窯業協會誌
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90 巻, 1040 号
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  • 荻原 覚, 衣川 清重
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 157-163
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    インジウムとスズの硝酸塩をアセチルアセトンに溶解した錯体を用いて, ガラス基板に浸漬法により塗布し, 加熱分解することにより酸化インジウム-酸化スズ系透明導電膜を作製した. 作製した膜のエッチング速度, 膜の強度など膜質に及ぼす作製条件の影響を調べ, 更に, 膜のキャリア濃度, 移動度及び抵抗率を測定し, 電気導電機構を検討した.
    薄膜中のSnO2量が5wt%以上, 焼成温度が500℃以上で作製された膜は塩酸系エッチング液によるエッチング速度が速く, 膜の強度が大きく, はがれにくい良質な膜が得られる. また, SnO2量が多くなるに従いキャリア濃度は大きく, 移動度は小さくなる. SnO2量を3-7wt%, 焼成温度を500℃で作製した膜の抵抗率は1.3×10-3Ω・cm, キャリア濃度は1.3×1020cm-3, 移動度は35cm2・V-1・s-1である. 焼成温度は高いほどキャリア濃度, 移動度が大きくなり, 抵抗率は小さくなる. これらはIn2O3格子中のIn3+がSn4+で置換されることにより, キャリアである電子が増加すること, 焼成温度が高いほど結晶性がよくなるとともに, 膜がち密になることによるためと考えられる.
  • 松下 徹, 白鳥 昌之, 綱島 群, 小平 紘平
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 163-167
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    K1-2nPbnMg3AlSi3O10F2 (n=0.1-0.5) 組成のガラス試料を, PbO, SiO2, MgO, MgF2, K2SiF6, K2CO3等の混合物を1350°-1450℃で溶融して作製した. n>0.3の組成の溶融体からは透明なガラスが, n<0.2の組成の溶融体からは白濁したガラスが得られた.
    得られたガラスを600°-1100℃で加熱した際における雲母の結晶化をDTA, 電子顕微鏡及びX線回折によって検討した.
    DTA曲線においては, 雲母の結晶化による発熱ピークは約700℃で現れ, nの値が大きな組成ほどわずかに高温側にシフトした.
    ガラスの熱処理温度及び時間に対する雲母のX線回折強度の変化から, 雲母結晶のc軸方向の成長速度は他の方向より遅いことが分った.
    Pb0.5Mg3AlSi3O10F2組成のガラスから結晶化した雲母の格子定数は次のとおりである.
    a=5.313Å, b=9.184Å, c=9.951Å, β=101°20′, なお, 格子定数cnの値の増加とともに急激に小さくなった.
  • 松末 勝利, 高原 北雄, 橋本 良作
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 168-174
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ホットプレスSi3N4の常温における破壊強度を調べ, かつセラミックス材料の強度評価法を検討するために, 角棒の曲げ強さ試験, 板材の引っ張り試験及び円輪の回転試験等を行った. 各試験片の平均強度と有効体積の関係をワイブル統計を用いて検討した. また破面を観察して破壊の起点を調べ, き裂の進展状況を考察した.
    試験によって得られた引っ張り強度及び回転強度は, 3点曲げ強さ試験の結果を用いて得られた予測強度と比較的良い一致を示した. 引っ張り試験には, 試験片の両端に金属片を接着し, これに十字ピン継手を介して負荷する方法を採用した. この方法によって偏心荷重の影響も少なく良好な結果が得られた. 各試験の破面の代表例を拡大写真で示した.
  • 呉 基東, 森川 日出貴, 奥野 正幸, 丸茂 文幸
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 175-180
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    2B2O3・Na2OガラスのX線散乱強度を測定し, 動径分布解析法によってガラスの構造を研究した. 相関曲線のピークは1.45, 2.40, 3.70, 4.25, 4.60, 5.9と6.3Åに認められた. 1.45Åの第1ピークはBO3三角形とBO4 4面体の平均B-O原子間距離に相当し, ピーク面積から求めたB原子の配位数は3.4であった. このガラスの網目構造は, 所謂diborate groupで構成されていると予想されたので, diborate groupのみからなる2B2O3・Li2Oの結晶構造を模倣して2B2O3・Na2Oガラスの構造モデルを組み立てた. このモデルの格子定数はガラスの密度から決めた. このモデルは実測のX線散乱強度とよく一致する計算の散乱強度を与えた. 2.40Åの第2ピークの面積からB-BとO-O対による電子数を差し引き, Na原子の配位数を求めると5.5であった. このモデルによれば互いに連結しているdiboiate group間の距離は5.7Åであり, この距離から考えてdiborate group間の一部に非架橋酸素原子が存在すると推定された.
  • 大塚 淳, 大野 秀樹, 志沢 三明
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 180-187
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    位置選択性の強いZn2+, Ni2+, Cr3+の各陽イオンが, 既知の擬ブルッカイト型化合物の格子中, どの程度置換固溶できるかを検討するため, MgO2TiO2, CoO2TiO2のMg2+, Co2+を, それぞれZn2+, Ni2+で, Al2O3TiO2, Fe2O3TiO2のAl3+, Fe3+をCr3+で逐次置換した試料を, 1100°-1550℃, 1-20時間の加熱で調製し, X線分析で単一固溶体の生成を確認, その固溶体中のCo2+, Ni2+, Cr3+の吸収曲線を求め, 既知の構造中の, 各陽イオンの吸収と対比した. この結果, Zn2+はMgO2TiO2中に約80mol%, CoO2TiO2中に約40mol%, Ni2+はMgO2TiO2中に約50mol%, CoO2TiO2中に約40mol%, Cr3+はAl2O3TiO2, Fe2O3TiO2中に, ともに約10mol%置換固溶すること, また, モル比でCoO:TiO2=1:2の配合物から, 単一のCoO2TiO2を生成させるには高温からの急冷が必要であることが認められた. 擬ブルッカイト格子中のCo2+の吸収は, イルメナイト格子中のCo2+ (6配位) とウルツァイト格子中のCo2+ (4配位) にともに似ているが, Ni2+のそれはイルメナイト格子中のNi2+に類似し, 4配位Ni2+吸収との類似は全くない. Cr3+の場合, やはり, イルメナイト格子中のCr3+の吸収と類似している.
  • 小久保 正, 北村 啓治
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 187-195
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    2BaO・1.4ZnO・0.6FeO・6Fe2O3 1molに対し, 2BaO・4ZnO・4B2O3を0.3mol添加した組成のバッチを1470℃で2時間溶融し, その間30分おきに3回かくはんし, 冷却固化したものを融液凝固のための出発物質とした. この出発物質を白金・ロジウムるつぼに入れ, るつぼ上面を1450℃に下面を1300℃に加熱して, 出発物質を底に近い約5mmの部分だけ残し, それより上の部分を溶融し, そのまま10時間保った後, るつぼ上面及び下面の温度をともに5℃/hの速度で降下させて, 下に残っていた出発物質を種子結晶として, 融液を50℃/cmの温度こう配下で, 1mm/hの速度で, 下から上に向け一方向に凝固した. その結果, 直径1-3mmのBa2(Zn, Fe2+)2Fe12O22柱状晶が凝固進行方向に平行に伸び, その磁化の容易な〈100〉方向が凝固進行方向に並んだ, 見掛け気孔率0.3%のち密な凝固物が得られた. この凝固物の凝固進行方向の透磁率は, 同組成の無秩序な結晶粒子からなる焼結体のそれよりかなり高かった. しかし, それは従来報告された単結晶のc面に平行な方向の値に比べると低かった.
    凝固物の微細構造と凝固条件の関係, 並びに凝固物の磁気的性質と微細構造の関係を考察した.
  • 谷 英治, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 195-201
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    共沈法により得たジルコニア・セリア固溶体 (Cs.s.) を100MPa, 600℃, 2-72時間の条件で水熱処理した場合の結晶化過程及びそれに及ぼす鉱化剤の効果を検討した. 鉱化剤として再蒸留水, アルカリ金属 (Li, Na, K) のフッ化物, 塩化物, シュウ化物, 炭酸塩, 硝酸塩, 硫酸塩, 水酸化物水溶液を用いた.
    水熱処理後の生成相は, 単斜晶ジルコニア相 (m-ZrO2s.s.), セリア相 (CeO2s.s.), ZrO2に富む固溶体 (C1s.s.) であり, それらの各相の結晶子径及びC1s.s. の生成の有無は主に鉱化剤における陰イオンの種類に依存していた.
    フッ化物, 炭酸塩, 水酸化物等は, m-ZrO2s.s. の結晶子をCeO2s.s. より増大させた. 塩化物, シュウ化物, 硫酸塩では, CeO2s.s. の結晶子をm-ZrO2s.s. より増大させた. 再蒸留水, 硝酸塩ではm-ZrO2s.s. 及びCeO2s.s. の結晶子径をあまり増大しなかった. また, 塩化物及びシュウ化物では, m-ZrO2s.s. とCeO2s.s. に加えてC1s.s. を生成した.
    各鉱化剤により効果が異なるのは, Cs.s. の結晶化機構が, 溶解析出機構と再配列機構に依存しており, フッ化物, 炭酸塩, 水酸化物等では溶解析出機構, 塩化物, シュウ化物では再配列機構が主に寄与していた.
  • 山田 哲夫, 田中 敦彦, 島田 昌彦, 小泉 光恵
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 202-208
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高圧焼結法及び熱間静水圧焼結法により作製したSi3N4単味の無添加高密度焼結体, 及び添加物を含む高密度焼結体の室温, 及び高温におけるビッカース微小硬度を測定した. Si3N4単味焼結体の室温硬度は, 開気孔の消滅する密度領域で急激に高くなった. 無添加高密度焼結体の200g荷重下における硬度は, 室温で23GN/m2, 1200℃で14GN/m2であり, 高温においては, SiC単結晶よりも高硬度であった. α-Si3N4の焼結においては, 相転移初期に硬度が高くなり, β-Si3N4を用いた場合よりも, 室温及び高温硬度の高い焼結体が得られた. 同一元素の酸化物及び窒化物を添加して得られた焼結体においては, 酸化物よりも窒化物を添加した焼結体の方が, 高温における硬度低下が小さく, Si3N4の焼結においては, 粒界相の組成の制御が重要であることが分った. また, Si3N4焼結体の硬度が急激に低下し始める温度は, そのぜい性-延性遷移温度に対応しているものと考えられる.
  • 伊藤 紀子, 笹本 忠, 佐多 敏之, 米屋 勝利, 柘植 章彦
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 209-213
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    市販の窒化ケイ素焼結原料9種について, LiからLaまでの不純物元素含有量をスパークイオン源質量分析法で定量した. 得られた不純物含有率を原料粉末の製法及び3点曲げ強さと関連づけた. SiとN2から製造された原料粉末には30種の不純物元素が検出され, その含有率は合計1-2.2wt%であった. 一方SiCl4とNH3及びSiO2とCとN2とから製造された原料粉末に含まれる不純物元素の種類は少なく, その合計は0.07-0.14%であった. 主な不純物はAlとFeであり, ついでCa, Ti, Cr, Niが多く検出された. 次に焼結助剤として2% Al2O3-5% Y2O3を加えたホットプレス焼結体の3点曲げ強さは, 1200℃では不純物含有率及びFe, Ca, Tiの含有率とともに減少し, α-Si3N4原料についてその相関係数はそれぞれ0.81, 0.76, 0.85, 0.62であった. しかし室温での強さは不純物含有率に依存しなかった. β-, α≅β-及び非晶質Si3N4原料粉末から作られた焼結体の室温及び1200℃での強度はともに上述のα-Si3N4についての相関からはずれてより低い値を示した.
  • 坂村 博康, 安井 至
    1982 年 90 巻 1040 号 p. 213-214
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 90 巻 1040 号 p. A27-A32
    発行日: 1982/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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