日本東洋医学雑誌
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49 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 上田 慶二
    1998 年 49 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1998/07/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 木村 博
    1998 年 49 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1998/07/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    ラットにおけるあくび行動発現に対する甘麦大棗湯の作用に検討を加えた。コリンエステラーゼ阻害薬フィゾスチグミン0.05~0.1mg/kg, コリン性受容体作動薬ピロカルピン1~2mg/kgあるいはドパミン性受容体作動薬タリペキソール0.02mg/kgの皮下投与により, あくび行動が発現した。これらのあくび行動の発現は, 甘麦大棗湯250~1000mg/kgの経口投与によって用量に依存して抑制されたが, またアドレナリン性α-2受容体遮断薬のラウォルシン0.5mg/kg, ヨヒンビン2.5mg/kgあるいはムスカリン受容体遮断薬のスコポラミン0.5mg/kgの皮下投与によっても抑制された。今回の実験結果により, 甘麦大棗湯はあくび行動の発現に対して抑制作用を有し, この抑制には主経路のドパミン・コリン性神経の抑制ならびに中枢アドレナリン性神経を介する間接的な抑制機構の関与が考えられる。
  • 武田 蔑雄, 武田 由美子
    1998 年 49 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1998/07/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    8年の糖尿病歴を有し, 2か月前よりインスリン (ペンフィル30R) 朝12μ, 夕4μを投与開始して, 下肢にのみ軽度のしびれ感と痺痛を有する43歳男性が, ●●●●●●●から左背部に激痛を訴えた。その激痛は1~2日間にほぼ全身に広がった。平成6年3月に腰と両下肢, 両手背にも激痛が広がった。痺痛がないのは顔面, 手関節より末梢の両手掌と肛門周囲だった。キネダック, NSAIDs, 牛車腎気丸は無効だった。麻黄附子細辛湯はこの難治性痺痛に有効だった。補中益気湯は気虚に有効だが, 疼痛には無効だった。この両剤の併用治療で左背部中心の全身疼痛は5か月で完全消失し, 2か月でHbA1cは10.2から6.5%に改善し, 治療開始後5か月後にインスリンを中止できる程耐糖能が改善した。インスリン中止後はFBG, HbA1cが軽度上昇したが, コントロールは可であった。麻黄附子細辛湯と補中益気湯が, 難治性疼痛を有する糖尿病の治療として有効な症例を経験した。
  • 白尾 一定, 愛甲 孝
    1998 年 49 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1998/07/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    輸液にて腹部膨満感を訴えた太陽病と少陽病の併病を経験した。62歳の女性で主訴は, 輸液後の腹部膨満感, 全身倦怠感, 頭重感と耳鳴りである。悪寒, 発熱, 頭痛の太陽病の症状と眩量や口苦咽乾および心下痞鞭の少陽病の症状を伴うことより太陽病と少陽病の併病と診断した。輸液を中止し柴苓湯を投与した結果, 全身倦怠感の消失, 食欲の回復, 心下痞鞭の改善および体重減少が認められた。嘔気や上腹部圧迫感は柴胡桂枝湯が奏功し, 笑顔と活力がみられ旅行に行くまで回復した。足腰の冷えと痛みは, 当帰四逆加呉茱萸生姜湯が奏功した。栄養補給や脱水の治療として輸液がなされるが, かぜ症候群の輸液療法の適応には注意が必要である。
  • 長坂 和彦, 土佐 寛順, 巽 武司, 嶋田 豊, 伊藤 隆, 寺澤 捷年
    1998 年 49 巻 1 号 p. 35-50
    発行日: 1998/07/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    漢方医学的脈候, 舌候, 腹候の関連性を明らかにするため, 人間ドック受診者488例を用いて検討した。併せて, 喫煙, 飲酒の脈候, 舌候, 腹候に及ぼす影響, また血液生化学検査所見と脈候, 舌候の関連性について検討し, 以下の結果を得た。
    1) 実脈では腹力, 小腹腹壁緊張度は上昇しており, 臍上悸, 振水音を認める頻度は少ない。
    2) 大脈では腹力は上昇し, 臍下悸は触れにくい。
    3) 左右臍傍の圧痛が強まると〓点を伴うことが多い。
    4) 心下悸は横裂と正の相関を示した。
    5) 左臍傍の圧痛と紫舌の程度は正の相関を認めた。
    6) 喫煙者は紅あるいは紫舌になりやすく, 黄苔, 厚苔, 膩苔を呈す傾向にあった。腹候では, 喫煙数と左腹直筋緊張度で正の相関がみられた。
    7) 飲酒量と腹力は正の相関を示し, 臍上悸の程度と負の相関を示した。
    8) ヘモグロビン値, ヘマトクリット値は紅舌, 紫舌, 〓点, 厚苔を示した場合は上昇し, 痩薄になると低下した。
    9) アミラーゼ値は紅舌, 厚苔, 点刺, 膩苔と負の相関がみられた。
  • 宮崎 瑞明
    1998 年 49 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1998/07/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    桂枝加黄耆湯および桂枝加竜骨牡蛎湯が奏効した成人気管支喘息の二症例を報告した。症例1は52歳の女性, 症例2は40歳の男性で, いずれも成人発症, 通年型であった。重症度に関しては, 症例1が重症, 症例2が中等症であった。症例1は虚証で, 補剤である桂枝加黄耆湯エキスにより改善した。症例2は心因性気管支喘息のため, 安神剤である桂枝加竜骨牡蛎湯エキスを中心に投与して改善した。
  • 金井 成行
    1998 年 49 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1998/07/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症の女性患者に加味帰脾湯を2年間投与し, 骨塩量の変化を検討した。患者83名を活性型ビタミンD製剤投与群, 加味帰脾湯投与群, コントロール群として鎮痛剤のみ投与群の3群に分け, 投与前および投与後の骨塩量を測定するとともに, 血算および簡略更年期指数 (SMI) の変化を検討した。ビタミンD, 加味帰脾湯投与群ともコントロール群に対して, 投与後1年では有意な増加が認められた。また, 骨量の増加した加味帰脾湯投与群では, 貧血およびSMIの改善も認められた。しかしながら投与後2年では, ビタミンD投与群では更に, 有意な骨量の増加が認められたのに対し, 加味帰脾湯投与群では, 投与後1年前に比べては, 骨量のみならず, 貧血およびSMIの改善も認められなかった。加味帰脾湯は, 直接骨に作用して骨量を増加させるのではなく, 個体における活性化が大きな要因であると考えられた。
  • 1998 年 49 巻 1 号 p. 72-73
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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