日本東洋医学雑誌
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54 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 小曽戸 洋
    2003 年 54 巻 2 号 p. 259-260
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 丹羽 憲司
    2003 年 54 巻 2 号 p. 261-271
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    エストロゲン過剰刺激によるマウス子宮内膜癌モデルには c-fos/jun や内因性サイトカインIL-1α, TNF-αやCOX-2の変動も関与していると考えられる。内膜発癌の化学予防に十全大補湯漢方製剤が有効であり, その抑制作用の主成分は四物湯であると推察された。
    一方, ヒトにおけるタイプIの子宮内膜癌の予防にはエストロゲン刺激を避け, 子宮内膜増殖症の時点から管理していくことが重要であり, 十全大補湯などの漢方を含む薬物による化学予防の実際の対象は内膜増殖症を有するハイリスクグループであると考えられる。
  • 三谷 和男
    2003 年 54 巻 2 号 p. 273-286
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    昭和51年 (1976年), 漢方製剤に全面的に保険が適用され, 多くの先生方の使用が可能になって既に四半世紀の歳月が流れています。この間,「漢方薬は副作用がない」といったある意味での神話と「西洋医学では対応できないさまざまな病態にも有効」といった宣伝を背景に, 飛躍的にその使用量が増えた時期もありました。確かに, 漢方が多くの患者さんの福音となったことは事実でしょう。しかし, 西洋医学でしっかり仕事をしておられる先生方に, 本当に漢方が受け入れられたのかどうかを考えてみると, 疑問符をつけざるを得ません。その原因の一つとして, 臨床医にとって漢方方剤を簡便に扱えることがまず必要という発想の下, 複合体である漢方薬があたかも単一成分の薬方のように扱われ, 漢方薬を処方する医師にとってその中身 (構成生薬) への関心が薄れてしまっていることがあげられると思います。確かに西洋医学的な発想で漢方薬を使うとすると, 番号のついたエキス剤は便利ですね。麻子仁丸 (126番) を例にとってみます。残念ながら単に便通をつけるお薬としてしか扱われていないようですが, 麻子仁丸を小承気湯 (枳実, 厚朴, 大黄) の加減法であることを意識し, 潤腸湯 (51番) や大承気湯 (133番) さらには通導散 (105番) との使い分けを追求してこそ, かつては難治とされた陽明病治療の場で活躍した承気湯類の真骨頂がつかめるのではないかと思います。その中で, 傷寒論を大切にすることがその法則性を学ぶことにあることがよく理解されると思います。また, かつての東洋医学会では, 薬方の有効性とともに, もっと生薬の産地にこだわつた論議があつたと思います。「先生の使われた大黄は, どこの産地ですか?」「その柴胡は北柴胡ですか, 三島柴胡ですか?」こういつた論議ばかりではいけないかもしれませんが, 例えエキス剤であっても自分の使う漢方薬の中身に全く関心が払われない姿勢には問題があると思います。EBMが問われる時代です。単一の化学構造式では表せない漢方薬で治療をすすめる臨床家としては, できる限り品質の良い生薬にこだわってこそ, その臨床の成果を語れるのではないでしょうか。本学会のメインテーマは「大自然の恵みを両手に」です。今回, 漢方臨床の現場, 代表的な生薬の栽培・収穫に関わる農家の方々のこ努力の実際をお話させていただく中で, 生薬一味一味を意識した漢方治療を今後臨床の場に活かしていただきたいと願っております。
  • 青山 廉平
    2003 年 54 巻 2 号 p. 287-303
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    『医断』は吉益東洞の医説を, 門人の鶴田元逸が集録したが, その刊行を見ずに死亡したので, 同門の中西深斎が改補し, 「虚実」の編を追加して, 宝暦九年 (1759) 刊行されたものである。
    東洞の独創的医説を強烈にアピールした, センセーショナルな著述で,「司命」「死生」以下「元気」「脈候」「腹候」「臓腑」「脛絡」「引経報使」「鍼灸」「栄衛」「陰陽」「五行」「運気」「理」「医意」「痼疾」「素難」「本草」「修治」「相異相反」「毒薬」「薬能」「薬産」「人〓」「古方」「名方」「仲景書」「傷寒六経」「病因」「治方」「禁宜」「量数」「産褥」「初誕」「痘疹」「攻補」「虚実」の37論よりなり, 東洞の思想を端的に記載している。
    この書が刊行されて三年後に, 畑黄山が『斥医断』を著して,「鶴氏の編する所, 吉益子の医断を読むに書を廃して歎ず。大息す可きもの三, 流悌を為す可き者の二, 其の佗理に背き道を傷りし者, 偏ねく挙ぐること難し。云々」と慨歎し, 全編43章にわたって,『医断』の各論をとりあげ, 東洞の説にはげしい論駁を力口えた。以後,『医断』の「死生」論における天命説を中心として, 賛否両論にわかれ, はげしい論戦が展開された。堀江道元『弁医断』, 田中栄信『弁斥医断』, 小幡伯英『弁医断評説』, 加屋恭安『続医断』などの書物も出版されて, 江戸時代最大の医説論争が長く尾を引くこととなった。
    いま,『医断』・『斥医断』の二書の一端をとりあげて, 江戸時代に行われた医説論争の一面を窮うこととする。
  • 2003 年 54 巻 2 号 p. 305-339
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 54 巻 2 号 p. 341-375
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
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  • 関 義信
    2003 年 54 巻 2 号 p. 377-381
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    老人の骨髄異形成症候群 (MDS) の治療では, 薬剤の効果は不十分である。輸血依存性の症例ではさらに治療に苦慮する。加味帰脾湯は血液学分野では特発性血小板減少性紫斑病に有効であったという報告が散見される。その使用目標には貧血も認められるので輸血依存性のMDSへの効果も期待される。そこで老人のMDS患者に加味帰脾湯を投与し, 血液学的所見の推移の検討および全身状態の推移の評価を行った。症例は74歳, 男性, 虚証。8年来のMDSでプレドニゾロン, 後にメテノロンを内服していた。2週に2単位程度の赤血球輸血が必要で, ヘモクロマトーシスを併発し, 食欲不振を呈していた。加味帰脾湯を投与し, 約2ヵ月後, 白血球数と血小板数が増加した。赤血球数は改善しなかった。骨髄所見は殆ど不変であった。食欲および活動性等の全身状態は, 投与6週後より著明に改善した。ヘモクロマトーシス併発の本症例で血液学的効果とは別に食欲不振および全身倦怠感の改善を認めた。今後補剤のより優れた効果として検討してゆく必要性があるものと思われた。
  • 堀口 勇, 大竹 哲也, 岡田 貴禎, 富田 行成, 志賀 達哉
    2003 年 54 巻 2 号 p. 383-386
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    三叉神経痛に対しては carbamazepine が特効薬として使用され, 根治的には Jannetta の手術が行われる。しかし手術を望まず carbamazepine も無効となって, 激痛に悩まされる例もある。今回, 漢方薬が有効であった症例について検討した。
    漢方薬により carbamazepine が不要となったものを著効例, 半減できたものを有効例としてまとめると, 著効例7例, 有効例7例であった。処方は呉茱萸湯が2例, 五苓散を含む処方が9例, 柴胡桂枝湯・当帰四逆加呉茱萸湯生姜湯・麻黄附子細辛湯が各1例となった。
    三叉神経痛は上小脳動脈やその周辺血管の三叉神経への癒着・圧迫があり, 三叉神経の浮腫が生じていると考えられている。限局した領域における浮腫であっても五苓散や呉茱萸湯などはその利水効果によって効果を発現できるのではないかと思われた。14例の検討から三叉神経痛は水毒・表寒証が多いと考えられた。
  • 古谷 陽一, 井上 博喜, 関矢 信康, 小暮 敏明, 寺澤 捷年
    2003 年 54 巻 2 号 p. 387-390
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    大青竜湯が著効した, 関節リウマチの患者を報告した。患者は77歳, 女性で, 1988年発症の関節リウマチで1994年から当科に通院中である。1994年5月から2週間, ステロイド剤が使用されたが, 右大腿骨人工骨頭部の細菌感染によりステロイド剤は中止された。以後, Bucillamine, 非ステロイド系消炎鎮痛剤と種々の漢方薬で加療をされていた。2001年11月頃から関節痛が悪化。●●●●にはCRP 15.2mg/dlまで上昇したため, 当科に入院となった。Bucillamine は7年間服用しており, すでに無効と判断して, 入院直後中止した。大青竜湯加大黄を●●●から開始した。●●●には両膝の痛みは, 入院時の5割程度に軽快した。自覚症状の改善に伴いCRPも低下し, ●●●にはCRP 2.4mg/dlまで改善した。ランスバリー活動性指数は入院時100%から69%に改善し, ●●●に退院となった。今回の経験により, 関節リウマチの患者に大青竜湯加大黄が治療方剤の一つとなりうることが示唆された。
  • 2003 年 54 巻 2 号 p. 391-393
    発行日: 2003/03/20
    公開日: 2010/03/12
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