高温相安定化剤等を含まない純粋なC
2Sのβ→γ転移の詳細を明らかにするために, 純薬合成したγ-C
2Sを800°-1500℃で10分間-48時間加熱処理し, 急冷した試料中のβ相とγ相の生成比を求めた. 更に顕微鏡観察を行い, 考察した結果, 以下のような知見を得た.
(1) β-C
2S/γ-C
2S比は加熱温度, 加熱時間により複雑に変化する.
(2) γ-C
2Sを1000℃以下で加熱処理後, 急冷するとβ-C
2Sの生成量は処理時間とともに増加し, 加熱時のγ→α'; 転移によるα'生成量に依存していることが分った.
(3) 1000°-1400℃に加熱処理した場合にはγ-C
2Sの生成量はβ→γ転移の際のβ-C
2Sの粒径に依存し, まず焼成温度, 焼成時間が増すにつれてβ-C
2Sの生成量が減少し, 更に高温かつ長時間になると再びβ-C
2Sの生成量が増える.
γ相の核生成と生成した核がβ相中を結晶成長することによりβ→γ転移が起こり, γ相の核はβ-C
2S粒子の表面にのみ生成すると考えられる. 粒径が数μmのときにγ-C
2S生成量は最大となる.
(4) 1500℃熱処理した場合には, α'変態安定温度で処理した場合とは異なり, 焼成時間, 粒径にかかわらずγ-C
2Sの生成量は少ない.
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