窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
88 巻, 1024 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 川村 資三, 黒川 利一
    1980 年 88 巻 1024 号 p. 703-712
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    カオリンと石灰石の混合素地は, 約900℃-950℃の低温域と1250℃以上の高温域に分かれて不連続なち密化過程を示す. 900°-950℃では活性なCaOとメタカオリンが反応してゲーレナイトを生成するのに伴って急速なち密化が起こる. その際, 常にゲーレナイトがアノーサイトやワラストナイトに先行して生成する. 中間の温度範囲では反応は固相状態で平衡に達するように推移し三つの固相が安定化するが, 粒子間の焼結及び磁器化現象は起こらない. 1250℃以上では生成した3種の結晶相で共融が起こり液相を生ずることにより磁器化が始まり, CaO含有率25-40%の素地では共融反応の初期に過剰な融液を生ずるため磁器化温度幅を狭くする. 素地の磁器化過程及びCaO含有量と磁器化温度の関係についての実験結果はCaO-Al2O3-SiO2系平衡状態図からつくられるCaO-Al2O3・2SiO2擬2成分系相図からの推定とよく一致した.
  • 野上 正行, 守屋 喜郎, 早川 惇二, 小見山 亨
    1980 年 88 巻 1024 号 p. 712-718
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    金属アルコレートを出発原料にしてレーザー核融合実験に使用可能な中空ガラス微小球の製造を試みた.
    Si(OC2H5)4, B(OCH3)3及びNaOCH3の混合溶液を加水分解してゲルを作った. 乾燥した後粉砕, ふるい分けして得られた44-63μmのゲル粉末を縦型の電気炉内を落下させて中空ガラス球を作った. ゲル粉末を急激に加熱すると, 粉末内部のガスが粉末から逃散するよりも早く表面にできたガラスのかくに閉じ込められて中空球になる. 中空球の炉内での膨張は閉じ込められたガスの圧力とガラス球かくの粘性緩和に支配されるとしてその速度を計算した. その結果, 中空球は0.1秒以内に最終的な大きさに達し, また球かくに閉じ込められて膨張に有効なガスはゲル粉末の半径の1/3より内側に含まれているガスであると見積もることができた.
    1300°-1500℃の炉内を通過させて, 肉厚が約1.0μmで, 80-100μmの大きさの中空ガラス微小球が得られた. これらの中空球はその真球度や肉厚の均一性に優れており, レーザー核融合実験に使用できるものであった.
  • 西田 俊彦, 堀田 泰業, 西川 友三
    1980 年 88 巻 1024 号 p. 718-724
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    AlN焼結体の3点曲げ変形と破壊の挙動を一定応力速度下で調べた. 試料のAlN焼結体は原料粉末を2000℃, 200kg/cm2で30分 (試料A) と180分 (試料B) ホットプレスして作った2種類のものを用いた. 試料A, Bの相対密度と粒径は, それぞれ95-96%, 2-2.5μm並びに99%, 8-10μmであった. 12.7kg/cm2・minの応力速度下でのぜい性-延性遷移温度は試料Aで1400℃, 試料Bで1600℃付近であった. ぜい性領域での破壊の原因については破壊力学の立場で考察し, 破壊強度に及ぼす試料表面の傷の大きさに関する議論を行った. 一方延性領域で生じた変形の過程中に, 試料Aでは拡散による変形に加えて粒界での分離が生じていることが観察され, しかもこの試料では温度上昇とともに降伏応力が低下した. しかし試料Bでは2000℃での変形に際しても粒界での分離は認められず, 降伏応力も1800℃までほぼ一定であった. 以上のことから, AlN焼結体をより優れた高温構造材料とするためには単にち密化するだけでは充分でなく, 結晶粒界の結合強度を高めるための充分な焼成条件が必要であろうと考えた.
  • 今岡 稔, 鈴木 傑, 坂村 博康
    1980 年 88 巻 1024 号 p. 725-733
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    As-Se系ガラスの転移域でのクリープ現象を, 一定トルク下で測定した. 遅れ弾性のコンプライアンス, J(t), は次のように表せる.
    J(t)iJi(1-e-ti) (1)
    ここでt: 時間, τ: 遅延時間を表すものとする. i=1のときでも, すべての試料で相関係数は0.95以上となる. したがって, i=1で計算しても実測線とほぼ一致するとみなせる. J (各測定の最終値) はすべての組成でη≅1014 poiseで極大値を持った. それで粘性の関数として表す次の式を考えてみた.
    J=(1-k2ηG/η)(f1[k1/η]+f2[nk1/η]) (10)
    ここで, k1, k2, n, f1, f2は任意係数で, [k1/η], [nk1/η] はもし1を越えたときはすべて1とおくものとした. この式は, Jが低粘性側 (η<1014 poise) では粘性との競合を表す (1-k2ηG/η) 項に, また高粘性側 (η>1014 poise) では, 層間の相互作用を表す [k1/η] 又は [nk1/η] 項に主に影響を受けることを意味している. 計算曲線は図8 (a), (b), (c) に示すように, 実測値とよく一致している.
  • ZnO-Al2O3-SiO2系ガラスの結晶化に関する研究, 第4報
    横石 章司, 斎藤 肇
    1980 年 88 巻 1024 号 p. 733-740
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZnO-Al2O3-SiO2系ガラスの再加熱によりβ-石英固溶体を主相とする透明性のある結晶化ガラスを得る目的で一連の研究を行っている. 本報告においては, ZnO-Al2O3-SiO2系ではLi2O-Al2O3-SiO2, MgO-Al2O3-SiO2系より広い組成範囲でβ-石英固溶体が析出することが分ったのでZnO/Al2O3>1 (モル比) の組成におけるβ-石英固溶体の析出範囲, 置換の様式及び加熱変化について検討した.
    β-石英固溶体のみが析出する組成範囲は, 3.45≧ZnO/Al2O3≧1, SiO2>46mol%, ZnO<38mol%であった. ZnO/Al2O3=1の場合はβ-石英構造において1/2 Zn2+ (VI)+Al3+(IV) がSi4+ (IV) を置換すると考えちれるが, ZnO/Al2O3>1 の場合には一部のZn2+もSi4+を置換し電荷の補償にZn2+が間げき位置に入るSi4+ (IV)→←Zn2+(IV)+Zn2+(IV) の置換も起こっていると推察された. β-石英固溶体の格子定数を調べ, その組成をSiO2-Zn(IV)・Zn(IV)O2-Zn(VI)1/2・Al(IV)O2擬3成分系で表すとZnO/Al2O3>1の組成によるその格子定数変化がうまく説明された. 高温加熱によりZnO/Al2O3>1の組成の固溶体はZnO/Al2O3=1の組成のβ-石英固溶体とβ-Zn2SiO4固溶体とに分解し, 更にZnO/Al2O3=1の組成のβ-石英固溶体はガーナイトとクリストバライトに分解すると考えられた.
  • 北澤 宏一, 岸 証, 笛木 和雄
    1980 年 88 巻 1024 号 p. 741-746
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ソーダ石灰, 鉛, ホウケイ酸ガラスの表面粘性係数が正弦波形状減衰法により測定されることが示された. 表面粘性係数は測定ふん囲気中の水蒸気圧に敏感で, 水蒸気圧の上昇とともに低下する. バルクの粘性係数は測定ふん囲気に依存を示さないことから, ふん囲気中の水蒸気はガラス表面近傍 (数μm程度) にアニール温度近くで速やかに浸透することが分った. 表面粘性係数の逆数と水蒸気圧の1/2乗とがリニアーな関係にあることから, 水のガラス中への溶解が2分子解離によるものであり, 溶解した水が粘性係数の逆数すなわち流動性をその濃度に比例して増加させることが示唆された.
  • 池上 隆康, 松田 伸一, 守吉 佑介, 鈴木 弘茂
    1980 年 88 巻 1024 号 p. 746-753
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ち密化と同時に進行する粒成長や, 表面拡散による粒成長に関する速度式 (RdR=6γIΩD[1-1.4(1-ρ)]k12k2dt/kTW, R4-R04=KS't) を統計的に誘導した. これらの式を用いて, 焼結性の良い日本碍子社製CF-BeOやそれの悪い水酸化物由来BeOの粒成長のデータを解析した. それらの粉末の粒成長現象が異なる理由を粒子の幾何学的形状の差で説明した.
feedback
Top