日本東洋医学雑誌
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57 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 牛車腎気丸を投与した109例の検討
    吉田 実
    2006 年 57 巻 5 号 p. 633-637
    発行日: 2006/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    下部尿路症状に対して牛車腎気丸を用いた症例について, レトロスペクティブにその効果を検討した。症例は牛車腎気丸エキス5g~7は5g/dayを4週間から8週間投与した男性86例, 女性23例の109例で, そのうち有効例は50例であった。多変量解析では尿意切迫感, 残尿感を伴う症例および虚血性心疾患, 脳梗塞合併例で有意に有効率が高く, 排尿困難感を伴う症例で有意に有効率が低下していた。牛車腎気丸が有効な下部尿路症状は主に尿意切迫感, 残尿感であり, それらが腎虚に関連する下部尿路症状の主なものであると考えられた。
  • 田原 英一, 新谷 卓弘, 森山 健三, 中尾 紀久世, 月岡 康行, 新澤 敦, 二宮 裕幸, 高屋 豊
    2006 年 57 巻 5 号 p. 639-643
    発行日: 2006/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    手湿疹における腸癰湯の有効例と無効例の検討を行った。有効7例, 無効6例で, 有効例では肌が色白の患者が多く, また病変は手に限局する傾向があった。一方, 睡眠障害や喫煙習慣がある患者は無効例が多かった。さらに歯肉暗赤化など顕著な〓血症候を呈し, 〓血スコアが高値の場合の手湿疹に対しては無効例が多いと思われた。以上の自他覚症状は手湿疹において腸癰湯を選択する際の指標になると考えられた。
  • 石田 和之, 佐藤 弘
    2006 年 57 巻 5 号 p. 645-650
    発行日: 2006/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    難治性疼痛のため実際の機能障害以上に運動機能が制限されてしまうことがある。我々は一般的な疼痛治療に抵抗する難治性疼痛に対し, 疎経活血湯が著効した症例を経験した。症例は腰椎脊柱管狭窄症による馬尾性間欠性跛行, 外傷性脳出血後の慢性疼痛, 脳梗塞後の complex regional pain syndrome (CRPS) と考えられる3例である。全例とも消炎鎮痛剤や向精神薬・神経ブロックなどの鎮痛治療が無効で, リハビリテーションの遂行が困難であった。しかし, 疎経活血湯エキス投与により疼痛の軽減・運動機能の大幅な改善が得られた。3例の西洋学的診断は異なるものの, 脊柱管狭窄による馬尾の圧迫や脳梗塞は血虚, 頭蓋内出血は〓血と考えられ, 血の異常が共通した病態と考えられた。てのように血の異常と関連した疼痛は疎経活血湯に適した病態である。疼痛は脳血管障害や脊髄疾患に高頻度に見られる合併症状であり, リハビリテーション上有用な知見と考えられ報告した。
  • 山川 淳一, 守屋 純二, 日下 一也, 伊藤 透, 元雄 良治, 神田 享勉
    2006 年 57 巻 5 号 p. 651-654
    発行日: 2006/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    結節性多発性血管炎の70歳, 男性。ステロイドと免疫抑制剤により, 寛解状態となったが両足底, 足背部のピリピリ感, 冷感, また外部からの痛みを感じず, 足が地面についている感覚を認めないという異常知覚が継続した。東洋医学的診断に基づきツムラ牛車腎気丸エキスを投与したところ, visual analogue scale にて自覚症状の改善が認められた。さらに, 修治ブシ末を加えたとてろ, 著明改善した。てれまで, 結節性多発性血管炎に対し牛車腎気丸が有用であったとの報告はない。末梢神経伝導速度に影響ないてとから, 直接的な末梢神経障害の改善は認められないが, 牛車腎気丸は末梢神経障害の自覚症状の改善には有効と考えられ, 結節性多発性血管炎患者の治療上有用となる可能性が示唆された。その作用機序として, 糖尿病性末梢神経障害と同様のメカニズムが推測される。
  • 水上 勝義, 畑中 公孝, 田中 芳郎, 朝田 隆
    2006 年 57 巻 5 号 p. 655-660
    発行日: 2006/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    精神症状および行動障害 (behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD) を呈し, それらの症状に抑肝散が奏効したアルツハイマー型認知症 (AD) の5例を報告した。我々の症例では, 5例全例に易怒性, 興奮を認め, 4例に攻撃的言動, 不眠を, 3例に俳徊を認めた。いずれの症例に対しても抑肝散は比較的早期から効果を認め, また明らかな副作用は認めなかった。我々の検討から, 抑肝散はADでみられる易怒性, 興奮, 攻撃性などに効果的であり, また安全な治療薬と考えられた。また夜間不眠や俳徊を認める例, 抑うつ状態と易怒性, 興奮を共に認める例, 歩行障害や尿失禁などの身体症状を伴う例など, 向精神薬による治療が困難な例に対して, 抑肝散は特に重要な治療薬の一つと考えられた。
  • 関矢 信康, 並木 隆雄, 笠原 裕司, 小暮 敏明, 巽 武司, 大野 賢二, 林 克美, 地野 充時, 寺澤 捷年
    2006 年 57 巻 5 号 p. 661-667
    発行日: 2006/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    滋陰至宝湯は『万病回春』を出典とする処方で体力が低下した人の慢性に経過する口刻歓に用い, 気欝を伴う症例によいとされている。我々は気道に慢性炎症性疾患を有する滋陰至宝湯が有効であった8症例を経験した。自覚的には慢性の咳嗽 (湿性あるいは乾性) と咽喉不快感を有し, 他覚的には気鬱の症候として腹部右側の鼓音が共通していた。
  • 2006 年 57 巻 5 号 p. 669-670
    発行日: 2006/09/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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