窯業協會誌
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87 巻, 1003 号
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  • 岸井 貫
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 119-126
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    溶融カリ塩中で熱処理されたガラスは, Na+↔K+のイオン交換により, 表面に圧縮応力層が生じ, 機械的強度が10倍くらい高まる. 表面の応力がガラスの強さを決め, 層の厚さが加傷や風化による強度低下への抵抗性を決める.
    この層は屈折率こう配を持ち, 光ウェーブガイド効果を示す. 光は層内を, 有限個の離散的なモードとなって発散せずに進む. モードの実効屈折率の分布は, 層内の屈折率分布で決まる. 応力による光弾性的複屈折と層の厚さとは, 互いに直角な方向に振動する二つの直線偏光を使って, モードの数と, 実効屈折率の分布とを観察して推算することができる. これらの観察と推算の方法を提案した. この方法による値を, 旧来の方法による値と比べた. 両者は必ずしも一致しないが, 妥当な関係があった.
  • 後藤 誠史, 常谷 正己, 柳田 洋明, 近藤 連一
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 126-133
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本論文はポルトランドセメント硬化体中のCl-イオンの移動現象について述べている. セメントあるいはセメント鉱物の水和物とNaCl溶液の反応について研究し, セメント硬化体をNaCl溶液, 人工海水に浸漬した場合の硬化体中のCl-イオン濃度分布を測定し, セメント硬化体中のCl-イオンの拡散について検討し, 次の結果を得た.
    C3AはNaCl溶液と完全に反応し, Clを含むカルシウムアルミネート複塩を生成する. C3AH6は最も安定なカルシウムアルミネート水和物であるが, C3AH6もある程度NaCl溶液中のCl-イオンと反応する. しかし, 濃度が20wt%でも完全には反応しないことが分った. C4AFの水和物もNaCl溶液と反応するがClの反応量はC3AH6の場合に比べ約半分であった. C3Sの水和物と反応するCl-イオンの量はわずかであった. セメントを水和した物の場合, Cl-イオンの反応量はセメントの組成から加成的に求めることができた.
    セメント硬化体中のCl-イオンの濃度分布はFickの法則に合った分布をしている. そして見掛けの拡散係数は3.8×10-8cm2・s-1と求まった. フルオレッセンナトリウムと硝酸銀を用いた発色法によるCl-イオン浸透深さから求めた見掛けの拡散係数は3.4×10-8cm2・s-1であった. 反応したCl-イオンの濃度を考慮に入れると拡散係数は2.3×10-7cm2・s-1となり, このような方法で求めた方が, より正確であることを示した. MgCl2溶液の場合にはNaClの場合より拡散が速く, Cl-イオンの拡散は共存する陽イオンにより影響されることが分った.
  • 原 尚道, 井上 憲弘
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 134-141
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シリカガラスとCaOの水熱反応性が, 出発Ca/Siモル比 (0.6-0.9), 反応温度 (70°-100℃) 及び反応時間 (2-120日間) を種々変えた条件下で, 水/固体重量比20として検討された.
    試みた反応温度全域で再現性よく14Åトバモライトを合成できた. 14Åトバモライトは80℃以下では安定相であったが, 90℃以上では11Åトバモライトに転移していく傾向が認められた.
    シリカガラスとCaOの合計重量に対して2%のγ-Al2O3を添加したところ, 80℃でAl置換11Åトバモライトが生成した.
    熱的挙動を検討したところ, 14Å, 11Åトバモライトともに, Ca/Siモル比の低下と結晶度の向上は, 異常性を高める傾向にあった. アルミナ添加は11Åトバモライトの正常性を向上させた.
  • 三友 護, 倉元 信行
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 141-146
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    β-サイアロンを次の反応で合成した.
    (4-z)Si3N4+zSiO2+2zAlN→2Si6-zAlzOzN8-z ここでz=1, 2, 3, 4とした. 粉末混合物を1750℃で1時間, 200kg/cm2の圧力でホットプレスした. 収縮はzの値が大きい組成ほど (4>3>2>1の順で), すなわちサイアロンの中での固溶量の大きい物ほど, より低温で起こった.
    この系における反応は, 約1550℃で, Si3N4+SiO2+AlN→X相1600°-1700℃で, Si3N4+X相+AlN→β-サイアロンであった.
    サイアロンの生成と焼結体の収縮は1600℃付近で, X相が溶融することにより促進される.
    z=1の組成のサイアロンは収縮が十分でなく高密度焼結体は得られない. 他の組成の物は完全に収縮した. 微構造の観察からz=4のサイアロンが最も均一であった. また本報で用いた系における反応をSi3N4-Al2O3-AlN系と対比して論じた.
  • 笛木 和雄, 北澤 宏一, 松川 敬三
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 146-152
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    トレーサー拡散係数, 自己拡散係数, 化学拡散係数及びイオン電導度のデータより定比組成からのずれ, あるいは不純物濃度を用いて酸化物中の点欠陥の拡散係数を求めた. このようにして求められた点欠陥拡散係数の多くは, Dd=10-2±1 exp (-20-30kcal・mol-1/RT)cm2・s-1 の式で表現することができる. 拡散データを点欠陥拡散係数を用いて表すことの利点と, 一方また, 欠陥濃度が増大した時に欠陥拡散係数が変化することに伴う問題点について考察を行った.
  • 河本 邦仁, 柳田 博明
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 153-157
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    (Zn0.2Co0.8)O・1.1Al2O3及び (Zn0.2Ni0.8)O・1.1Al2O3スピネル粉末からのZnOの蒸発機構を1335°-1500℃, 3×10-5-10-4Torrの真空下で調べた. ZnOの蒸発はともに2段階で行われた-第1段階では蒸発速度が一定, 第2段階では蒸発速度が減少した. ZnOの蒸発分率の測定値が高温で計算値よりもずれを生じた. この結果を, 高温では析出コランダムがよりち密に焼結するために蒸発面積の減少をきたすという仮定のもとに解釈した. 第1段階から第2段階への移行時におけるZnOの表面濃度と初期濃度の比はいずれも約0.9で,しかも温度に依存しなかった.
  • 赤木 三郎
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 158-162
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水中のMn2+によるガラス容器の着色汚染とかっ色フレークの生成過程について調べた. pH値が7.0から9.4の範囲の30ppm Mn2+水溶液をシリカガラス製フラスコ内で加熱し, 溶液中のMn2+の濃度変化とフラスコの着色度を測定した. Mn2+水溶液からの固相の析出速度はpH値が増し温度が上昇するにつれて増大したが, シリカガラスの着色度は固相の析出量とは比例しなかった. 析出速度が小さい間は固相の析出はガラス表面で生じかっ色の皮膜が形成されるが, 析出速度の増大に伴って固相の析出は溶液中で生じるようになり, 生成物はガラスの着色に寄与しなくなる. pH 7.0の溶液では固相の析出が全く起こらなかった.
    シリカガラスの表面に形成された皮膜は, X線回折の結果からMn3O4(=MnO・Mn2O3) と1/2 (Mn2O3・H2O) からなることが分った. この皮膜とシリカガラスとの密着性はかなり大きかった.
    本実験の結果から, 魔法びん中に生成するかっ色フレークは, 一般に, ガラス表面に形成されたMn化合物とケイ酸マグネシウム水和物からなる複合皮膜のはく離によるものと考えられる.
  • 松本 和順, 笹本 忠, 佐多 敏之
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 163-167
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    周囲から放射加熱されているグラファイト, トリア, タングステン製のヌッセンセルの実効放射率をオリフィス径の関数として測定し, 任意の大きさのオリフィスを持つヌッセンセルの正確な温度を測定するためのデータを得た. 拡散反射性と固有放射率が高いグラファイトセルでは, 半径比 (=オリフィス径/セル内径), rRが0.2以下の時にその実効放射率, εeffはほぼ1になった. rRが0.4まで増加するにつれてεeffは計算値よりも負に偏差し, 0.4<rR<1ではヒーターからの放射 (背光) のためにrRが増加するほどεeffも増加した. トリアセルでは, 背光の影響をより強く受けることを除けば, グラファイトセルと同じ傾向を示した. 一方, 鏡面反射性の強いタングステンセルでは, オリフィスをできるだけ小さくしてもεeffは1以下であった. 結論として通常のヌッセンセル (深さ=内径) では半径比rRが0.1以下のオリフィスを持ち, しかも拡散反射性の強い材料で作られたものだけが黒体とみなせることが分った.
  • 藤木 良規, 太田 進啓
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 168-169
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 松村 道雄, 松平 繁幸, 坪村 宏, 高田 雅介, 柳田 博明
    1979 年 87 巻 1003 号 p. 169-171
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 87 巻 1003 号 p. 171a
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 87 巻 1003 号 p. 171b
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 87 巻 1003 号 p. A18-A22
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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