超硬合金が始めて市場に出た1926年から約10年おくれて, 1938年にセラミックスが切削工具として試用された. 当時はドイツで非鉄金属を切削しただけにとどまったが, その頃からセラミックスを切削工具として実用に供しようとする気運がたかまり, 1950年代に入ってソ連, イギリス, ドイツ, などで本格的にセラミック切削工具による金属切削を対象とした研究が進められた.
わが国においても1958年5月東京国際見本市で, 国産品が欧米各国のセラミック切削工具のもつ切削性能を凌駕する品種を発表した. 最近ではわが国で4社, 欧州で約20社, 米国で約10社がセラミック切削工具の製造に着手している.
切削工具として使われるセラミックスはアルミナ系セラミックスで切削の分野では, それが化学的に高温で, 安定していて, 耐磨耗性が優れていることに着目された. 一方アルミナ系セラミックスは化学工業などで耐薬品性と耐磨耗性の両者を必要とする部分に, バルブ, ノズル, ダイスそして型などの耐磨耗工具として広く用いられているが, アルミナ系セラミックスは耐磨耗工具としては, まだ切削工具程広く使用されていないので, ここでは特に切削工具としてのセラミックスを照介する.
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