共沈法により得たジルコニア・セリア固溶体 (Cs.s.) を100MPa, 600℃, 2-72時間の条件で水熱処理した場合の結晶化過程及びそれに及ぼす鉱化剤の効果を検討した. 鉱化剤として再蒸留水, アルカリ金属 (Li, Na, K) のフッ化物, 塩化物, シュウ化物, 炭酸塩, 硝酸塩, 硫酸塩, 水酸化物水溶液を用いた.
水熱処理後の生成相は, 単斜晶ジルコニア相 (m-ZrO
2s.s.), セリア相 (CeO
2s.s.), ZrO
2に富む固溶体 (C
1s.s.) であり, それらの各相の結晶子径及びC
1s.s. の生成の有無は主に鉱化剤における陰イオンの種類に依存していた.
フッ化物, 炭酸塩, 水酸化物等は, m-ZrO
2s.s. の結晶子をCeO
2s.s. より増大させた. 塩化物, シュウ化物, 硫酸塩では, CeO
2s.s. の結晶子をm-ZrO
2s.s. より増大させた. 再蒸留水, 硝酸塩ではm-ZrO
2s.s. 及びCeO
2s.s. の結晶子径をあまり増大しなかった. また, 塩化物及びシュウ化物では, m-ZrO
2s.s. とCeO
2s.s. に加えてC
1s.s. を生成した.
各鉱化剤により効果が異なるのは, Cs.s. の結晶化機構が, 溶解析出機構と再配列機構に依存しており, フッ化物, 炭酸塩, 水酸化物等では溶解析出機構, 塩化物, シュウ化物では再配列機構が主に寄与していた.
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