窯業協會誌
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86 巻, 1000 号
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  • 稲田 博
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 571-580
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    陶磁器素地と釉が適合しない時は貫入又ははく裂を生じる. 両者の適合性評価の方法として, Stegerの片面施釉試片のわい曲を測定する法, 加熱試験片を急冷する法, 釉と素地の熱膨張係数を比較する法, 釉の複屈折より応力を求める法等について, その信頼性, 適用限界について論じ, 評価法としては複屈折による釉応力測定が最も優れており, X線回折による結晶量測定, 膨張曲線の解釈が有力な補助データとなり得ることを明らかにした.
    温度による釉応力変化曲線の解釈から, 釉が素地との間に応力を発生し始めるのは, 従来の定説である転移温度ではなく, 異常膨張の頂点 (interferometer softening point) 近辺にあることを明らかにし, これが適合性評価にどのような関係にあるかについて論じ, 更に釉と素地の反応が両者の適合性にどのように影響するかについても論じた.
    吸水性をもつ半磁器類の水和による経年貫入に関して, その促進テストの妥当性について論じ, 迅速かつ有用なデータの得られる新しい定量的評価法を提案した. 更に陶磁器の製造条件が釉と素地の適合性に及ぼす影響について, その考え方, 研究方法について論じた.
  • 機械的及び光学的性質の改良
    坂田 浩伸
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 581-589
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    主として強度と光学的透過性能の改良の見地から, 過去15年以上にわたるガラス表面処理技術と研究の進展を概観した. ガラスの強度増大は実際に物理強化あるいは化学強化 (イオン交換強化) により実現をみている. フッ酸処理は表面にあらかじめ存在する微小クラックを除去してガラスをそれらによる以上に高強度化するが, 環境変化に対する耐久性を低める. 最近はr.f. スパッターエッチングあるいは反応性のガスプラズマエッチングが注目されている. 高強度ガラスへの保護膜コーティングはガラスの強度を低下させるが, 加傷による一層の強度低下を防ぐ意味では有効である. 表面処理ガラスの強度及び疲労特性を評価するためには, 現在もなお有効である破壊力学による解析の一層の適用が望まれる.
    光学的透過及び反射性能はガラスへの金属膜, 誘電体膜のコーティング, 誘電体膜あるいはガラス表面への金属コロイドの分散により容易に改変することができる. これらの膜のコート方法としてはPVD, CVD, CLD, スプレー法, ある場合には無電解めっき法が適用できる. 今後については膜材料設計及び特にコロイド分散系に適用できる光学設計理論の一層の進展が期待される.
  • 門間 英毅, 上野 精一, 堤 正幸, 金 孝文
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 590-597
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α-Ca3(PO4)2 粉末-H2O系分散液を種々のpHに調製し, これをそのままあるいは反応中のpHを一定保持しながら, 80℃で主に2時間の加温処理を行った. 得られた固相分の結晶相とpH条件との関係を明らかにし, 更にアパタイト生成物に関しては, 反応pH条件とCa/P比, 構成イオン種, 加熱変化及び粒子形態などとの関連を検討した.
    反応中のpHを一定に保持してもしなくても, pHが約4.6以上であればアパタイト単一相になり, これ以下pH 4.3までは短冊状結晶のアパタイトとオクタカルシウムホスフェートとの混合相になり, pH 4.2-3.0では角板状のCaHPO4を主体としていた. アパタイト単一相の場合の結晶は, 保持pH値を変えることによって板状あるいは花片状及び柱状のおのおのの形態に成長した. pHを一定保持しない場合にはすべて花片状であった. 反応中のpHが高いほど, アパタイトへの転化は遅くなるけれども, アパタイトのCa/P比は増大しやすくなった. 高Ca/P比のアパタイトになるほど, 含水量やHPO42-含量の減少と, OH-含量及び結晶性の増大が認められた. アパタイトの含水状態, 含有HPO42-の脱水縮合温度はオクタカルシウムホスフェートのそれらと類似していた。
  • 井関 孝善, 森 政次, 鈴木 弘茂
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 597-605
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    2種類の窒化ケイ素ホットプレス焼結体SN-3及びHP(N) について, ビッカース硬度計により圧こんを付し, き裂を導入した試験片及びき裂を入れない試験片の破壊挙動を調べた. 室温から1400℃の温度範囲で, 主として真空中で3点曲げ試験を行った. き裂入り試験片を真空中で1時間焼鈍すると, その室温強度は焼鈍温度とともに増加した. これは, 残留応力め緩和及び材料の蒸発・凝縮の効果によるものと思われる. 高温で試験すると, 両材料ともその強度は低下した. 強度低下の始まる温度は, slow crack growthの認められる温度にほぼ一致し, SN-3では約1000℃, HP(N) では約1200℃やあり, この温度の違いは, 両焼結体における添加剤の違いによるものであると思われる. き裂入り試験片の破壊応力及び破面上に観察されるき裂の形状及び大きさから, 臨界応力拡大係数KICを計算した. SN-3の室温でのKICは450kg/cm3/2 HP(N) の室温でのKICは575kg/cm3/2であった. 高温では, slow crack growthにより拡大したき裂の大きさを用いて計算すると見掛け上KICは増加した.
  • 長谷 貞三, 鈴木 弘茂
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 606-611
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    カーボンブラックとSi, SiOあるいはSiO2の反応から調製された微粉状β-SiCの常圧焼結性を調査した. 焼結助剤としてホウ素と炭素を1wt%ずつ加えたこれらの圧粉体の等速昇温収縮率の測定, 焼結体における多形の同定及び微構造の観察から次のことが分った.
    Siから調製された粉末の到達密度は低く, SiO2からの粉末は-95%TDに達するが, 焼結体の組織は100μm以上の粗粒から成り, α-SiCをかなり含んでいた. これらに対比して, SiOからの粉末は-96%TDに達し, 10μm位の細粒から成る組織で, α-SiCの含量は数%であった.
    フッ酸と硝酸の混合酸で処理された粉末は, ケイ素原料の相違に関係なく, 圧粉体密度が-40%TDとなり, また収縮開始温度が1300°-1400℃と未処理粉末より200°-300℃低下した.
  • 市古 忠利
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 612-617
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    骨リンを使用したボーンチャイナの焼成過程におけるMgO成分の添加の影響について考察した.
    骨リン, 石灰石, 粘土, 長石, ケイ石から構成される素地を基本素地にして, セリサイト粘土とタルク, 石灰石とマグネサイトの置換を行った素地について熱膨張収縮曲線を検討し, 焼成素地についてX線回折法と偏光顕微鏡, 走査型電子顕微鏡でその微構造を検討した. また, かさ比重, 弾性率, 抗折強度を測定し, 更に電気的特性を測定し, イオン置換の効果を検討した.
    MgO成分はSiO2成分とともにピロリン酸カルシウムのP-O-P結合を切り, オルトリン酸塩化し, Ca3(PO4)2を形成した. 更にMgO成分は (Mg-SiOx) 部を成し (Ca-PO4) 部をガラス化し, 更に自身もガラス化し, 素地のマトリックスガラスを形成した. またMgO成分を素地構成成分のK2O成分と一部置換することにより素地の機械的強度は増加した. これはこの置換によりガラスのイオン充てん度が大となり, イオン結合度が増大し, マトリックスガラスが強化されることによると推論した.
  • 宮崎 憲治, 萩尾 剛, 小林 和夫
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 618-625
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    炭化ホウ素を0-50wt%の範囲で添加した仮焼ピッチコークス粉末を200kg/cm2の加圧下で1800°-2200℃の温度で焼成を行い, 炭化ホウ素の添加量及び加圧焼成温度が得られる焼成体の物性に与える影響を検討した.
    その結果, 加圧焼成温度が2000℃以上において, 炭化ホウ素の添加量が焼成体のち密化及びコークスの黒鉛化に著しい影響を与えることが明らかとなった.
    特に著しい影響が認められた2200℃焼成の場合, 焼成体の密度及び機械的強度は炭化ホウ素の添加量の増加とともに増加し, 炭化ホウ素の添加量が約30wt%の時, 相対密度約96%, 曲げ強度約1500kg/cm2の値を示した. また, コークスの黒鉛化の進行及び焼成体の電気比抵抗値の低下は炭化ホウ素の添加量の増加とともに急激に進み, 添加量が5-10wt%の時, 最低のd(002) 値 (3.358Å) 及び電気比抵抗値 (1×10-3ohm・cm) を示した. 更に添加量が増加すると, 再び, d(002) 値及び電気比抵抗値の増加する傾向が認められた.
    焼成体のち密化やコークスの黒鉛化は, 添加した炭化ホウ素中のホウ素の一部がコークス中に固溶したことにより促進されたと推定された.
  • 加藤 悦朗, 大門 啓志, 小林 雄一
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 626-631
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    チタン酸アルミニウムの分解動力学の予備的研究として, 分解速度に影響する諸因子が種々の反応焼結試料や焼鈍, 粉砕あるいは粉砕後の焼鈍などの処理試料を用いて検討された.
    粉末試料の等温分解曲線は焼結体の場合と同様S字型となる. 粉末の分解速度は粉砕時間の増加とともに増大したが, 1310℃での焼鈍により細かいものほど分解が遅くなった. 焼結体試料の分解速度は成形圧の低いほど, 焼成時間の長いほど, また特に焼鈍によって低下した. これらの事実は分解が核生成・成長律速によるものであること及び焼結体試料の核生成は粒界で起こり, ち密化により増大し, 粒成長により減少することを意味する.
    焼結体試料の分解のアブラミプロットは速やかに分解する試料の初期の (n=2) 及び焼鈍試料の (n=4) を除き (n=3) を与えた. ここでnはAvramiの指数である. 非等方性の熱膨張により生ずる粒界の圧縮応力が核生成速度を顕著に増大させ核生成の“site saturation”が起こること, したがって (n=2) 及び (n=3) はそれぞれsite saturationでのedge nucleation及び3次元成長に相当し, (n=4) は低い一定核生成速度での3次元成長に相当することが推定された.
  • 菱田 俊一, 高田 雅介, 柳田 博明
    1978 年 86 巻 1000 号 p. 631-632
    発行日: 1978/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 1000 号 p. 632
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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