高硫酸塩スラグセメントの表面硬化特性を明らかにし, さらにその改善を目的としてこれに影響すると思われる16の因子と交互作用15を考慮し, 大きさ32の直交配列法によって効率を高め実験を行った.
セメントに関してはスラグの塩基度は材令初期には特に高いのが好ましく, スラグ粉末度は全材令を通じ特に高いことが望ましい. アルカリ刺戟剤は多い方がやや良く, 石膏類の形態と添加量の影響はあまり大きくない. 添加物としてC
6A
2FとC
2Sはやや効果あるようであるがC
3Aは効果を認め難く, 軽焼MgOは逆効果を与えた. モルタルに関しては砂が粗いことと富配合による効果が大で, 水セメント比は低い方がやや良いようである. 養生に関しては養生水のpH, 浸漬日数, 湿度の影響はいずれも小さいが, CO
2の有無は材令が進むと支配的影響を与え, CO
2の存在で硬度の増進は小さくなる. しかし苛酷な条件下でも炭酸化の進行速度は特に著しいとは認められなかった.
交互作用もCO
2の関係するものの影響が大であると考えられ, CO
2の存在においてはアルカリ刺戟剤は多い方が良く, 砂の細かさは粗が良いがその影響が小さくなり, 養生水は石灰水が純水よりやや良く, 湿度は初期には高い方が良いが長期には影響が小さくなる傾向にあり, スラグの塩基度の効果は小となり, 砂比は特に富配合が望ましく, 水セメント比は特に低い方が好ましいという結果を認めた.
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