日本東洋医学雑誌
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46 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 西岡 五夫
    1996 年 46 巻 5 号 p. 631-644
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    大黄の向精神作用について, 化学的, 行動薬理学的及び神経化学的検討を行い, 下記の結論を得た。
    1. 大黄の向精神作用成分は, RG-タレニンである。
    2. 大黄の向精神作用は, 典型抗精神病薬の作用によく一致するが, 行動毒性を伴わない特長がある。これは, カタレプシーなどを惹起しないこと, また脳内ドパミン神経系の黒質―線条体路に対する影響が少ないことから立証された。
  • 1996 年 46 巻 5 号 p. 645-734
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 真宗僧侶の東洞医説受容の一形跡
    寺澤 捷年, 土佐 寛順, 伊藤 隆, 三潴 忠道, 嶋田 豊
    1996 年 46 巻 5 号 p. 735-746
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    吉益東洞の『建珠録』に記載された4人の越中の僧侶達, すなわち第43症例・玉潭, 第34症例・僧樸, 第2症例・誓光寺主僧, および第37症例・勝楽寺後住について, その伝記等を調査し, 東洞との出会いの時期, ならびに記載された症例の病態について検討した。
    これら越中の僧侶達はすべて浄土真宗の僧侶であり, 彼らは『建珠録』に記載された全54症例の中で, 東洞の医説を積極的に受容したと考えられる特異な例であることが分かった。
    吉益東洞の医説とこれを受容したこれら僧侶達の思想的背景に共通する要素のあることを考察した。
  • 大久保 喜雄, 関口 守衛
    1996 年 46 巻 5 号 p. 747-752
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    ヒト好酸球の接着分子を含む細胞表面抗原の検討をおこなった。好酸球上に常に表現されているCD11bは, サイトカイン非存在下での24時間培養により down-regulation されるが, recombinant human tumor necrosis factor-alpha (rhTNF-α) と recombinant human interleukin-5 (rhIL-5) 存在下では up-regulation された。しかし, VLA-4抗原はサイトカイン非存在および存在下でも変化しなかった。柴朴湯は, rhTNF-αとrhIL-5存在下におけるCD11bおよびVLA-4抗原の抑制効果を認めなかった。柴朴湯は, rhTNF-αとrhIL5存在下の24時間培養により新たに出現するCD54, HLA-DRおよびCD4のうちCD4出現のみを濃度依存性に抑制した。このことは柴朴湯による好酸球の炎症局所における好酸球浸潤の抑制は, 好酸球の走化性に関与しているとされるCD4発現の抑制によることが示唆された。
  • 東 一紀
    1996 年 46 巻 5 号 p. 753-759
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    顔面の潮紅を主症状または主訴の一つとするアトピー性皮膚炎の患者20症例を対象として, 漢方製剤の温清飲を投与してその臨床的有用性を検討した。温清飲を単独で使用した10例では著効1例 (10%), 有効2例 (20%), 無効7例であり, 効果出現時期はいずれも投与後2週間以内であった。一方, 温清飲と他の漢方内服薬を併用した10例では有効3例 (30%), やや有効3例, 無効4例であった。副作用は2例 (10%) に起こり, 全身の紅斑の著明な悪化1例, 胃痛1例であった。以上より温清飲はアトピー性皮膚炎の顔面潮紅に対する有用な治療薬の一つであると考えた。
  • 元山 幹雄
    1996 年 46 巻 5 号 p. 761-764
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    中神琴渓の睡眠時遊行症の治験に倣い甘草瀉心湯を投与し奏功した症例を経験した。症例は60歳, 男性, 会社員。主訴は, 夜, 寝ている時に大声で怒鳴る, 無意識に起きて部屋の中を歩き (走り) 回る。家族歴は特記すべきことなく, 既往歴は昭和46年, 腰椎椎間板ヘルニア手術施行。現病歴は昭和59年頃から主訴が見られたが放置していた。平成元年, 近医, 及び総合病院の精神科を受診, 諸検査を行ったが診断ははっきりしなかった。安定剤の投薬を受け, 主訴は一時的には軽くなったが長くは続かなかった。●●●●●●●●, 成人病健診の再検査のため会社診療所を受診, 症状は続いてみられていた。現症は腹診で軽度の心下痞硬, 胸脇苦満を認めた。治療経過は●●●●, 甘草瀉心湯を投与。服薬後, 1週間位で徐々に効果が現れ, 夜, 大声で怒鳴ること, 歩き回り物を投げつけることはなくなった。
  • 山際 幹和
    1996 年 46 巻 5 号 p. 765-772
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    咽喉頭異常感を主訴とした延べ622名の患者の中で, コーネル・メディカル・インデックス (CMI) 健康調査表中の自律神経症状に関する質問に対する回答結果からその失調状態が疑われた延べ165名の患者を解析対象とし, 咽喉頭異常感に対する半夏厚朴湯, 柴朴湯および柴胡加竜骨牡蠣湯の有用性を再評価し, それと抗不安薬ロフラゼプ酸エチル製剤や自律神経調製剤トフィソバムの同症状に対する有用性と比較し, 以下の成績を得た。
    1) 概して自律神経失調症+神経症型は自律神経失調症型に比べ難治である。
    2) 上記のいずれの型に対してもトフィソバムの有用性が最も高い傾向にある。半夏厚朴湯, 柴朴湯および柴胡加竜骨牡蠣湯の有用性は自律神経失調症型においてはロフラゼプ酸エチルのそれに劣る傾向があるが, 自律神経失調症+神経症型においてはそれに優ることが示唆された。
  • 増井 義一, 大澤 仲昭, 中嶋 秀人, 吉田 麻美, 渋谷 知宣
    1996 年 46 巻 5 号 p. 773-778
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    芍薬甘草湯によってミオトニーの持続時間が短縮した筋緊張性ジストロフィー症の一例を報告した。本剤は現在一般に使用されている西洋薬と同等の効果を示した。この効果より, 本剤は骨格筋細胞膜のイオンチャンネルにも作用することが明かとなった。その主要機序として glycyrrhizin によるKチャンネルへの作用を考え, 作用部位として apamin-sensitive K channel の可能性を推定した。また, 本剤は5週間連続投与されたが, ミオパチーの悪化は認められなかった。
  • 1996 年 46 巻 5 号 p. 779-782
    発行日: 1996/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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