ガラスを一方向に結晶化する方法により, 繊維状結晶が一方向に並んだ構造のガラスセラミックスを製造する基礎的条件を究明した. ガラス組成としては, 人工骨材料の成分として適したCaO及びP
2O
5を多量に含む, MgO 4.6, CaO 44.9, SiO
2 34.2, P
2O
5 16.3wt%の組成を選んだ. この組成のガラスを, 上下方向にのみ温度こう配の付いた電気炉中で再加熱し, 高温側から低温側に向け一方向に結晶化させた. その結果, ソーダ石灰ガラス融液で内壁をぬらしておいた白金るつぼ中に, 上記組成の融液を注入して円柱状ガラス (直径約30mm, 高さ約20mm) とし, これを白金るつぼに入れたまま, その上面をSiCグラインダーで一様に研削した後, 上から加熱し, 上下方向に約115℃/cmの温度こう配をつけ, いずれの高さにおける温度も300℃/hの速度で上昇させると, 直径約5μmの繊維状のβ-CaO・SiO
2結晶が多数上下方向にのみ一方向に並んで析出したガラスセラミックスが得られることが分った. 繊維状結晶の間には, アパタイト型結晶, β-3CaO・P
2O
5結晶あるいは, CaO・MgO・2SiO
2結晶粒子も分散して析出していた.
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