は,形式的認識ではあるが,手技,手法である故,一応の修練,習熟が必要である。
本稿で,古昔より長年にわたって集積された腹診の知見を解説する。
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