Na
2CO
3 (無水物) 及びSiO
2 (沈澱物, 常温における水分の含有率は10%内外) の200°から800°に到るまでの各加熱變化及びこの兩者が分子比1:2の割合で混合された調合物の同様な加熱變化を鏡檢並びにX線粉末寫眞の結果によつて檢討し, これを同じ調合物の熱分析結果 (第1報所載) と照應して考察した。その概要を以下に記す。
1) Na
2CO
3 (無水物) 及びSiO
2 (沈澱物) の200°-800°間の加熱變化としては, 微結晶の聚合及び無定形微粒子の凝集が認められ, 何れも少量の連續的な發熱を伴うようである。
2) 上記の2種の原料がNa
2CO
3+2SiO
2 (分子比) の割合で混合された調合物は, きわめて少量の水分が殘存している條件下において500°近邊から反應し始め, 反應生成物としてNa
2O-SiO
2系の硝子質とこの中に部分的に蝟集して混り込んでいるごく少量の微結晶群とを生じる。硝子質の部分は化學組成がほゞ1.0Na
2O 1.5-6.2SiO
2の範圍にあるNa
2O-SiO
2系の硝子構造あるいはこれに極めて近い状態 (例えば少量の潜晶質の結晶とNa
2O-SiO
2硝子との混合物) のものでその生成時には吸熱を伴う。又この内部にあるごく少量の微結晶群はかなりモザイク配列を持つたNa
4SiO
4及びNa
6Si
2O
7結晶であつて, 反應初期においては前者が後者に比較してはるかに多い。温度が更に上昇して580°-600°近邊になると, これ等の結晶 (始めは主にNa
4SiO
4結晶) の晶出も多量になり, その爲に吸熱を伴う。その後Na
4SiO
4結晶は温度の上昇に從い周圍の硝子質の部分と反應して次第にNa
6Si
2O
7結晶に變化してゆき, 遂に690°附近に至るとほとんどその變化を完了する。こあ過程も又發熱を伴う。温度が更に800°附近に至るとNa
6Si
2O
7結晶が周圍の硝子質中に溶解する爲に急激な吸熱現象を呈するようであり, 又硝子質の部分はこの温度に近づくに從つて若干の流動性の爲に不均一な部分が相互に少しづつ擴散し合い, Na
6Si
2O
7結晶の溶解と相俟つてその化學組成がほゞ1.0Na
2O
2. 6-3.9SiO
2の範圍に狹まる。終りに臨み, 本研究に種々の有益な御助言を下さつた東京工業大學助教授山田久夫氏に厚く御禮申し上げます。
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