ZnO-Al
2O
3-SiO
2系ガラスの再加熱によりβ-石英固溶体を主相とする透明性のある結晶化ガラスを得る目的で一連の研究を行っている. 本報告においては, ZnO-Al
2O
3-SiO
2系ではLi
2O-Al
2O
3-SiO
2, MgO-Al
2O
3-SiO
2系より広い組成範囲でβ-石英固溶体が析出することが分ったのでZnO/Al
2O
3>1 (モル比) の組成におけるβ-石英固溶体の析出範囲, 置換の様式及び加熱変化について検討した.
β-石英固溶体のみが析出する組成範囲は, 3.45≧ZnO/Al
2O
3≧1, SiO
2>46mol%, ZnO<38mol%であった. ZnO/Al
2O
3=1の場合はβ-石英構造において1/2 Zn
2+ (VI)+Al
3+(IV) がSi
4+ (IV) を置換すると考えちれるが, ZnO/Al
2O
3>1 の場合には一部のZn
2+もSi
4+を置換し電荷の補償にZn
2+が間げき位置に入るSi
4+ (IV)→←Zn
2+(IV)+Zn
2+(IV) の置換も起こっていると推察された. β-石英固溶体の格子定数を調べ, その組成をSiO
2-Zn(IV)・Zn(IV)O
2-Zn(VI)
1/2・Al(IV)O
2擬3成分系で表すとZnO/Al
2O
3>1の組成によるその格子定数変化がうまく説明された. 高温加熱によりZnO/Al
2O
3>1の組成の固溶体はZnO/Al
2O
3=1の組成のβ-石英固溶体とβ-Zn
2SiO
4固溶体とに分解し, 更にZnO/Al
2O
3=1の組成のβ-石英固溶体はガーナイトとクリストバライトに分解すると考えられた.
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