窯業協會誌
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92 巻, 1070 号
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  • 粒成長の役割
    Andreas M. GLAESER
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 537-546
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    この総説は, 微構造の発達に及ぼす粒成長の影響を述べたものである. すなわち, 粒界と, 液相, 溶質及びポアーとの間の相互作用によって粒成長の挙動が制御される三つの場合についで考察し, そのおのおのに対すて粒成長の速度則を導いた. 次にこれらの議論をもとにして, 異常粒成長が起こる条件を提示し, これらの条件が出発原料物体の物理的及び化学的性質とどのようにかかわっているかを明らかにした。
  • 北條 純一, 横山 秀久, 大野 良一, 加藤 昭夫
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 547-553
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    気相法アルミナ粉末 (I: 平均粒径0.03μm, γ相とδ相の混合相, II: 平均粒径0.16μm, δ相とι相の混合相) の焼結性をアルゴン中, 1100°-1600℃で調べた. 試料Iでは, 塩の固相熱分解によるアルミナ粉末の場合と同様に, 仮焼温度1300℃でα化が起こるとともに, 粒径は0.14μmまで増加するが, 焼結性は著しく向上した. これは圧粉体密度の増加のためである. この焼結体の密度は1500℃焼結で96%であった. 一方, 試料IIは仮焼温度1300℃では相転移が遅く, 焼結性は試料Iに比べて低い. これは粒径が大きいうえに, 圧粉体密度が低いためと考えられる. 金型プレス成形体をラバープレスして圧粉体密度を増すことにより焼結体密度が増加し, ち密化に対する圧粉体密度の著しい効果を確めた. ラバープレスは粒成長の抑制にも有効であった. これは粒子充てんが均一になるためと考えられる. 更に, 均一な微細構造を得るために, 加熱スケジュールの制御も重要であることを認めた.
  • 露木 尚光, 廣田 紀昭, 宮川 継男, 笠井 順一
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 554-561
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CaSO4・2H2O及びCa(OH)2が共存した場合の3CaO・Al2O3の水和は著しく遅延する. この過遅延の原因を明らかにするため, CaSO4・2H2O, Ca(OH)2のサスペンション中に3CaO・Al2O3を分散させたときの液相濃度, 同時に固相水和物の経時変化等から検討した. その結果,
    (1) CaSO4・2H2O, Ca(OH)2の混合量にかかわらず, 液相濃度は常に1.80g CaO/l, 1.02g SO3/lを示し, Al(OH)4-の溶出は極めて少ない.
    (2) この液相濃度を持続する時間 (高濃度持続時間) は混合するCaSO4・2H2O, Ca(OH)2の量によって変動する.
    (3) 高濃度持続時間終了後, 共沈体が急激に生成し, 7.6-9.6Å相の3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2O-4CaO・Al2O3xH2O系固溶体が肉厚の板状となって固相表面を覆う.
    以上のことから, 混合するCaSO4・2H2O, Ca(OH)2の役割を次のように考察した.
    (A) 液相中のCa2+, SO42-を高濃度に持続させるに要するCaSO4・2H2O, Ca(OH)2.
    (B) 上記 (A) に寄与しない残りのCaSO4・2H2O, Ca(OH)2.
    水和直後, (B) に相当するCaSO4・2H2O, Ca(OH)2が3CaO・Al2O3と瞬間的に反応して極めて結晶性の悪いAFt, AFm相を形成し, 未水和粒子表面を覆う. 過遅延の本質的な原因は, 造膜形成後, (A) に相当するCaSO4・2H2O, Ca(OH)2が3CaO・Al2O3の周りを高濃度溶液で包むため, Ca2+, Al(OH)4-の溶出は困難になり, 水和は見掛け上停止するためである.
  • 黒光 祥郎, 森永 健次, 柳ヶ瀬 勉
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 562-567
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    代表的な網目形成酸化物を含まないBaO(40mol%)-Fe2O3, SrO(40mol%)-Fe2O3の2成分ガラスをスプラットクウェンチング法により作製し, その結晶化過程における析出相, 析出粒子径と保磁力の関係を検討した. これらのガラスを結晶化すると, 反強磁性化合物BaO・Fe2O3, SrO・Fe2O3をマトリックスとして, フェリ磁性化合物BaO・6Fe2O3, SrO・6Fe2O3の結晶粒子が析出した. これらの析出相を含む結晶化ガラスの保磁力はBaO・6Fe2O3, SrO・6Fe2O3結晶粒の大きさに依存した. すなわちこれらの結晶粒がBaO系で800Åまでは, またSrO系で300Åまでは単磁区構造をもつフェリ磁性化合物の結晶粒子の成長がみられ, 保磁力は増加する傾向を示し, BaO系ではBaO・6Fe2O3の粒径が800Åのとき5.6kOe, SrO系ではSrO・6Fe2O3の粒子径が300Åのとき5.9kOeの高い保磁力を示した. これ以上粒径が大きくなると多磁区構造あるいは逆磁区の形成により保磁力は減少した.
  • 横倉 修一
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 568-574
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    リターナブル (回収, 再使用可能) のガラスびん外表面に急冷による熱衝撃を与え, びん円筒部に発生する温度分布並びに熱応力分布を解析し, この非定常熱応力によるびんの熱衝撃破壊について, 応力拡大係数 (KI) に基づく線形破壊力学的な検討を行った. その結果以下のような知見が得られた.
    軸方向に沿って連続的なクラックが外表面に一様の深さで発生しているガラス円筒を想定し, 円筒外表面を急冷することによる破壊現象を線形破壊力学的に検討し, 得られた理論式を用いて, 実際にガラスびんについて, 外表面に発生している半楕円状クラックの深さ (実測値) とびんの耐熱衝撃強度の関係を定量的に把握することを可能とした.
  • 川本 貴道, 菊地 理一, 佐藤 守, 柳澤 日出男, 川西 政治
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 575-578
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Li2B4O7ガラスセラミックスにCu+イオン, またLiF単結晶にAg+イオンを注入した熱刺激エキソ電子放射と熱ルミネッセンスが線量計として利用できるかどうかを知る目的で検討し, 次の結果を得た.
    イオン注入したLi2B4O7ガラスセラミックスとLiF単結晶の熱刺激エキソ電子放射, 熱ルミネッセンスのグロー曲線そしてTSLスペクトルは照射した放射線の線種に依存性がある. すなわち, Cu+イオンとAg+イオンを注入した試料の熱刺激エキソ電子放射, 熱ルミネッセンスの情報から混成放射線場で放射線の線種を別々に線量測定できることが分った.
  • 赤色ウルトラマリンの合成過程 (第3報)
    石田 信伍, 藤村 義和, 藤吉 加一, 佐藤 幸弘, 若松 盈
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 579-585
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    青色のウルトラマリンを赤みを帯びたものに変換する際に起こる化学反応を主としてESRと電子分光法で調べた. 化学分析及びESRスペクトルの解析から, ウルトラマリン格子中の青色発色団であるS3-はH+イオンと接触してSHと中性硫黄に分解し, このSHは硫黄酸化物と反応して中性硫黄を生成することが分った. 赤みを帯びたウルトラマリン中の赤色発色団であるS4はこれら中性硫黄より生じたものと推定した. あらかじめ, NH4Clとの加熱により酸性化されたウルトラマリン・ブルーをNO2で酸化した場合, S3-濃度の減少とS3濃度の増大が電子分光法で認められた. 反対に, 赤みを帯びたウルトラマリンを塩基性溶液中で約100℃で加熱したとき, S3とS4の減少及びS3-の増加が認められた. 赤みを帯びたウルトラマリンを400℃で加熱脱気したら退色が起こった. これらの事実はS4がアルカリ性雰囲気下でも高温でも不安定であることを示す. 最後に, 赤みを帯びたウルトラマリンの製造工程の意味を上述の知見を基にして説明した.
  • 吉田 直次郎, 林 雄治, 福永 二郎, 井原 将昌
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 586-591
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    紅柱石はロウ石鉱床中に絹雲母とともに含まれることが多い. このような部分も良質の耐火原料として使用されている. この鉱物の高温での反応を調べる目的で定方位に切断研磨した紅柱石に絹雲母粉末をはさみ, 加圧成形したものを試料として研究を行った.
    その結果, 紅柱石の熱分解には結晶軸の方向と, 絹雲母中のKが大きく関係する. 紅柱石のc軸方向にはKが早く拡散し, 同時にこの部分がムライトに分解され, 拡散速度と分解速度がほぼ一致している. しかし, 側軸方向の反応速度は非常に遅く, c軸方向の1/5程度である. Kの拡散速度から求めた活性化エネルギー191kcal/molであるが, この値には紅柱石からムライトへの構造変化及び遊離したSiO2のガラス化のエネルギーをも含んでいる。
  • 池田 攻
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 592-599
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    フライアッシュの有効利用をはかるため, アウイン-ベリット系セメントの焼成を試みた. 初期強度を増大するためには原料中のアルミナ分が多いことが望ましいが, 使用したフライアッシュはこの点で特に優れた原料ではない. しかし, セッコウ及び石灰と混合して1300℃前後の温度で焼成した結果, W/C 0.40で圧縮強度, 1日材令-10MPa, 28日材令-20MPaのペースト硬化体を得た. ベリットは一般にβ相とα'相の両方が形成される. 鏡下で観察するとベリット結晶は一般に大きめで無色透明であり, 純相より屈折率がやや低い. アウインは一般に小さく無色透明であるが, やや高い屈折率を示した. 結果として, フライアッシュ中に残存する未燃焼カーボンが焼成中にセッコウを還元し, 理論量以上のセッコウを多量に必要とした.
  • 管野 善則, 今井 久雄
    1984 年 92 巻 1070 号 p. 600-603
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    非晶質 (Am)-, α-, β-Si3N4を用い, 蒸留精製メタノールを媒液とした湿式粉砕により粉体の活性化処理を行った. ガスクロマトグラフィーを利用したTemperature-Programmed Desorption (昇温脱離) 法により, アンモニアを吸着分子として処理された粉体の表面活性を測定した. Am-Si3N4においては, ピーク頂出現位置温度Tpに相当するポテンシャルエネルギーをもつ活性点の濃度が粉砕処理により著しく増加した. α-及びβ-Si3N4においても新しい活性点の出現が認められた. これらの活性点の濃度は粉砕処理時間が長くなるにつれて増加した. TPDによるセラミックス原料粉体の表面活性測定法が提案された.
  • 1984 年 92 巻 1070 号 p. 603a
    発行日: 1984年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 92 巻 1070 号 p. 603b
    発行日: 1984年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 92 巻 1070 号 p. A52-A55
    発行日: 1984/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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