窯業協會誌
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85 巻, 988 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 清水 紀夫, 柳田 博明, 橋本 甲四郎
    1977 年 85 巻 988 号 p. 567-571
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    二酸化チタン (アナターゼ) と無水炭酸カリウムを良く混合し, 水を加えて造粒し, 乾燥し, ニッケル坩堝中で熔融し, 急冷した.
    生成物はチタン酸カリウム結晶の集合したものであった. そして余剰カリウムを除くために温水で処理した. 熔融の過程及び冷却過程は複雑であるが, 得られたチタン酸カリウム繊維は非結晶質と六チタン酸カリウムだけであった.
    チタン酸カリウム繊維を得るための最適K2O/TiO2比は1/2であった. この方法で得られたチタン酸カリウム繊維は束状をなした六チタン酸カリウムで柔軟性と強度で劣っていた. しかし塩化カリウムを添加することにより一般的単繊維状チタン酸カリウム繊維を得ることができた.
  • 田草川 信雄, 山田 清二, 大門 信利
    1977 年 85 巻 988 号 p. 572-580
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    K2O-SiO2-3/5MgO・2/5MgF2 (I) 系およびMgO-MgF2-1/9K2O・8/9SiO2 (II) 系のガラス化範囲, ガラスの示差熱曲線および初期結晶化過程の析出結晶を調べた. 両系にKMg2.5Si4O10F2雲母の組成点を含むガラス化範囲があった. 示差熱曲線からガラスの組織変化による吸熱開始温度 (T0), 最も低温側に生じた発熱ピーク温度 (T1) およびその高さ (I1) を求めた. I系の9.4K2O, 28.1MgO, 18.8MgF2, 43.7SiO2(mol%) 組成ガラスは最も大きいI1値を示した.
    T1温度で雲母, 弗化マグネシウムカリウム (PMF), コンドロダイト類似結晶 (CL) および珪酸マグネシウムカリウム (PMS) が析出した. 雲母はKMg2.5Si4O10F2雲母に類似したX線回折図を与え, 格子定数 (b0) が9.07-9.24Aの範囲内でガラスの組成とともに変化した. これはマグネシウムが雲母の四配位位置の一部を占めることができ, その四配位マグネシウムの含有率はガラスの組成とともに変化することを示す. PMFはKMgF3-KFの固溶体であり, CLはChyungらがK2O-MgO-Al2O3-B2O3-SiO2-F系ガラスの結晶化過程で観測したものと類似のX線回折図を与えた. PMSは四配位マグネシウムを含むと予測されているK2MgSi3O8に類似したX線回折図を与えた.
  • 稲田 博
    1977 年 85 巻 988 号 p. 580-586
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    (1) 多数のビトリアスチャイナ製品について釉応力と素地の熱膨脹係数とを測定して, 釉応力は素地の熱膨脹係数に比例して変化することを見出した. この関係は,
    S(kg/cm2)≒470[6.2×10-6B(20-450℃)]×106kg/cm2
    で表わせる. Sは釉応力, αB(20-450℃) は常温 (20℃) と釉の最低なまし温度 (450℃) との範囲の素地の熱膨脹係数である. 使用した釉の熱膨脹係数は6.7×10-6であった. 釉応力は素地の熱膨脹係数が1.0×10-6増すとほぼ470kg/cm2圧縮応力が増す. 注目すべきことは釉応力が0の時の素地の熱膨脹係数は6.2×10-6, すなわち釉のそれより0.5×10-6だけ小さいことである.
    (2) 同一試料について素地の相対的結晶量をX線回折法によって測定した. ビトリアスチャイナ製品の素地は石英, クリストバライト, ムライトおよびガラスよりなり, 貫入品と無貫入品とでは石英とクリストバライトの相対含有量が異なるが, ムライト含有量は両者間でほとんど変らないことが判った. 素地の熱膨脹係数はIQ(100)+1/6・ICrist(101) であらわした石英及びクリストバライトの含有量の増加と共に増した. ここでIQ(100) 及びICrist(101) はそれぞれ石英の (100) 面及びクリストバライトの (101) 面よりのX線回折線の強度である. IQ(100)+1/6・ICrist(101)≒20で釉応力は0, IQ(100)+1/6・ICrist(101) が20より大きいか小さいかによって釉応力は圧縮あるいは引張りとなった.
    このようにビトリアスチャイナの貫入安全度は素地中の石英とクリストバライトの相対的含有量の測定によって定量的に予測でき, また前報で述べたように釉応力の測定によってもできる.
  • 田中 博史
    1977 年 85 巻 988 号 p. 587-590
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    硼珪酸ガラスを熱処理して分相させ, 粉砕した後1時間から480時間まで時間を変えて95℃の1規定硫酸で処理して多孔質ガラスとした. 得られた多孔質ガラスについて, 窒素及び水蒸気吸着により表面特性を調べた. 比表面積は酸処理時間が長くなるにつれて406m2/gから115m2/gまで減少し, 特に酸処理の初期における変化が著しかった. 表面積の減少は細孔径の増加とともに進行したが, この間細孔容積は一定であった.
    多孔質ガラスが等しい径の球の充填構造より成ると仮定して比表面積から粒子半径を計算し, それの酸処理による増加を検討した. その結果, 比表面積の減少はThomson-Freundlichの式で表わされる, 粒子径の差から生じるシリカ粒子の溶解度の差によって起こり, 拡散律速下で進む粒子成長によるものとして表現できることがわかった.
  • Sat Narain KHOSLA, C. S. GUPTA, R. K. BEDI
    1977 年 85 巻 988 号 p. 591-593
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    5種の粘土の加熱時の膨脹-収縮特性を常温-950℃の間で測り, 膨脹または収縮係数を温度の関数として打点した. これらを試料の物理, 化学的な性質と関係づけて論じた. 構造以外に粒度分布, 化学分析値, 鉱物組成が顕著に影響した. 高温での係数の変化は空孔率の低下と矛盾なしに関係づけられた. 組成鉱物は石英, イライト, モンモリロナイト, ベントナイト, カオリナイトであった.
  • 牧島 亮男, To-TIEP-ICH, 境野 照雄
    1977 年 85 巻 988 号 p. 594-598
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    PbOを含有する混合アルカリの光学ガラスのNa+→←K+イオン交換に及ぼすガラス組成の影響をEPMA, 光学顕微鏡により研究した. Al2O3/Na2O比が1.0以下では, この比の増大にともないイオン交換の速度が増大することが一般に知られているが, 本研究のPbOを多く含むガラスの場合にはこのAl2O3/Na2O比の効果がほとんどないことがわかった. これはPb2+イオンがNa+→←K+イオン交換の際にK+イオンの移動を抑えるためであろう. しかしPbOをAl2O3で入れ換えてAl2O3/Na2O比を増大させるとみかけの拡散係数は5倍増大し, Al2O3/Na2Oの比の影響がみられた. したがってPbOを多く含有する場合にはAl2O3/Na2O比を増大させてもイオン交換はおこりにくいが, PbOを減少させ, さらにAl2O3/Na2O比を増大させることによりイオン交換がおこりやすくなることがわかった. 本研究のPbO含有光学ガラスの400℃, 24時間のNa+→←K+のイオン交換の結果によると, 圧縮応力は約0.5-16kg/mm2, 圧縮層の厚さは10-70μmであった.
  • 水及び酸の添加による紡糸可能なTiO2-SiO2系アルコレート溶液の調製
    神谷 寛一, 作花 済夫, 伊藤 敏
    1977 年 85 巻 988 号 p. 599-605
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化物に換算した組成が重量比で10TiO2・90SiO2, 30TiO2・70SiO2及び50TiO2・50SiO2となるように, チタンテトライソプロポキシド (Ti(O-isoC3H7)4) とシリコンテトラエトキシド (Si(O-C2H5)4) を混合し, 30℃で炭酸ガスと水蒸気を吹き込み, その後室温 (約20℃) で, 水及び塩酸を添加して加水分解させ, 粘稠で紡糸可能な溶液を得ることができた. 炭酸ガスと水蒸気による前処理を行わないと, 水及び塩酸をエチルアルコールとともに加えたとき, 局部的な加水分解が起こり沈澱を生じ, 曳糸性のある溶液は得られなかった. 炭酸ガスによる前処理を15時間以上行い, その後加える水の量をアルコレートの加水分解が完結するのに必要な量の0.5-0.6以下としたときは溶液の曳糸性は加える塩酸の量に依存し, 塩酸の量がアルコレートに対してモル比で1.0-4.0×10-4の範囲のとき繊維を得ることができた. 炭酸ガスによる前処理を長くするほど, 塩酸と水の添加により溶液が紡糸可能な状態に到達する時間を短縮できた. 三つの酸化物組成に対応する繊維を500℃で加熱し, 透明な酸化物ガラス繊維を得た.
  • 林 国郎, 福井 雅男
    1977 年 85 巻 988 号 p. 605-607
    発行日: 1977/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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