窯業協會誌
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90 巻, 1044 号
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  • 平島 碩, 三橋 実, 吉田 哲郎
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 411-419
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    標題の系のガラス化範囲を求めた. この系のガラスの導電率の組成及び温度依存性を100℃からガラス転移点 (Tg) の10°-20℃下の温度までの範囲で測定した. また密度, 熱膨張率, Tg, 遷移金属イオンの還元イオン分率を測定した. 電気伝導機構をMottによるスモール・ポーラロン・ホッピング理論によって検討した. これらのガラスには断熱近似 (トンネル係数αを零とする) が, 光学フォノン振動数 (ν0) の値1けた以内程度の誤差で, ほぼ適用できた. しかし他の実験結果と矛盾しないようなα及びν0の値は得られなかった. 導電率の組成依存性を決定する因子としては活性化エネルギーが支配的であった.
    約10mol%以下のFe2O3を含有するガラスの導電率及び活性化エネルギーはV2O5-P2O5系ガラスと同様にV2O5濃度に主として依存する. これらのガラスのメスバウアー・スペクトル測定によればFe2+は検出されなかった. Feイオン対の電気伝導への寄与はVイオン対に比較して極めて小さいと考えられる.
    約20mol%以上のFe2O3を含有するガラスの導電率はV2O5-P2O5系ガラスより高かった. Fe2O3の添加, あるいは20mol%以上のFe2O3によるV2O5またはP2O5の置換によって導電率は増加し, 活性化エネルギーは低下した. FeイオンはVイオンとともに電気伝導に寄与すると考えられる. これらのガラスについて測定された導電率は, Vイオン対及びFeイオン対がそれぞれ独立した伝導経路を構成すると仮定して, 断熱近似式によって計算された値よりはるかに大きかった. FeイオンとVイオンの間にホッピング伝導が起こる可能性が示された.
  • 菅井 幹夫, 宗宮 重行
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 420-426
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ジルコンにSiO2-TiO2-Al2O3系の添加剤を0-30wt%添加して1600℃で加熱し, 生成される液相がジルコンの焼結に及ぼす影響について検討した. 用いた添加剤の組成はSiO2-TiO2系共融点組成 (SiO2 89.5wt%, TiO2 10.5wt%) 及びこの共融点組成に対してAl2O3 5, 10, 15wt%を含む4種類である.
    ジルコンの焼結は添加剤から生成された液相によって促進されるとともに, 生成した液相が焼結体中のジルコン粒子の間げきを埋めて, ち密性を高めた. しかし, 液相生成量が多過ぎる場合には, 液相がジルコン粒子同士の結合を妨げ, かつ焼結体の内部に多くの閉塞気孔を残した. したがって, 添加量としては10-20wt%が適量であった.
    一方, Al2O3量が多い添加剤ほど軟化融解速度が速く, しかも生成した液相の粘度は小さかった. このため焼結体中の開放気孔が減少し, 閉塞気孔が増加したが, 全体として開放気孔の減少が大きく, ち密化が促進された.
    また, Al2O3量が少ない添加剤をあらかじめガラス化処理した場合には液相生成速度が促進され, 開放気孔が著しく減少して, Al2O3 5wt%を含む添加剤では添加量が20wt%のとき, 相対密度が88%まで増加し, ち密化が進行した.
  • 松尾 哲夫, 豊浦 茂
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 427-432
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    先の研究では焼き入れ軸受鋼, ステライト, フェライトなど各種金属及び非金属硬質円板材を用い各種研磨材のピン/円板型単粒摩耗実験を行った. 本研究では硬質円板材として新たに超硬合金, 焼結アルミナ, 焼結マグネシアなどを選び同様の摩耗実験を実施した. 特にダイヤモンド及びCBN研磨材に重点を置き比較のためA, C系研磨材についても試験した. 試験研磨材は粒度#12とし, 荷重は4.5Nまたは2.5N, 摩擦速度は通常300-1200m/minであった. また摩擦距離は通常4000mであった.
    以上の実験により各研磨材の摩耗量, 除去量, 摩擦係数が比較され. また研磨材摩耗面が走査型電子顕微鏡により観察された. その結果, 研磨材耐摩耗性の序列は試験したすべての円板材において変わらず, D研磨材が予想どおり際立って低い摩耗率を示し, CBN研磨材がこれに次ぎ, 反対にC系研磨材は最も高い摩耗率を示した. 超硬合金, 焼結アルミナ, 焼結炭化ケイ素板を使用した場合研磨材の摩耗面に多数のき裂が観察された.
  • 大塚 淳, 志沢 三明
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 432-440
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Co2SiO4-Mg2SiO4-Zn2SiO4系固溶体の生成と色調及び陶磁器用顔料としての適用性を検討した. 試料は, 酸化コバルト, 酸化亜鉛, 二酸化ケイ素, 塩基性炭酸マグネシウムを所定のモル比に配合し, 1300℃で3時間焼成して得た. (Co, Mg, Zn)2SiO4系のオリビン型及びフェナサイト型固溶体の生成領域をX線分析により検討し, 各生成領域内で, 格子定数を測定した. 結果を要約すると次のとおりである. 1) Zn2SiO4は, Co2SiO4及びMg2SiO4に約15mol%まで固溶し, また, Zn2SiO4には, Co2SiO4が約45mol%, Mg2SiO4が約35mol%まで固溶した. 2) オリビン型固溶体のCo2+→←Mg2+の置換では, Co2+とMg2+のM1, M2サイトに対する選択性の違いにより, 格子定数がVegard則から偏倚した. 3) 色調は, オリビン型固溶体では6配位Co2+による紫, フェナサイト型固溶体では4配位Co2+による青の呈色をした. 4) (Co, Mg, Zn)2SiO4系のフェナサイト型固溶体は, 亜鉛マット釉中で安定であり, いわゆるコバルトブルーの呈色がみられた. 5) 両系固溶体を, 石灰釉, 石灰亜鉛釉で色釉試験をした結果, コバルトがCo2+の状態に保持されており, 鮮かな濃紺の呈色がみられた.
  • 今岡 稔, 鈴木 傑
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 440-447
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiO2-Na2O, B2O3-Na2O系ガラスについて圧縮法により, 一定荷重下でのクリープを測定した. 最終コンプライアンス (J) は, 粘性 (η) に対しプロットしてみると, 両系ともピークを持つ変化を示し, しかも, Na2O成分の多いものほどピークが低粘性側へ移行する傾向を示した. しかし, 両系とも既報の諸系と同様 (3) 式, つまり, J=(1-k2・ηG/η)(f1[k1/η]+f2[nk1/η]) で近似することができた. したがって, 遅れ弾性のJをηの関数で表すこと, また, その際の実験式として (3) 式が十分一般性を持つことが確かめられた. ここで, k1, k2, f1, f2, nはパラメーター, ηGは遅れ弾性による変形の際の粘性抵抗係数を表わすものとし, [] は括弧内の値が1を越えた場合はすべて1とみなすと規定する.
  • 佐々 正, 古賀 新, 栗田 学
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 447-458
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    常圧焼結及び反応焼結による炭化ケイ素及び窒化ケイ素 (S-SC, S-SN, RB-SC, RB-SN) を候補材料に選び, 高効率ガスタービン燃焼筒としてのモデル条件を想定して, 温度及び熱応力を有限要素法により計算し, ワイブル分布関数を用いて破壊確率の計算を行った. これらの数値は, 材料の種類, 火炎温度, 及び燃焼筒壁厚さに依存する. 内壁表面温度及び内外壁面間の温度差は, S-SC及びRB-SCの場合に最も低く, RB-SNの場合に最も高くなる. 熱応力は, RB-SNの場合に最も低く, 他の材料については, 火炎温度1600℃以下では熱応力値はほぼ同等であるが, 火炎温度の上昇とともにS-SNの場合の値が大きくなる. 熱応力による破壊確率については, 火炎温度の低い領域では, RB-SN<RB-SC≅S-SC≧S-SNの順であるが, 火炎温度が高い領域では, S-SN及びRB-SCの場合の破壊確率が急激に上昇し, S-SN<RB-SC<RB-SN<S-SCの順となる. 材料強度のワイブル係数mは破壊確率に対して極めて大きな影響を及ぼし, 少なくともmを10以上に保つ必要がある.
  • 田中 義則, 福永 二郎, 瀬戸口 正宏, 東 常行, 井原 将昌
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 458-463
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3K2O・Al2O3・8B2O3組成の融液を徐冷してK3AlB8O15化合物の単結晶を作製し, その構造をX線回折法で解析した. この化合物は失透鉱物中に新しく発見されたものである. 単位格子パラメーターは, a=10.107±0.005Å, b=11.485±0.005Å, c=12.760±0.005Å及びβ=91.54±0.02°である. do, dcはそれぞれ2.10及び2.11g/cm3である. 空間群をC52h-P21/cとして, 四軸型回折計で測定した回折強度を用い, MULTAN 78による直接位相決定と対角近似最小二乗法によりR=0.051の構造を得た. この結晶中では, 5ホウ酸塩群, 3ホウ酸塩群及び独立のAlO4群が結合してできた2次元的無限網目が上下2枚B-O-Al架橋で結合して複層を作っている. この複層はa軸にほとんど垂直に広がっている. β-Na2O・3B2O3結晶中の独立のBO4 4面体を全部AlO4 4面体で置換すると, 本結晶の複層と同等の網目になる. また本結晶のK原子は前者のNa原子と同等の位置を占めており, 両結晶は非常によく似た構造である. アルカリホウ酸塩ガラスにAl2O3を加えるときも, この結晶の場合と同じように, Al原子が4配位の位置を占めることが知られている.
  • 木下 真喜雄, 板谷 清司
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 463-469
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化マグネシウムに二リン酸カルシウム (γ型) を0.1-3.0mol%添加したときの焼結について, 昇温 (昇温速度10℃・min-1, 室温-1400℃) 及び定温法 (1400℃, 5h) によって検討した. 昇温法では熱膨張計で収縮率を測定し, 定温法では焼成体のかさ密度を求めた. また両法で得られた焼成体の微細構造を調べた.
    昇温法による焼結結果は定温法の結果とほぼ一致した. 昇温における収縮挙動はγ-Ca2P2O7の添加量によりかなり異なっていた. すなわち, 0.1mol%添加ではMgO単味とほぼ同様な傾向を示したが, 0.5mol%以上の添加はMgOの収縮を抑制し, 特に1.0mol%の添加での抑制効果が大であった. 定温におけるかさ密度の変化も上記の結果とほぼ対応し, 1.0mol%の添加がMgOのち密化を最も抑制した. しかしながら, MgOへのγ-Ca2P2O7の添加は1200℃以上の温度域でペリクレースの粒成長を抑制した.
    以上, γ-Ca2P2O7を添加したときのMgOの焼結結果は, MgOとγ-Ca2P2O7との反応生成物Ca3Mg3(PO4)4, Mg3(PO4)2, 及びβ-Ca3(PO4)2の生成量に影響される. 特にこれら生成物に基づく液相の生成 (約1200℃) によってMgOの粒成長が抑制されることが分った.
  • 桑原 誠
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 469-476
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ビス (シュウ酸) 酸化チタン (IV) バリウム, BaTiO(C2O4)2・4H2Oを出発原料とし, アンチモン (Sb) あるいはニオブ (Nb) を半導体化元素として用いて調製した多孔質チタン酸バリウム (BaTiO3) セラミックスで平均粒径2-5μmの特定の組織をもつものは7-8けたに達する非常に大きなPTCR (正の抵抗温度係数) 効果を示すことが見いだされている. この多孔質材料におけるPTCR効果の大きさは, その材料の平均粒径及びち密度 (焼結密度) に対して大きく変動することから, 大きなPTCR効果を示す材料を得るにはその粒径, 焼結密度を適当な値とすべくその調製条件を制御する必要がある. 特にBaTiO3出発粉体中の不純物および粒子径の不均一は焼結粒子の異常粒成長を引き起こし, 大きなPTCR効果を得るための障害となる. ここでは多孔質材料に関する実験結果を基礎に, 一般的にBaTiO3セラミックスのPTCR効果の大きさに重大な影響を与えると思われる幾つかの要因, 特に添加物や組織の不均一性の観点から, その作用様式について論ずる.
  • 平尾 一之, 曽我 直弘
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 476-481
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    MAlSiO4, MAlSi2O6, MAlSi3O8組成 (M=Li, Na, K) のアルカリアルミノケイ酸塩ガラスの比熱を77K-300Kで測定した. これらのデータを著者らが先に報告した3-バンド理論を用いて解析し, 特性温度を求め, ガラス中における原子の相互作用を決定した. また, 熱膨張係数, 密度, 体積弾性率を合わせて測定し, グリュナイゼンパラメーターγを算出した. その結果, 本研究で扱ったアルカリアルミノケイ酸塩ガラスでは中間酸化物を含まないアルカリケイ酸塩ガラスと比べて, これらの動力学のパラメーターは大きく異なった. この原因は, 非架橋酸素の欠除による効果であると考えられる.
  • 小山田 了, 角 和博
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 481-484
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    数種の鉱化剤を添加した北朝鮮産カオリンのムライト生成機構について研究を行った. LiF, Li2CO3, MgF2, MgO, CuF2及びCuO各20mol%を含んだ棒状試料を1000℃で90日間焼成し, ムライト生成率はX線回折法により決定した. ムライト生成率 (%) はおのおの無添加の場合8.7, Li2CO3で16.5, LiFで18, 10mol% Li2CO3で19.7, MgF2で20.7, MgOで22.5, CuF2で27.7及びCuOで29.3であった. そしてすべての反応曲線はTammann式に従い, ムライト生成率は時間の対数に対して直線的に増加し, 時間teで飽和値αeに達する.
  • 宋 慎泰, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1982 年 90 巻 1044 号 p. 484-486
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 90 巻 1044 号 p. A51-A54
    発行日: 1982/08/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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