合成11Åトバモライトの主要X線回折線について半値幅が測定された. 半値幅測定値に対してK
α2重線分離による広がり及び機器よりくる広がりが補正された.
補正された半値幅に基づいて, まずWilliamsonらの式を用い結晶子の大きさと格子ひずみの分離が試みられた. その結果, 11Åトバモライトでは格子ひずみは無視できることが分った.
それゆえ, 002, 220, 400及び040反射の補正された半値幅から, Scherrerの式を用いて形状因子を0.9とおき, 結晶子の大きさ
D002,
D220,
D400及び
D040が算出された.
D002は, BET法比表面積から周縁効果を無視して計算された結晶の厚さに相当する値を示した.
結晶子の形態は
D220を直径とし
D002を厚さとする円板状であると仮定して, 結晶子1個の体積が計算された. この計算値と結晶化度間には良好な1次相関関係が認められた. 更にこの関係は, 結晶化過程を支配する主要因は結晶子の数の増加ではなく, 結晶子寸法の増大であることを示唆している.
11Åトバモライトの格子中でSiイオンがAlイオンに同形置換されると,
D040は小さくなった. これはイオン半径の小さいSiイオンが大きいAlイオンに置換されたために生じたdisorderのためと考えられる.
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