日本東洋医学雑誌
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43 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 阿部 勝利, 高木 清文
    1993 年 43 巻 4 号 p. 509-515
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    小児の夏期上気道炎とインフルエンザについて, それぞれ漢方薬治療群 (以下漢方群と略) と西洋薬治療群 (以下西洋群) に分けて, その成績を比較した。夏期上気道炎419名 (漢方群212名, 西洋群207名) については漢方群のほうが1回受診の患者が多く, 遷延し何回も来診した例は少なかった。急性気管支炎に進行した例数は, 漢方群1名, 西洋群12名であった。即ち漢方群のほうが, 受診回数が少なく, 重症化例も少ないといえる。インフルエンザ (783名) については, 両群間 (漢方群386名, 西洋群397名) で受診回数に大差はなかったが, 漢方群の急性気管支炎進行例12名, 肺炎進行例0に対し, 西洋群では各々25名, 2名であった。即ち漢方群のほうが, 重症化例は少ないといえる。漢方群の初診時使用薬方は, 春秋は桂麻各半湯, 夏は銀翹散または桂麻各半湯, 冬は麻黄湯が多かった。小児のカゼに桂麻各半湯の有用性は高いと考えられた。
  • 井上 雅晴
    1993 年 43 巻 4 号 p. 517-521
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 矢船 明史
    1993 年 43 巻 4 号 p. 523-532
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    漢方処方の長期投与における薬効評価においては, 経時的に測定されたデータ (repeated measurements) を, その経時的な変化のパターンに基づいて解析することが重要である。
    本論文では, 小柴胡湯を1年間投与された特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) の24症例から得られたデータに対して, 赤池情報量規準 (AIC) によるモデル選択の立場から, データの経時的変化のパターンに基づく解析を行い, その結果を報告する。また得られた結果をもとに, 同一疾患の別の6症例から得られたデータについても解析を行い, その結果を報告する。
  • 鎌田 慶市郎, 今野 昭義, 松下 嘉一
    1993 年 43 巻 4 号 p. 533-538
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 中尾 昌弘, 平野 東桓, 平谷 定彦, 藤澤 正佳, 斉藤 忍, 池田 明世
    1993 年 43 巻 4 号 p. 539-544
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患とくに肝硬変にみられる硬直性有痛性筋痙攣 (こむら返り) に対して柴苓湯5.4~8.1g/日の投与を行った。筋痙攣が全く消失した3例を含めて7例中6例において筋痙攣の頻度の明らかな減少と, 筋痙攣に伴う疼痛の程度の改善を認めた。なお, 有効例においては, いずれも, 柴苓湯投与後2週以内に十分な効果の発現をみている。有効例中著効を示した一例を呈示する。腹部から下肢に至る強い筋痙攣を頻発する71歳, 女性の肝硬変例に柴苓湯の投与を行った。投与開始翌日には, 筋痙攣の消失をみた。その後, 患者自身の判断で服薬を中止したところ, 再び筋痙攣が出現した。柴苓湯の服用を再開すると, 投与再開翌日には筋痙攣は消失した。これらの成績より, 柴苓湯の効果は疑う余地がなく, 慢性肝疾患とくに肝硬変にみられる筋痙攣に対する柴苓湯の投与が非常に有効なことがわかった。
  • 山田 輝司, 鍋谷 欣市, 李 思元, 入村 哲也, 中田 芳孝, 加来 朝王, 川口 敏樹, 福島 淳一
    1993 年 43 巻 4 号 p. 545-549
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    熱傷の局所療法には冷却, 軟膏, クリームなどによる処置や植皮術があり, 熱傷の程度とその時期により使い分けられている。熱傷の初期治療上の重要な点は瘢痕ケロイドを残さない状態で治療する事であり, 漢方薬では紫雲膏がよく用いられているが, 重症熱傷に対する治験例の報告はほとんど見られない。今回我々は18歳男性で躯幹背部から下肢にかけての熱傷面積が36%, 熱傷指数 Burn Index (B. I.) は14%の重症熱傷に対して局所療法として紫雲膏を使用し同時にシルノミーサルファダイヤジンクリームと比較検討した。その結果, 創部はどちらもケロイドを残さずほぼ同様に治癒した。疼痛については, 紫雲膏処置側のほうが僅かに軽かったが, 著明な差はみられなかった。〓痒感については紫雲膏処置側のほうが明らかに軽かった。
  • 兼村 俊範, 永井 厚志, 金野 公郎
    1993 年 43 巻 4 号 p. 551-556
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    呼吸困難のため来院した2名の患者で, 喘鳴症状から気管支喘息と考え, 気管支拡張剤を投与したが無効であった。気管支鏡, Flow-volume loop で吸気時に上気道の閉塞を認めた。可逆性上気道閉塞と診断し, 半夏厚朴湯 (エキス製剤7.5g/日) を投与したところ著効を示した。鎮静剤が有効であること, 心理テストで神経症傾向を示したことから, 発症機序として神経症的メカニズムが考えられ, 半夏厚朴湯の鎮静, 鎮痙作用によるものと考えられた。
  • 田中 裕士, 五十嵐 知文, 菅谷 文子, 阿部 庄作
    1993 年 43 巻 4 号 p. 557-563
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    症例は, 36歳女性, 8年前に進行性全身性硬化症 (PSS) と診断され, 1年前よりプレドニン25mg/日を投薬されていた。しかし, 全身のこわばり, 関節痛, レイノー現象が悪化し, 咳漱も出現してきたため入院, 胸部単純像, CT像, 肺機能, 血液検査より, 間質性肺炎を合併したPSSと診断した。身体所見より小腹急結の認められた「〓血」で「実証」と判断し桃核承気湯を投与, 一時レイノー現象が強くなったが, 対症療法で軽減した。その後, 全身のこわばり, 関節痛, レイノー現象, 咳漱は徐々に軽減し, 血中抗核抗体, 抗Scl-70抗体は4倍以上改善し, 血沈, CRP, IgG, IgAも減少し, 肺活量は270ml増加した。入院約8ヵ月後, ブドウ球菌による敗血症を起こし死亡した。随証的に投与した桃核承気湯は, 自覚症状, 検査成績を改善したことより, 間質性肺炎を伴ったPSSに有効と考えられた。
  • 小林 史朗
    1993 年 43 巻 4 号 p. 565-570
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    古来より黒子が経穴になり得るといわれていることより黒子に検討を加えてみたところ, 黒子にはカテコールアミンが含有されており, それは正常皮膚よりも多く, かつ, 圧痛のある黒子にはないものよりドーパミンが少なく, しかも, それは半導体レーザー照射によって増量されることが推測された。そして黒子 (母斑細胞母斑) はAPUD系 (amine content and/or amine precursor uptake ane decarboxylation series) 細胞であることが推測された。
  • 津谷 喜一郎, 並木 隆雄, 村松 慎一
    1993 年 43 巻 4 号 p. 571-575
    発行日: 1993/04/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    日本東洋医学会・編集委員会・データベース小委員会として調査した, 日本の代表的な医学・生物学領域におけるデータベースである JMEDICINE (JICST・医中誌国内医学文献ファイル) 中の, 全54の東洋医学関係雑誌のリストを報告し, そのいくつかの特徴を述べ, 学会内外の研究者, 臨床家の用に供せんとした。
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