高温強度に及ぼす粒界相の影響を調べるため, 2種類のβ-サイアロンをホットプレスにより得た. (i) 原料窒化物表面の酸化物, ボールミル中のアルミナの混入量を補正し, Si
4Al
2O
2N
6の組成になるように調合した “balanced” サイアロン (B-サイアロン), (ii) 補正しないサイアロン (A-サイアロン).
A-, B-サイアロンの曲げ強度を室温から1400℃まで測定した. A-サイアロンの室温強度は48kg/mm
2であり, 温度とともに低下し, 1400℃では37kg/mm
2であった. 一方, B-サイアロンの室温強度は44kg/mm
2であり, 1300℃まで低下せず, 1400℃ではわずか低下し, 41kg/mm
2であった.
A-サイアロン中に存在するX相を透過型電子顕微鏡及び熱膨張測定で調べた. A-サイアロンのX相は約3vol%, B-サイアロンにはほとんど存在しない. A-サイアロンの高温での強度低下はX相が多いためと考えられる.
破面の観察によると破壊は表面の傷及び焼結体の不均一に起因する大きな粒子から始まる. 室温では粒内破壊, 高温では粒内及び粒界破壊であった.
本研究の結果, 組成の “補正” は高温強度の改良に有効であることが明らかとなった.
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