粒径と遊離コランダム含有量が異なる3種類の合成チタン酸アルミニウム粉末を調製し, これらを原料として焼成体を作製し, 微構造と曲げ強さ, 熱膨張率との関係を検討した.
得られた焼成体にドメイン組織は形成されていなかった. 粒径が大きく遊離コランダム量が少ない粉末の1500℃, 4h焼成体は, 平均粒径が3μm以上で多くの粒界にき裂が存在していた. 粒径が小さく遊離コランダム量が多い粉末を焼成した場合, 1500℃, 4h焼成体でも平均粒径は, 2.5μm以下であり, 粒界き裂は1300℃焼成体ではほとんど認められず, 1450℃, 1500℃焼成体でわずかに認められる程度であったが, 1400℃, 4h焼成体では粒内破壊を伴う大きなき裂が生じていた.
平均粒径が2.5μm以下で粒界き裂の量が少なくなると曲げ強さが急に大きくなり, 1300℃, 8h焼成体で平均強度が約860kgf/cm
2であった. このような高い強度を示した焼成体でも1000℃での膨張率が0.4%以下と低熱膨張性を保っていた. また遊離コランダムが共存することで, チタン酸アルミニウム粒子の成長が抑制されることが分った.
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