窯業協會誌
Online ISSN : 1884-2127
Print ISSN : 0009-0255
ISSN-L : 0009-0255
87 巻, 1007 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 原 尚道, 井上 憲弘, 松田 応作
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 333-340
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    合成11Åトバモライトの主要X線回折線について半値幅が測定された. 半値幅測定値に対してKα2重線分離による広がり及び機器よりくる広がりが補正された.
    補正された半値幅に基づいて, まずWilliamsonらの式を用い結晶子の大きさと格子ひずみの分離が試みられた. その結果, 11Åトバモライトでは格子ひずみは無視できることが分った.
    それゆえ, 002, 220, 400及び040反射の補正された半値幅から, Scherrerの式を用いて形状因子を0.9とおき, 結晶子の大きさD002, D220, D400及びD040が算出された.
    D002は, BET法比表面積から周縁効果を無視して計算された結晶の厚さに相当する値を示した.
    結晶子の形態はD220を直径としD002を厚さとする円板状であると仮定して, 結晶子1個の体積が計算された. この計算値と結晶化度間には良好な1次相関関係が認められた. 更にこの関係は, 結晶化過程を支配する主要因は結晶子の数の増加ではなく, 結晶子寸法の増大であることを示唆している.
    11Åトバモライトの格子中でSiイオンがAlイオンに同形置換されると, D040は小さくなった. これはイオン半径の小さいSiイオンが大きいAlイオンに置換されたために生じたdisorderのためと考えられる.
  • 小林 雅博, 藤沢 孝雄, 橋本 甲四郎, 四十宮 龍徳
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 340-343
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    種々の紡糸条件で作製したガラス繊維の水に対する溶出挙動を検討した. その結果, 試料作製時のガラス紡糸温度の低いもの及び紡糸速度の大きいものほど, Na2O, SiO2の溶出量は大であった. 特にSiO2溶出量は徐冷ガラスや再加熱処理ガラス繊維に比較して著しく大であった. これらの結果より種々の紡糸条件で作られたガラス繊維の表面構造の変化の内容について推定を試みた.
  • 伊藤 祐敏, 坂野 史朗, 鈴木 一孝, 稲垣 道夫
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 344-349
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    スタッフドトリジマイト型構造のアルカリ土類金属アルミネート (CaAl2O4, SrAl2O4及びBaAl2O4) 間の固溶は, AlO44面体の連結方式の相違に関係し, BaAl2O4型とCaAl2O4型の2種類の固溶体が各2成分系及び3成分系において生成した. これら固溶体の結晶構造は, AlO44面体から成る6員環状のチャンネル中に充てんしているアルカリ土類金属の平均イオン半径と密接な関係があり, CaAl2O4型は1.14-1.21Åの間で, BaAl2O4型は1.23-1.50Åの間で生成した. アルカリ土類金属の平均イオン半径1.37Å以下において, BaAl2O4型構造は, 低温では若干ひずんでα-SrAl2O4型構造となった.
  • 吉田 哲郎, 松本 和俊, 平島 碩
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 349-355
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CuO-V2O5-P2O5系ガラスの電気伝導に関して研究を行った. この系のガラス化領域で最も多量に遷移金属酸化物を含有するガラスの組成は, 0.25-0.4CuO・0.7-0.55V2O5・0.05P2O5であった. 4V2O5・P2O5にCuOを0-40mol%添加した組成のガラスでは, V2O5の減少にもかかわらずCuOの増加とともに導電率は増加し, CuOはV2O5と同様, 伝導に寄与することが推定された.
    この系のガラスに高電圧を印加したとき, 高抵抗から低抵抗に変化するスイッチングが観察された. この時, しきい値電圧Vthと極間抵抗Rの両対数は, 傾き2の直線関係にあり, またしきい値電界Eth(Vth/L) と極間距離Lの両対数は, 傾き-0.85の直線関係となった.
    また一定高電圧を印加して, スイッチングまでの電流の経時変化からジュール熱を求めると, 印加電圧が高いとき加えられたジュール熱はかえって少なくなることが分った. これらの事実よりスイッチングはジュール熱による温度上昇のみでなく, 高電圧印加による伝導電子の増加を要因として説明された.
  • 耐火物の熱衝撃による破壊現象の研究, 第3報
    熊谷 正人, 内村 良治, 川上 辰男
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 356-364
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    著者らは, 先にパネルスポーリング試験法を用い, 新しくAE法を導入して, 耐火物の熱衝撃破壊挙動や耐熱衝撃性に関する解明を進めてきた. 本報では, 直方体形状の耐火物を片面から急速に加熱した際, 耐火物に発生する熱応力を有限要素法によって計算するとともに, 先にAE法によって得た結果と対比して, 耐火物の損傷過程について検討した.
    その結果, (1) 3次元有限要素法プログラムを用いることによって, 実験とよく一致する結果が得られた. (2) 加熱過程では, 温度上昇とともに, 発生する熱応力は大きくなるが, 相対的な熱応力分布は変化しない. (3) 加熱時にき裂を発生させる熱応力としては, 耐火物の中心軸付近の加熱面に垂直な引張り応力のほかに, 幅, 厚さの方向の引張り応力等が考えられる. (4) 耐火物の幅及び厚さの方向の寸法が大きくなると, 発生する熱応力が大きくなるだけでなく, 最大引張り応力は加熱面からより深い位置に発生する. (5) 加熱方向に対して垂直な方向から拘束力が働く場合, 幅及び厚さ方向では拘束力を熱応力に単純に重ね合わせた結果が得られるが, 温度こう配の方向の応力成分は拘束力の影響をほとんど受けない.
  • 梅林 正気, 小林 和夫, 森光 穂積, 中村 光徳
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 365-371
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ケイ砂とアルミニウム粉末の成形体を炭素の存在する窒素ガス中で1500℃まで加熱し, 1400℃以上で著しい重量の減少を認めた. 加熱中の重量の変化及び生成相の変化を調べ以下の結果を得た. 窒素ガス中に存在する炭素は, 窒素中の酸素を一酸化炭素として固定し酸素分圧を下げるのに極めて有効であった. 1400℃以上で認められた重量の減少は, ムライト, O'相, X相等の一酸化炭素による還元, 及び窒化ケイ素とα-アルミナの反応によるSiO (g) の生成によることが分った. 1500℃における重量の減少速度は, 放物線則によく適合した. 具体的な律速段階は不明であるが, 成形体中のpore structureが重量の減少速度に影響をもつことが明らかとなった.
  • 猪股 吉三, 小野 晃, 長谷川 安利, 矢島 祥行
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 371-374
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Si-Al-O-N系に現れるムライト様化合物 (この系でしばしばX相と呼ばれる) の組成を次の実験により検討した.
    (1) 原料組成とこれを1700°-1820℃に加圧焼結して生成した化合物との対応.
    (2) X相の湿式化学分析及びE. P. M. A.による分析の結果.
    (3) X相 “単結晶” のX線回折データと上記分析結果との対比.
    これらの結果から, X相はL. J. Gaucklerらの提案した組成式, Si4Al4O11N2に極めて近い組成を有することが結論された. 1700℃付近において原子比Al/Siは1.0-1.8の範囲で変わり得るものと考えられたが, 原子比N/Oは比較的狭い範囲, 0.17-0.18に位置しているようである.
    占有率100%とした場合の代表的な組成としてSi6Al7O18N3を提案した,
  • 太田 敏孝, 山井 巌, 斎藤 肇
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 375-382
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水熱下, NaF溶液においてTiの酸化によりTi金属表面上に, 準安定のブルッカイト型のTiO2結晶が析出した. NaF以外の溶液では, アナターゼが析出した. これら準安定のTiO2変態は, 300℃以上の温度で, 反応時間の増加とともに徐々にルチル型TiO2へ転移した.
    生成したブルッカイトは, 青白色の5μm以下の微結晶で, このブルッカイト単一相の生成条件としては, NaF濃度0.5mol/kg以上, 温度200°-300℃, 反応時間1日以下が望ましいことが見いだされた.
  • 岸 証, 古牧 育男, 笛木 和雄, 北澤 宏一
    1979 年 87 巻 1007 号 p. 382-386
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラス表面での物質輸送の機構と速度について知るため, 鉛ガラス及びホウケイ酸ガラスに正弦波形減衰法を適用し, 表面の微細平行溝の高温におけるアニール平滑化過程を考察した. 表面平行溝はアニールにより断面形状が正弦波状となり, その振幅は時間とともに指数関数的に減衰した. 減衰速度は正弦波波長に反比例し, 物質輸送は粘性流動によることが示された. 乾燥窒素ふん囲気中で求められた粘性係数はいずれも, 同一のガラスに対して通常のファイバー延伸法により空気中で測定された値よりも数倍程度大きかった. 本法では物質の輸送が10-4cmのオーダーの表面層に限られるため, このような粘性係数の差は表面とバルクとの差であると考えられる. またその原因は水蒸気による表面粘性の低下, 及び表面付近でのガラス組成の変化とによると考察した.
  • 1979 年 87 巻 1007 号 p. A43-A50
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top