総合診療機関では複数の医療スタッフにより, 患者の診療, 服薬指導, 看護指導などが実施されている。充実した医療を実践するためには患者の個人情報以外に受診患者全体の疾患動向などを理解することも必要である。そこで2001年の漢方外来初診患者構成, 主要疾患, 頻用処方の解析を行い検討した。男女の比率は男性34%, 女性66%, 年代別では20, 30代と50~70代が多く, 40代の受診患者が少なかった。主な疾患は男女共にアトピー性皮膚炎が多く, 次いで女性では冷え症, 子宮内膜症など, 男性では喘息や鼻炎, アルツハイマー病などであった。主要疾患の頻用処方はアトピー性皮膚炎では黄連解毒湯, 糖尿病では八味丸, 冷え症では当帰四逆加呉茱萸生姜湯, 高血圧では釣藤散などであった。今回の報告は医療スタッフが漢方薬の診断, 治療, 服薬指導, 看護指導を行う上での必要な情報であり, 患者に適切な医療を提供するために活用できる内容であった。
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