[目的]原因不明の慢性炎症性眼疾患であるベーチェット病のぶどう膜炎に対する30年間の診療経験をもとに,本疾患に対する漢方治療の意義について考察する。
[症例]過去30年間で漢方治療を求めて受診したベーチェット病のぶどう膜炎症例24例について検討した。
[結果]24例中11例は数ヵ月以内で通院しなくなり,十分な治療はできなかった。また,2例は患者の理解が十分に得られず転医を勧めた。しかし,11例は長期にわたって治療を行うことができ,3例を除いて,ほぼ正常の視力に回復し漢方治療の効果を確認できた。
[考察]ベーチェット病のぶどう膜炎に対して継続的に漢方治療を行うことで再燃を抑えることができる可能性が示唆された。経過が順調であっても種々の誘因によって再燃することもあるが,廃薬にまで持って行ける可能性も大いにあることもわかった。ただし,現在までの経験から漢方治療の効果の確認には10年以上経過を観察することが必要であると思われる。
[結語]漢方治療はベーチェット病のぶどう膜炎の再燃防止に有効である。
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