Co
2SiO
4-Mg
2SiO
4-Zn
2SiO
4系固溶体の生成と色調及び陶磁器用顔料としての適用性を検討した. 試料は, 酸化コバルト, 酸化亜鉛, 二酸化ケイ素, 塩基性炭酸マグネシウムを所定のモル比に配合し, 1300℃で3時間焼成して得た. (Co, Mg, Zn)
2SiO
4系のオリビン型及びフェナサイト型固溶体の生成領域をX線分析により検討し, 各生成領域内で, 格子定数を測定した. 結果を要約すると次のとおりである. 1) Zn
2SiO
4は, Co
2SiO
4及びMg
2SiO
4に約15mol%まで固溶し, また, Zn
2SiO
4には, Co
2SiO
4が約45mol%, Mg
2SiO
4が約35mol%まで固溶した. 2) オリビン型固溶体のCo
2+→←Mg
2+の置換では, Co
2+とMg
2+のM1, M2サイトに対する選択性の違いにより, 格子定数がVegard則から偏倚した. 3) 色調は, オリビン型固溶体では6配位Co
2+による紫, フェナサイト型固溶体では4配位Co
2+による青の呈色をした. 4) (Co, Mg, Zn)
2SiO
4系のフェナサイト型固溶体は, 亜鉛マット釉中で安定であり, いわゆるコバルトブルーの呈色がみられた. 5) 両系固溶体を, 石灰釉, 石灰亜鉛釉で色釉試験をした結果, コバルトがCo
2+の状態に保持されており, 鮮かな濃紺の呈色がみられた.
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