製紙スラッジ-硫酸-スラグ-水酸化カルシウム系の凝結, 硬化における水酸化カルシウムの作用とアルミン酸ナトリウム添加の影響を検討し, 次の結果を得た.
(1) 製紙スラッジ-硫酸-スラグ系ではスラグ中のCaO及びMgO成分は塩基性物質として系中の遊離硫酸と反応し, 硫酸カルシウム二水和物を生成し, その結果スラグ中のSiO
2及びAl
2O
3成分の反応性が増大する.
(2) この系に水酸化カルシウムを添加すると, CaO-Al
2O
3-CaSO
4・2H
2O系からはエトリンガイトが生成するが, 水酸化カルシウムの添加量がCaO/Al
2O
3モル比, 3/1以下ではエトリンガイトは非常に生成しにくい. それに反し, 3/1以上になるとこの系にはエトリンガイトが生成し, 凝結, 硬化することが分った.
(3) この系の凝結はアルミン酸塩の添加により非常に促進された. CaO/CaSO
4・2H
2O/Al
2O
3モル比が3/3/1以上にCa(OH)
2及びCaSO
4・2H
2Oが存在するときは, NaAlO
2の添加により, エトリンガイトが生成し, 凝結が早くなり, 強度も増大したが, Ca(OH)
2及びCaSO
4・2H
2Oのどちらか欠けるときは, エトリンガイトの生成がなく, 凝結は早くなるが, 強度は低下した.
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