窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
91 巻, 1054 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 井関 孝善, 今井 雅三, 鈴木 弘茂
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 259-264
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    遊離Siを含むち密質SiC焼結体 (反応焼結品) を反応焼結法により接合するために, まずむくの焼結体を作って接合条件を探った. SiCと炭素の混合粉末を室温で加圧成形後, 1450℃, 真空中で30分間ケイ化することにより, かさ密度3.06g/cm3, 4点曲げ強度53kg/mm2 (520MN/m2) の焼結体が得られた. 反応焼結SiCに含まれる約10wt%の遊離Siは, 1400℃以上で蒸発し, 特に真空中でそれが著しいことを考えると, 1400°-1450℃という従来よりも低い温度でケイ化し, 焼結体が得られることは意味がある.
    また, この条件で焼結体を接合することができた. 更に混合粉末中にフラン樹脂を入れることにより, 成形時に手で押さえる程度の圧力 (15kg/cm2) で加圧成形でき, 1450℃, 真空中でケイ化することにより平均接合強度34kg/mm2のものが得られた. 接合面近傍の微構造観察から, Si層が接合面に平行にできると強度が低下するので, ケイ化時に接合体が離れないよう固定することが重要であると結論された.
  • 大田 陸夫, 曽我 直弘
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 265-271
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    B2O3=96-20mol%濃度のB2O3-Li2O系融液を液相温度からQ1=1.2×10-3, Q2=9.1×10-3, Q3=7.9×10-2, Q4≅3×10-1, Q5≅2, Q6≅7, Q7≅50, Q8≅2×103, Q9≅105K/sの冷却速度で室温まで冷却固化し, 生成物を観察してガラス化領域を決定した. Q1におけるガラス化領域はB2O3≧86mol%の狭い組成域であるが, Q1Q9と冷却速度が上昇すると順次ガラス化領域は広がり, 双ローラー法 (Q9) においてはB2O3>25mol%のほとんど全域にわたってガラス化することが判明した. ガラスの生成と液相粘度の関係を調べ, (1) 冷却速度の上昇とともにガラス化際界組成の液相粘度 (ガラス化のための臨界液相粘度) は低下してよいこと, したがって (2) 臨界冷却速度は融液の液相粘度に対応して変化することが分った. 臨界冷却速度logQ-液相粘度logηL関係, 又は冷却速度logQ-臨界液相粘度logηL関係 (まとめてlogQ[Q]-logηL[ηL] と書く) を理解するためにガラス化条件式を使って, 液体パラメーターとQの値から融解エントロピーΔSfの値を計算した.
    こう配パラメーターEη/TLや融解エントロピーΔSfは, B2O3濃度とともに極大値 (又は極小値) を経て増大するのに対し, 液相粘度ηLと1/Qは極値をもたないで単調に増大することが分った.
  • 極低炭素鋼板への琺瑯の密着要因について
    井本 文夫, 松藤 和雄, 下村 隆良, 黒河 照夫
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 272-280
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    琺瑯密着性に対する幾つかの因子の影響を解明するため要因実験を行った. 焼成した琺瑯の鋼板-釉層界面の微細構造についても併せて検討した. 琺瑯用鋼板 (0.023%の銅を含む極低炭素リムド冷延鋼) は直接1回掛け琺瑯の基板として適当であり, 通常の2回掛け琺瑯の下釉に対しても良好な密着を与えることを確認した. 鋼板の前処理はほとんどの場合, 密着に有効であることが分った.
    界面での鉄の濃度分布はいずれも類似した単純減少曲線を描き, 密着指数との間に相関関係は認められない. 一方, 鋼板-釉層界面に “からみ合い” 構造が観察される. この構造の幅が増すほど密着指数は高くなっており, 構造の深さと形に基づく階級づけと密着指数との間に高い相関が認められた. 琺瑯焼成過程で, スマット, ニッケル又は密着剤等の沈着物をカソードとする鋼板面での微小な局部電池の作用により, この “からみ合い” 構造の幅が増すものと思われる.
    結局実用条件の範囲内ではあるが, 局部侵食によって形成された鋼板-釉層界面のからみ合いによる機械的な結合が琺瑯の密着に寄与する主要な因子であると判断された.
  • 福原 裕治, 鈴木 栄一, 橋場 稔, 三浦 英二, 塗師 幸夫, 日比野 泰三
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 281-289
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    平均粒径8.0μmのアルミナと0.3μmの酸化亜鉛混合物を1000°-1200℃で種々時間加熱し, ZnAl2O4の生成率αを測定し, 併せて微細構造の観察を行った.
    ZnAl2O4の生成率αは混合組成 (ZnOのモル分率をXzとする) Xzにより変化し, Xz<0.5の領域ではXzの減少に伴い増加し, 一方Xz>0.5の領域では組成依存性が認められなかった. αを加熱時間tに対しプロットするとほぼ放物線状の曲線を示したが, 1100℃で長時間加熱した試料では反応が完結せず見掛け上停止した.
    微細構造の観察により, ZnAl2O4生成層はAl2O3粒子側に拡散の法則に従って成長し, ZhAl2O4中のZn2+の体積拡散により成長しているものとして拡散係数を決定した. またその活性化エネルギーは85.4kcal/molであった.
    組成の異なる試料中でのZnAl2O4の生成率の変化にJander模型を適用し, ZnOが拡散成分, Al2O3が中心粒子, アルミナ及び酸化亜鉛粒子のうち反応にあずけることのできる粒子の割合をそれぞれ (X'A/XA), (X'Z/XZ) として, Jander式の修正式を導いた. これら修正因子を導入したJander模型は広い組成域でのZnAl2O4生成率の変化をよく説明できることを示した.
  • 大矢 豊, 浜野 健也, 中川 善兵衛
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 289-297
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    粒径と遊離コランダム含有量が異なる3種類の合成チタン酸アルミニウム粉末を調製し, これらを原料として焼成体を作製し, 微構造と曲げ強さ, 熱膨張率との関係を検討した.
    得られた焼成体にドメイン組織は形成されていなかった. 粒径が大きく遊離コランダム量が少ない粉末の1500℃, 4h焼成体は, 平均粒径が3μm以上で多くの粒界にき裂が存在していた. 粒径が小さく遊離コランダム量が多い粉末を焼成した場合, 1500℃, 4h焼成体でも平均粒径は, 2.5μm以下であり, 粒界き裂は1300℃焼成体ではほとんど認められず, 1450℃, 1500℃焼成体でわずかに認められる程度であったが, 1400℃, 4h焼成体では粒内破壊を伴う大きなき裂が生じていた.
    平均粒径が2.5μm以下で粒界き裂の量が少なくなると曲げ強さが急に大きくなり, 1300℃, 8h焼成体で平均強度が約860kgf/cm2であった. このような高い強度を示した焼成体でも1000℃での膨張率が0.4%以下と低熱膨張性を保っていた. また遊離コランダムが共存することで, チタン酸アルミニウム粒子の成長が抑制されることが分った.
  • 中川 善兵衛, 浜野 健也, 阪口 美喜夫, 神崎 修三
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 297-303
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥により得られたマグネシウム・アルミニウム硫酸塩乾燥物 [MgAl2(SO4)4・8-9H2O] とそれを吸湿させて得たピッケリンガイト [MgAl2(SO4)4・22H2O] の加熱分解過程を調べ, 両者を比較検討した.
    両試料からはいずれも脱水に伴い無水の硫酸マグネシウムと硫酸アルミニウムが結晶化する. 更に加熱すると硫酸アルミニウムが分解して非晶質を経てγ-アルミナに変化し, γ-アルミナは硫酸マグネシウムの分解時にそれと反応してスピネルを生成する. 結晶水の少ない凍結乾燥物ではこの反応が1000℃でほとんど終了するのに対し, ピッケリンガイトから出発した場合には少量の未反応のマグネシアがペリクレースとして更に高温まで残存した. この相違はピッケリンガイトが脱水中に融解し, 生成してくる無水硫酸塩の結晶子が大きくなることや. アルミニウム塩とマグネシウム塩が偏析するためと考えられ, 無水硫酸塩の分解温度が高温側に移行し, 生成するマグネシアの粒子が大きくなってスピネル化の反応が不完全となるためと推定された. またピッケリンガイトから生成するスピネルは, 凍結乾燥物から生成するものよりも結晶度が高くなる傾向が認められた.
  • 那須 弘行, 吉本 護, 大田 陸夫, 曽我 直弘
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 303-305
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 渡村 信治, 芝崎 靖雄, 水田 博之, 北村 雅夫
    1983 年 91 巻 1054 号 p. 306-307
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1983 年 91 巻 1054 号 p. A34-A39
    発行日: 1983/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top